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最弱魔力の異世界マッサージ師  作者: 紡識かなめ
第3章. 偶然の発見と転機
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3-3. マッサージの可能性と店開業の決意

「はぁ…なんか、すっごいスッキリした…♡」


雷魔法を使った肩のマッサージが終わると、彼女はうっとりした表情で肩を回した。


「これ、肩だけじゃなくて全身やってもらえたりする?」


「え?」


「だって、すごく気持ちよかったんだもん! 肩だけじゃなくて、腰とか背中もお願いしたいな~」


俺は少し考えた。ここまで来たら、試してみるのも悪くない。


「まあ、別にいいですけど…」


「やった! あ、そういえば、2階に住んでるんだよね? じゃあ、ベッドでやってよ」


「ベッドで?」


「だって、座ってるとやりにくいでしょ? うつ伏せになってたほうが、絶対気持ちいいよ」


理屈は分かる。が、さすがにいきなりベッドでというのは少し躊躇する。


「大丈夫、大丈夫! 気にしないで♪」


彼女の勢いに押され、俺は結局2階へ案内することにした。



「それじゃ、失礼しますね」


「はーい♪」


彼女はベッドにうつ伏せになり、俺は背中に手を置いた。


まずは肩と同じように、軽く雷魔法を帯びさせながら、背中を押していく。


ビリ…ッ


「あっ…♡ うん、やっぱりいい感じ~」


「痛くないですか?」


「ぜーんぜん♪ もっと強くてもいいかも!」


言われた通り、少し強めに圧をかける。


ビリビリ…


「あぁ…♡ すごい…なんか、全身がじわ~ってほぐれてく…♡」


俺の手のひらから伝わるのは、筋肉の緊張が徐々に解けていく感触。雷魔法が微細な刺激を与え、血行を促進しているのかもしれない。


「…そういえば、この町にマッサージ店ってあるんですか?」


「ん~? あるよ?」


「え、そうなんですか?」


「うん、でも…そこより絶対こっちのほうが気持ちいい…♡」


彼女はとろんとした表情で呟いた。


「そっちのマッサージも悪くはないけど、やっぱり普通の手もみでしょ? こんなビリビリ~って気持ちよくなるやつはなかったよ…♡」


(つまり、俺のほうが圧倒的に上手いってことか…)


「……もしかして、俺のほうが上手いってことですか?」


「うん、間違いなく!」


彼女は迷いなく即答した。


「今までいろんな方法で肩こりを解消しようとしてたけど、こんなに気持ちよくなったのは初めてだよ~♡」


(マジか…)


思いがけない評価を受け、俺はふと考え込んだ。


(俺の才能…戦闘では役に立たない。でも、これなら…?)


自分の魔法の才能を活かせる場は、戦場ではなく、人々の疲れを癒す場所なのかもしれない。


「……ちょっと、試しにやってみるか」


「え?」


「マッサージ店、開業してみようかなって」


ぽつりと呟いた俺の言葉に、彼女はぱっと顔を上げ、にっこりと笑った。


「それ、絶対いいと思う! 絶対、流行るよ♪」


俺はそんな彼女の反応を見ながら、ふと気づいた。


──彼女の息遣いが、さっきよりも微かに熱を帯びている。


──顔はまだほてりが残っていて、目は潤んでいる。


──そして、俺を見つめる視線が、どこか誘うような甘さを帯びている。


「ねぇ…」


柔らかい声が、俺の耳元に届く。


それが何を意味するのか、考えるまでもなかった。


──このマッサージには、思った以上の効果があるらしい。

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