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<2>

思ったよりも長くなったので、二つにしました。

感想・誤字脱字のほうございましたら、教えていただけるとうれしいです!

その日、私の誕生日で最高の日になるはずだった日。


私は昼から一人お酒を飲んでいた。夫となるはずだった男と、唯一無為の親友だった女。あの二人は今頃どう過ごしているのか。

何もかもどうでもいい。仕事もやめてしまったし、することもない。


私は大量のお酒を買ってきて、家で飲みまくっていた。飲まないとやっていられない!

もちろん外で飲むことも考えた。けれど、飲み崩れたらお店のほうにも迷惑がかかるだろうし、それにそんな醜態他人にみせたくはない。


本当なら、そんな他人の事を考えてる余裕なんてない。けれど私は、もういい歳した大人だ。そんな自分勝手な行動が許される歳ではない。


なんて言ってみるけど、本当は違う。私は、未だに理解できていないだけ。どこかでこれは夢なんだと、眠りについてまた朝を迎えれば、今まで通り幸せな時間が続くと。


そんな風に逃げているだけ。外で飲んで眠りにつけば、目覚めるのはきっとその場所だろう。私の部屋ではないから、これは夢でなく現実なんだと、わかってしまう。



だから、自分の部屋のベッドで目が覚めれば…きっと。



そんな、未だすがりつく私は、








救いようのない馬鹿だ。


***


「…」


軽やかな電子音が、テーブルの上に置いてある私の携帯から流れて聞こえる。どうやらその音で目が覚めたみたいだ。

外を見ると真っ暗な夜だった。どうやら昨日…今日?の出来事は夢になってくれないらしい。知らない間にベッドで寝ていたから、もしかするとなんて思ってしまったけど。


そう思って苦笑しながら起き上がってテーブルへと向かう。テーブルの上は酒の缶やビンが乱雑していて片付けるのがとてもめんどくさそうだ。


その中に紛れ込んでいる私の携帯を救出し、誰からなのか確認する。すると弟の(カケル)からのメールだった。


内容は、「誕生日おめでとう!今回も彼氏らと祝うの?」と簡素なものだった。


思わず私は声に出して笑ってしまう。その声は泣き笑いのような声になってしまっていたけど。


本当なら正直に話すべきなんだと思う。でも、洗いざらいすべて話せるほど私はまだ立ち直っていない。素直に弱音を吐けばいいのに、なんて思うかもしれないけど、これはもう癖のようなもので。

だから私は、


「メールありがとっ!また一つ歳を取ってしまった…永遠の20歳でいたかったぁ~!

そうなんだ~♪今日は3人でお祝いパーティ!いっぱい楽しんでくるね^^」


そう、送った。

自分の気持ちを押し隠すのは得意だった。特にメールともなれば、とても、簡単だった。




そしてふと思う。




私、泣いたっけ。





***


少しボーっとしていると、手元にある携帯が鳴り出して、ビクッと体が揺れる。


翔からで、「りょーかい、たのしんでおいで~。羽目をはずし過ぎないようにね!」と来た。


それをみてかすかな嬉しさを感じる自分に気がつき、苦笑する。きっとその嬉しさは、私の家族が決して私を裏切ることなんてないんだと、そして今更そんなこと思う私は結構重症なのかもしれない、なんて思う。


それと、姉に対して送る事じゃないといつも思う、娘のように心配して毎回送ってくるそのセリフ。私は変わらないその関係に安堵しているのかもしれない。


小さい声で、翔ありがと…とつぶやき、携帯を閉じる。


そして散らかった部屋を片付けるためにせっせと動き、漸く片付いたとイスに座ってひと段落する。


そういえば郵便物をまだ取ってない事を思い出し、落ち着いたし新聞でも読もうかなと、玄関先にあるポストに新聞を取りに行く。


新聞と色々な広告を取り出し、テーブルに着く。そしていらない広告を脇によけ、さて読もうかと新聞を広げると、黒い物が新聞の隙間から零れた。

それに私は一瞬ぎょっ!?とあわてるが、それはカスっと音を立ててテーブルの上に乗っていた。よく見ると、それは封筒だった。


黒い封筒ってなんかかっこいい…なんてどうでもいいことを思いつつ、誰からなんだろうとその封筒を調べる。そこには竜崎グループ開発部所長:竜崎廉太郎と書かれていた。


それに私ははて?と首をかしげる。竜崎グループとはかなりの大手の会社のはずだ。世界規模で見てもトップレベルの会社だと聞いたことがある。


だからこそわからなかった。そんな大手の会社が私に一体なんのようがあるのだろうと。宛名を見るが、しっかりと私の名前が記入されている。


「間違えて届いたわけでもないみたいだし…なんなのかな」


開けて見ない事にはわからないと思い、黒い封筒を開ける。そして封筒から出てきた、真っ白な便箋を取り出しそこにかかれた内容を読み上げた。


***

 

遠山志乃様


お初にお目にかかります、わたくし竜崎廉太郎と申します。

この度はいきなりのご連絡につき、大変驚かれたかと存じ上げます。

本来ならばこのような不躾な方法ではなく、直接お話すべき事なのですが、

少々私情の方で混雑しておりまして、時間の方を割く事がままなりません。

いまだ未熟な身を恥じるしだいであります。


~~略~~


さて、もう既にニュース等のメディアでご存知かもしれませんが、

実はこの度わたくし共の研究の成果であるフルダイブが完成し、

その発表を致しました。ほぼ100%とかなり高い安全性も確認済みです。

それに伴い、フルダイブシステムを搭載したVRMMOと呼ばれる

新ジャンルのゲームを同時開発してきました。


VRMMOとは、バーチャル世界、つまり電脳の世界へと入り込み、

まるで現実の出来事のような体験を出来る世界です。


その世界の中で剣や魔法、魔物などさまざまな現実には存在しない

ファンタジーの物を使えたり、見たりすることの出来る世界。


その中でプレイヤー同士協力して冒険し、魔物を倒したり、はたまた

優美なこの世界の景色を見て回ったりと、様々な事を自由に行う事の出来る世界。

それが我々が発明したVRMMO<A First Cry>です。


そこでこの度、一般市民の方々にこのフルダイブの魅力を体験していただく

ために、βテストと言う事で、一足先に素晴らしいファンタジーの世界へと

旅立っていただく権利を、遠山志乃様へと送らさせていただきました。


当選おめでとうございます。


しかし、遠山志乃様にも様々な事情があるかと存じ上げます。

そこでプレイ出来ない可能性も考慮させていただき、

わたくしの会社の方の電話番号が書かれた紙を同封しております。

もしプレイされないのであれば、お手数の方をお掛けいたしますが、

同封されています電話番号の方へお電話の方お願いいたします。


このような唐突にきた手紙を信じられない方もいらっしゃるでしょう。

そのような方々も一度、お電話の方をしていただければ、

わが社の社員がご質問等にお答えいたしますので、

お気軽にお電話の方お願いいたします。


それでは、現代科学の結晶であるフルダイブした世界で

お待ちしております。


竜崎廉太郎


追伸:βテストの当選者だということを話すのならば、

信用の出来る人物にだけ話すことをおススメ致します。

***


ええと、手紙の最初のほうは適当に入れてみました。

失礼にならないように丁寧に書いたつもりですが…

自信、ないです(´・ω・`)

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