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分かっている。僕ら。中指に約束をしたんだ(上)

作者:佐藤不変
最終エピソード掲載日:2026/01/30
物語は、大学二年生になったユエルの回想と、現実と非現実の境界が曖昧になる体験から始まる。穏やかで透明だった一年は、説明のつかない違和感とともに終わりを迎え、世界は静かに歪み始める。

ユエルは、法廷のような空間で八咫烏を名乗る存在と邂逅する。八咫烏は、人間の直観や世界の秩序、そして「死ぬべき人間/死ぬべきではなかった人間」という不穏な言葉を残し、ユエルの記憶に強い痕跡を刻む。その直後、ユエルは亡くなった同級生弥生美沙と一時的に対話するという、現実離れした体験をする。弥生は「月へ行く」と告げ、限られた言葉だけを残して消える。

現実に戻ったユエルは、弥生の死(転落事故)を「たまたま」とは受け取れず、そこにある空白と違和感を抱え続ける。やがて、同級生の三浦紗枝と向き合う場面では、彼女の過去(暴力的な訓練、歪んだ成功体験、自己同一性の崩れ)が語られ、二人は互いの孤独や逃避を映し合う。倫理や関係性が崩れたまま、欲望と空虚が交錯し、ユエルは裏切りと自己嫌悪の中で「人間であり続けること」に敗北した感覚を抱く。

物語の終盤、ユエルの内面は激しく崩壊し、世界への怒り、孤独、救済への渇望が洪水のように溢れ出す。
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