第二章
目に映ったのは
コンビニに派手に突っ込んだ軽自動車…あちこちに飛び散ったガラス,そして
「…血。」
ドクン,ドクンとこめかみの辺りが脈を打つ
頭が…痛い!!
「うわあ,すげえな…ってあれ…?光希?」
福田の声も,周りのギャラリーの声も…
「おい…光希!!」
全てが,頭の中に溶け込んでいくような感じ
激しい耳なりと共に,頭に激痛がはしる
「う,うあ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!」
心の中で叫ぶ
景色が真っ白になる
バタッ…
「お,おい!光希…!しっかりしろ!どうしたんだっ!おい……光希っ!!!」
すべてが…真っ白に…空白の世界になっていった
「…。」
また,夢を見ているようだ。どこまであるのかわからない暗闇の中で,誰かが泣いている。あれは…
僕だ。
肘と膝をついて,踞っている。そこにいる「僕」は踞ったまま遥か上へと顔を上げる。
見上げた場所には
綺麗な…とても綺麗な何かが見える。ぼやけていて,見えにくい。
届かない…あの場所には,届かない。間違いないんだ。あそこには
僕の,父さん,母さんがいる…!分かる,分かるんだ!何かが心に,訴えかけてくる。
あそこにいる。って
父さんと母さんが,居るって…!
会いたい…会いたい!!
ハッとして目を開く。
真っ白な天井が見える。ここは病院だ…。
「光希。」
右に頭を動かすと,お祖母ちゃんの姿があった。