姉妹合わせ
「不思議ね、鏡に映った自分を見ても可愛いって思わないのに、お姉ちゃんのことは可愛いって思うの」
私と瓜二つな顔がそう嘯いた。
カーテンの隙間から零れた月明かりか私たちをてらてらと照らす。
暗くて顔なんてよく見えないくせに……と、気取ったことを言う妹の鼻先を軽く小突いた。
同じ日、同じ場所で生まれた私たち。
ほんの少し他の人たちよりも大切な妹、そのぬるい頬へと手を伸ばして――
「私のどこが可愛いの?」
唇を奪った。
夜の帳が妖しいヴェールとなって彼女の顔を隠す。
だが、どんな表情をしているのかは想像にかたくない。
だって私と同じ顔だから。
彼女はもう一人の私だ。生まれてこの方ずっと一緒、顔も一緒、思考だって。
繋がった唇の端から空気が漏れてどちらともなく顔を離した。
透明な糸が私たちの行為の名残として唇の間に繋がり、そして途切れた。
「かわいいよ、お姉ちゃん」
聞くだけで耳が溶けそうな声。
問いかけに答えないずるい声。
甘い指が私を這って、舌が私を高みへと導く。
私と同じ顔の妹が、私を誰にも見せたことのない……私だって知りえない私の表情を引きずり出す。
……。……! …………!!!
全てを吐き出し、朦朧とした意識の中「やっぱりお姉ちゃんはかわいいなぁ」と笑う妹の姿を見た。
可愛いのはお前だ。
力尽きた私はそれを言葉に出来ず、ただ漫然と倒れこむように妹の胸に顔を埋めた。




