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読み終わって、一言
「…ふぅん?なるほど」
最初のよくわからない長々しい文はいらない思うんだけど(略はすっとばした)要するに…
「当選したってことが信用できないなら、電話して確認してくれって事ねー。めんどくさいから電話しないけど。」
確かに、これだけ世間を騒がせている新技術を登載したゲーム。用心深い人なら、電話して確認しないと不安になってしまうだろう。
それもそのはず、確かβテスト参加者数はだいたい五千人強。日本の人口が1億2千万らしいから、そこからみてもかなり少ない。
年齢制限の分を引いても自分が当たる確立はかなり低いと思われる。
(ちなみに15歳からおよそ30歳までの人しかVRMMOに参加できないらしい。体の関係らしいけど、そこまでよく調べていないから割合!)
いつもの私ならこんな気味の悪いものすぐに捨ててしまっていただろう。
おそらく追伸に書かれているのは、私たちβテスト当選者を守るためなんだと思う。フルダイブシステムが登載されているから、自分がゲームに参加している間に何をされても起きることは出来ないし。
でも、それと同時になにか不都合があったときも、広範囲に知らせていなければその分口封じも楽になるだろうって目論見だと思う。
それも兼ねて「話すのならば信用できる人にだけ」と書かれているんだろうし。
「話すな」と書かれていないのは、我慢できなくなったときの行動で多数の非参加者に全容がもれないようにするためだと思う。
もちろん、信用できる人物が参加者から聞いた話を周りに話さないとゆう保障はないんけどね。
それに手紙の内容的にも、個別に、とゆうかβテスト当選者をある程度種類分けして書かれている節がある。
五千人強くらいならそれも可能であるだろうと思うし、竜崎グループの権力があれば一般人の情報を手に入れるなんて簡単だろうしね。
少し話が前後してしまったけど、ほぼ100%の安全性なんて眉唾物だと思っている。それに一応実験は成功しているんだろうけど(とゆうか成功していないと出さないと思うけど)、それでも家庭でフルダイブするのはおそらく私たちβテスト当選者が初めてだろう。
つまるところ、ていのいい実験体といったところか。そんなものになるなんて、私はご遠慮したい。
と、言って手紙を捨ててはい終わり、だったと思う。
今までの私ならば。
幸い、今の私には事情らしい事情なんて存在しない。
あるといえば今日一つまた歳をとった事を祝うだけだし。友人も彼氏も失った。一つ下の弟も来年位には結婚しているだろうから、私が孫を見せなくても大丈夫だろうしね。(万が一命を失うような結果になっても)別に自棄になって…いやなってるかもしれないけど!
せっかく当選したんだから、βテストの間だけでも現実逃避させてもらうために利用させてもらわないとね!
そう心の中で決意していると、誰かが部屋のインターホンを鳴らす音が聞こえた。
こんな遅くに一体誰が…と思いつつ、扉へ向かう。
「はーい」
「遠山様のお宅でしょうか?」
「そうですけど~?」
「お荷物をお届けに参りましたー」
どうやらインターホンを鳴らしたのは宅配便さんだったみたいだ。既に覗き穴でその姿を確認済みなので、間違いないとだろうと思い、ドアを開ける。
でも荷物なんて、いったい誰からだろう?
なんて事を思っていると、いつのまにか書留にサインをし、荷物を渡されていた。見かけよりは重くないみたいで、私でも片手で持てた。そうして御礼を言ってドアを閉める。
送り主は誰だろうと見てみると、あの竜崎さんからだった。
さっそくダンボールを開けて中身をみると、
「…随分軽いと思ったけど、これだけしか入ってないなら当然だよねえ」
説明書らしき紙と、ヘルメットみたいな物にヘッドセットをつけたような物に、マジックテープで止められるように出来ているリストバンドっぽいもの。無線LANのような物に、あと電源コードとお互いをつなぎ合わせるためのカラフルな線がついていた。
「えっとこれで無線をとばして…ヘッドセットのほうで勝手に受けてくれるのかな。まぁこれなら簡単に出来そうだから全然いいんだけど。」
説明書らしき紙はやっぱり説明書だったみたいで、書いてある通りにセットしていく。
そうして読んでいくと、ゲームの事について色々な説明が書かれていた。
「…わ、ワタシ日本語ワカラナーイ…」
正直スー○ーファミ○ンやゲーム○ーイしかしたことのない私には難しすぎた。あ、はぁ~そうなんですか~、としか言えない…近頃の若者って凄いね!
まぁでもゲームをした経験も少ない私だけど、
[初心者でも大丈夫!万全の準備であなたのプレイをサポート致します]
って説明書に書かれてるし、大丈夫でしょ!フルダイブしてからでもサポートしてもらえるみたいだし、読むのはあきらめて早速やってみようー!
なんでいきなりノリノリになったのかって?何を隠そう、私は説明書を見たりするとやる気の出るタイプ!この説明書は半分も理解できていないと思うけど、ね(フッ
(えっと…これを頭にかぶって、両手両足首にこれを巻きつけて、止めるっと…)
「よしっ!できた!それから?寝転がってっと。それで…これを言うのかー、うわぁー言いたくないな~。傍から見たら絶対痛い子じゃん」
とぶつくさ言いながらも、深呼吸して覚悟を決める。そして志乃は、
「ゲートオープン!」
フルダイブするためのキーワードを言って、意識をなくしていった。