プロローグ
「なんでこうなっちゃったんだろう」
美しかった町は火に包まれ、人々は逃げ惑い、目前には死体の山が築かれている。
「どこで間違えちゃったんだろう」
呟いても状況は何も変わらない。
でも私に今更何も出来ることはない。
ただ、自分の町が、他国の兵士に侵略され蹂躙されるのを見つめる事しか出来ない。
「どこで間違えたんだろう?って、逆に君は正しい選択肢を1度でも選べたことはあるのかい?」
目の前の男は嘲笑を浮かべ私に問うてくる。
「確かに君の選択肢は常に正しかったのかもしれない。実際君が国司に就いてから国力は目に見えて強くなった。でもね、人は過ぎる正しさには付いていけないものだ。君の間違いは人の弱さに目を瞑った事だ。」
私はその言葉を聞いてなお、理解することは出来ない。
「まあ理解できないのも仕方ないか。君はあまりにも強すぎた。その強さは人智を超えている。だが、だからこそ君は人の弱さを理解できない。君は本当に可哀想だ。」
私は本当にどうしたらよかったんだろう。
あの時、君の言葉にちゃんと耳を傾けていれば良かったのかな?
でも、もう既に遅い。
もう君はいないんだから。
私は後悔と絶望の闇に沈み込んでいった。