世界は産声をあげる
はじめまして!もり@です。ものぐさな私ですが、頑張って投稿し続けたいと思います。当面の目標は三日に一度は投稿。亀更新の可能性がございますが、どうかよろしくおねがいします。一応誤字脱字のない様に気をつけていますが、もしございましたら教えていただけるとうれしいです。ではどうぞ!
本日PM10:00に、待ちに待った正式サービスが開始される。
他のオンラインゲームと比べると、その開始時刻は遅い。が、それはすべてのユーザーが一斉にログインしこの世界の始まりを喜び合って欲しいから。と告知されれば最初文句を言っていた者達も口を閉ざしたのだった。
バーチャル世界。
仮想世界に自らの五感をトレースし、現実世界で体を動かす事をしないで仮想世界で体を動かす事の出来る世界。
その技術は世界中で研究し、少しずつ進められ漸くハーフダイブと呼ばれる技術が完成された。
ハーフダイブとは、つまるところ夢を見ているような感覚といえばわかりやすいかとおもう。
なぜハーフダイブ(半分潜る)と名ずけられたかというと、ハーフダイブの状態では外部の情報を受け取ってしまうからだ。
もちろん完全にシャットアウトしてしまうと、生命の危機やトランスしそのまま仮想世界に閉じ込められてしまう、といった危険性を生み出してしまうためその点ではすばらしいと言えるだろう。
しかし音や振動、つまり外部の影響を受けやすいため声をかけられたり、電話やメールの着信・バイブ音等。時には自分の呼吸音で元の世界へと覚醒してしまうのだった。
繰り返すことになるが、もちろん安全面においてはそれはとても優れていると言える。が、そんな些細な音でいちいち接続が切れていてはよほど環境に恵まれていない限りダイブすることなんて不可能だった。
故に軍事訓練等には使われていたが、家庭に復旧することはありえないことだった。
およそ一月前までは。
そう、それは革命とも言える出来事だった。世界中が震撼し、あらゆるメディアが殺到した。
そしてその始まりは一通の手紙と、届けられた一箱のダンボールだった。
***
その日は太陽の光が照りつけるような快晴だったろうか。いや、豪雨とも呼べるようなひどい天気だったかもしれない。天気予報で記録的ななんとか、と言われていたような気もするけど正直なところ覚えていない。
その日の事で覚えていることは、私の誕生日だったことと、結婚を控えた彼氏が違う女性と結婚する事、その相手が私の親友だったこと。そしてその手紙が届いたこと。それだけだ。
終わりと始まりというのは本当に突然、一緒にやってくるものなんだな、と改めて感じた日だった。
私がこの世界に生まれた日、親友とも呼べる人が出来た日。彼氏と付き合い始めた日、プロポーズした日。
幸せだった。友人にも恵まれていたし、彼氏も優しく頼りになった。夫にするならこんな人がいいなと思っていた自分の妄想が具現化されたのかと思ったほどだ。
母や父、弟とも折り合いはよかったし、仕事も順調だった。
幸せは続かない。その予感を、緩やかに朽ちていく幸せの中、私は気づかない振りをしていた。気がつかなければ終わりは来ない、なんて都合のいい妄想を掲げて。
夫となるべき人が離別を告げた。唯一信用していた親友が、幸せそうに笑っていた。その隣で。
結婚するからと、順調に行っていた仕事をやめた。その能力を惜しまれながらも、祝福された。
何故
今となっては、もう届かないこの手を。だれか、私を、この世界を____________
声にならない叫び。
私はこんなにも弱いのに、だれかに支えられないと生きていけないのに。
たすけて・・・
***
修正:ダンボールが届く日を、手紙が届く日と同日にしました。