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感謝祭とヒカリの想い

感謝祭2日目

昨日は王城教会の一般公開があってたくさんの王都民が城を訪れた為、待機列の整理や誘導で大忙しだったけど司祭のありがたい説法やヒカリたち王城の女官による子供達へのお菓子プレゼントで訪れた人々は皆楽しんでくれていた。


そして今日は休日!みんなでお祭りに繰り出そう!

みんなとは城門から少し離れた大きな樹の下で集合することになっている。

ディーアを連れ出すことはすでにみんなには伝えてある。

ケンは普通に賛成してくれたしヒカリはもっと反対するかと思ったけど意外とあっさり了承してくれた。

ルリ姉に至っては「ディーアちゃんの変装は任せといて~あとお姉ちゃんも一緒に行くからね~」と言ってたから問題はない。まあ、けしかけた張本人なのだから当然と言えば当然だが。

待ち合わせ場所に着くとそこにはすでにケンとヒカリが来ていた。


「早いな二人とも。」


「まさか遅れてお待たせするわけにはいかないからね。」


「当然でしょ。」

言うまでもないがお待たせしてはいけない対象はオレではない。


「あら、もうみんな揃ってるのね~」

そこへルリ姉とメイド服の・・・ディーアが登場。

「こちらは新人メイドのイデアちゃんよ~よろしくね~」

とルリ姉がディーア(メイド服ver)を紹介する

(ルリ姉ネーミングが単純!)


「ど、どうもイデアです。今日はよろしくね。」


「こちらこそよろしくお願いしますイデアさん。」

さらっとケンが返す。


「イデアさんその服とっても似合ってます!アタシも来てみたいかも。。」


「そ、そう?ありがと。」


「ディ・・じゃないイデア、今日はよろしく。いっぱい楽しもうな。」


「うん。ジント()()もよろしくね。」

「ところでこの服どうかしら?」


「い、いいんじゃないか。普段と違う雰囲気で。」

直視できず少し目をそらしながら答える。


「むー。やっぱりアタシも着たかったー。ねえルリィさん。」


「あらあら~ヒカリちゃんも似合いそうね~今度着てみる?」


「はい、是非お願いします!」


「ヒカリぃ、服の問題じゃないかも知れないぞぉ?」


「ケン兄うるさい!」


「よし。じゃあそろそろ行こうか。」

みんなに声をかける。そう、前回とは違い今回はディーアを変装させて堂々と城から出かける作戦だ。


みんなで自然に振舞いながら城門の門番の前を通り過ぎる。

門番の兵士はこちらを一瞥したが特に声を掛けられることもなく通り過ぎることができた。


「意外とあっさり通過できたね。」ケンが少しホッとしたように言った。


街へでると大通りにはズラッと屋台が並んでいて甘い香りや香ばしい香りが漂っている。


「イデア、何か食べたいものある?」


「そうね。あ、ジント、あれなんか美味しそう!」

(呼び方もういつも通りに戻ってる。まあいいけど。)


「ジン兄、これ一緒に食べよう!」ヒカリがベビーカステラを手にしている。


「ル、ルリィさん、ここのクレープは評判だそうです。」


「あら~確かにおいしそうね。食べてみようかしら~」


まずは一通り屋台の食べ物を楽しんだ後、王都内を散策。

王都内の各家では感謝祭の飾付けがされており広場では大道芸をやっていたり賑やかな音楽が聞こえてきたり子供たちがはしゃいていたりとオレ達は普段とは違うお祭りの雰囲気を満喫。

でも楽しい時間が過ぎるのは早いもので夕方近くになり王城へと戻る。帰りも拍子抜けするほどあっさりと城門をくぐり中へ入りことができ、朝集合した大樹の下へ到着した。


「みんなありがとう。今日はとっても楽しかったわ。」


「ああ、来年もみんなで行けたらいいな。」


「アンタ来年もディーア様を連れ出すつもりなの?」


「じゃあ、外出が露見しないうちに戻りましょ。行くわよルリィ。」


「はい。ではみなさまごきげんよう~」

ディーアとルリ姉がまず帰っていった。


「さーて、それじゃ僕も仕事残ってるからそろそろ戻るね。」

続いてケンが戻っていきヒカリと2人になった。


「オレたちも戻るか。ヒカリも楽しかったか?」


「・・・ねえ、ジン兄。」


「?」


「目、閉じてくれる?」


「何で?」


「いいから、閉じなさい!」

そう言ってヒカリは背伸びして目隠ししようとする。」


「わかった。わかったよ。これでいいのか?」


「うん。そのまま動かないで。」

ヒカリがこちらに近づいてくる気配がするがこんなときどうしたらいいのか

分からない!


ヒカリの気配が顔の近くまで来たので慌てて喋ってみる!

「あ、あのヒカ・・ムグっ!?」

喋りかけて開いた口に何かが詰め込まれた。・・これは・・・ベビーカステラ?


「1個残ってたからあげる。じゃあね、ジン兄!」

言い残すとヒカリは走って行ってしまった。


「・・何だったんだ?おいしいけど。」

オレは釈然としない気持ちを抱えながらしばらくその場に立ち尽くしていた。


ヒカリは走りながら考えていた。

(ジン兄はきっとディーア様に惹かれている。でも王女であるディーア様とジン兄が結ばれる可能性は高くない。その時に支えてあげられるのは・・・)

それにしてもさっきのは少し恥ずかしかったと思いながらヒカリも自室へと戻っていく。


今回は王女を連れ出したことが露見しなかったようで城内は普段と変わらない。

こうして感謝祭2日目は過ぎていった。


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