表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱魔力の異世界マッサージ師  作者: 紡識かなめ
第4章. マッサージ店の成功
9/14

4-2. リナの呼び込みで繁盛

翌日から、本格的に営業を開始した。


「いらっしゃいませー! 新感覚マッサージのお店ですよー!」


店の前では、リナが元気よく呼び込みをしている。


彼女の明るい声が通りに響き、道行く人々が興味を持って足を止める。


(さすがリナ、人付き合いが得意なだけあるな)


彼女はこの町での顔も広く、通りかかった知り合いに声をかけては店に誘い込んでいた。


「ねえねえ、お兄さん! ちょっと疲れてない? うちのマッサージ、すっごく気持ちいいよ~!」


「え、マッサージ? そんな店あったっけ?」


「昨日オープンしたばっかりなの! 私も働いてるから、安心して来てよ♪」


「お前がいるなら…まあ、ちょっと試してみるか」


そんな調子で、少しずつ客が増えていった。



店に来る客層はさまざまだった。


リナが知り合いの町人たちを呼び込んでくれるおかげで、主婦や労働者が訪れることもあれば、偶然通りかかった旅人が興味本位で入ってくることもある。


そして、リナが元ギルド職員だったこともあり──


「お、リナじゃねぇか。なんだ、ここで働いてんのか?」


「そうなの! ねえ、マッサージどう? 冒険者さんって絶対体バキバキでしょ?」


「まあ、確かに…んじゃ、試してみるか」


冒険者たちも次第に店に足を運ぶようになった。



施術を受けた人の反応は、どれも上々だった。


「おお…これは…!」


「今までのマッサージとは違う…!」


「じわ~っとくるな…こりゃ癖になるわ」


微弱な雷魔法による刺激が、他のマッサージ店では味わえない独自の快感を生み出していた。


初めて受けた客たちも、帰る頃にはすっかり満足した表情を浮かべていた。


(これは…本当にいけるかもしれない)



「もっと強くしても大丈夫ですか?」


「おう! 俺たちは頑丈だからな、ガツンと頼むぜ!」


冒険者たちは基本的に体力があり、体のコリも深い。そこで、少し強めに雷魔法を込めながらマッサージを行うと──


「おおっ! これはすげぇ…!」


「痺れる感じがたまんねぇな!」


彼らは満足そうに笑い、リピーターになってくれる者も増えていった。



しかし、数週間営業してみると、客層がある程度固定化されていることに気がついた。


──年配者と冒険者が多い。


もちろん、この層は常連客としてありがたい。しかし、店の経営を考えれば、もう少し幅広い客層に来てもらう必要がある。


「どうしたの?」


店の片隅で考え込んでいると、リナが顔を覗き込んできた。


「いや、客層のことを考えてたんです。今のところ、冒険者や年配の人が多いですよね」


「うーん、確かにそうかも?」


「今後のことを考えると、もう少し違う層の人にも来てもらえたほうがいいんですが…」


リナは腕を組んでしばらく考えた後、ぽんっと手を打った。


「じゃあさ、女性向けのメニューとか作ってみる?」


「女性向け?」


「うん、例えば美容とかリラックス効果を強調するとか! 女性はそういうの好きだから♪」


(なるほど…)


確かに、今のままでは「疲れた体を癒すマッサージ」という印象が強く、女性が気軽に来られる雰囲気ではないかもしれない。


「それは、いいアイデアですね。ちょっと考えてみます」


こうして、新たな客層を取り込むための策を練り始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ