詩の言の葉
まちさまへ
詩を書くことの意味を
考えるほど愚かしいことはないと
それは何度も何度も
滅びゆくように想い知ってはいるけれども
寂しいニュースばかり
世界中から聴こえるもんだから
なんか
前向き生きてくことが
バカバカしくもなったりするんだよね
凍てついたアスファルトの輝きが
なんだかむしょうに美しくみえて、さ
ヒビ入ったコンクリートの頑固さが
それでもそれがぜったいなんだと
訴えてるように想えて、さ
そういえばそういえば
私はダイヤモンドの実物を
みたことがあるのだろうか?
あるだろうし
私の持ち物すべてひっくり返したら
たったひとつは出てくるはずさ
婚約指輪とか
けれども金銀財宝に
埋まって生きてみたいとは
想わないからちょうどいい
ダイヤの指輪の置き場所を
忘れるくらいがちょうどいい
稀な大雪のせいで
電車は止まり
いつ動くかわからないそう
でもいずれ
絶対ダイヤは復旧するでしょう?
粛々と
粛々と
時は流れるものですから
流れ流れて
やがて私を何処へ連れてゆくのか?
棺から
こぼれる声を
むかし聴いた気がする
いちにちまえの
『辛かったけど、楽しかったよ』
というあのひとの心の声だと信じた
ただの時間は流れてゆき
一秒は一秒として
一生は一生として
子どもの頃は
都会に『ゆく』という感覚だった
それが嫌で
都会に『住』んだ
人の波に呑まれ呑まれて
心は削られカラッポになりかけたりもした
街を刺す夕陽の赤が
まるで血の色にみえたときなぜか
そのとき私はなぜか泣いていたという
恥ずかしい記憶を
あのひとに救いいだかれて
綺麗さっぱり消せたというくだらない
ちいさな恋の物語