エンちゃん
「この赤い竜は・・・?」ジントがエンちゃんに手を伸ばす。
ガブっ!!エンちゃんがジントの手に嚙みついた。
「いててててt・・こら、離せっ!」ジントが叫んでもエンちゃんは離れない。
「エンちゃん、ジントに噛みついちゃだめよ。」ディーアが言うと
ぺっ!!とエンちゃんはジントに噛みついていたのを離した。
「かわいい~」ヒカリが近づいてきてエンちゃんに触ろうとする。
「ヒカリ、危ないぞ!そいつ噛みついてくる!」ジントがヒカリを止めようとする。
だがエンちゃんはディーアの肩からヒカリに抱っこされておとなしく撫でられている。
「ぼむぼむ♪」変な鳴き声だが尻尾まで振って上機嫌そうだ。
「ディーア様、この竜・・・エンちゃんがディーア様の力ですか?」とケンも近づいてくる。
しかしエンちゃんはヒカリに抱っこされているからかとてもおとなしい。
(男には噛みついてくるお約束の展開だと思ったのにな。)ジントは様子を窺う。
「そうよ。さっき向こうの世界・・・多分私の心の世界だと思うんだけどそこに行ってて、そこではもっと大きくてゴツゴツしてて怖い感じの竜だったんだけどこっちに戻ってきたらこんなにかわいい感じになっていたの。」
「じゃあ、そのエンちゃんを使って戦うんですか?」
「違うわ。確かにエンちゃんは自由に出すことができるけど力を使うときは私の中に入ってもらうの。その状態だと力を使うことができるのよ。」
「なるほど。それでどんな力なんですか?」
ケンはディーアの能力が気になるようだ。いや、オレも気になるけど。
「エンちゃん戻って。」ディーアが言うとエンちゃんは「ぼむ!」と鳴いてヒカリの腕からディーアの方へと飛ぶ。ディーアの体に触れた瞬間にエンちゃんの姿は見えなくなった。
そして・・・
「いくわよ。」ディーアが言うとディーアの中の魔力量が膨れ上がり、体から火の粉が舞いはじめた。
これが力を解放したディーア?前にルーア様が魔王クラスの力って言ってたけど凄まじい魔力を感じる。
「あら、まあ、ディーアちゃん、赤い妖精さんみたいでキレイだわ〜〜。」ルリ姉も驚きを隠せない。
「この状態だと炎爆って言って爆発させてさらに炎で攻撃するのが使えるみたい。もっと慣れれば他にも使えると思うわ。」
あな恐ろしや・・・いや、いや、そういうことじゃない。ディーアに戦わせてどうするんだ。
しかしこれで戦力が大幅に上がったのも事実だ。
「これは・・予想以上です。」ケンが目を丸している。
ディーアが元に戻りみんなに言う
「でもこれだけでは敵には勝てないわ。もっと協力してくれる仲間が必要ね。」
よしよし、みんな最初のドタバタに加えてディーアの覚醒ver.とエンちゃんに気をとられてキスのことは忘れてるな。
「オレたちももっと強くならないとな!そういえばルーア様からオレも早く目覚めろ、みたいなことを言われたんだけどオレにも何か眠ってる力があるのかな?」
「もしそうだとしたらジントも大切な人に封印解除して貰えばいいんじゃない?」何気なくディーアが言う。
「!!そうだった!ジン兄、ディーア様とキ、キ、キスを・・・」ヒカリがまたわなわなと震えている。
ヤブヘビ!
「じゃあ、ジントの大切な異性って誰なんだ?」ケンが畳み掛けてくる。オイウチ!
「え?そ、それは・・・,えーと、いやまあ、みんな大切っていうか・・・ナハハハ・・・。」
「なによ、ハッキリしないのね。ちょっと男らしくないんじゃないかしら。」ディーアまで被せてくる。
ツイゲキ!
これはもしかしたらチャンス到来かも!(ヒ)
「そ、その、もしジン兄がアタシのことが大切なら、試してあげてもいいっていうか・・・」モジモジ
しかしジントの耳には入っていなかったようで言葉を被せてくる。
「いや、オレの場合はディーアと同じとは限らない。来週にリミリいわくオレの父親である大精霊と会えるのならそいつに確認してみるよ。」
「アタシの決意・・・。」
「?何か言ったかヒカリ?」
「なんでもないわよ!ジン兄のバカあ!!(泣)」
「ぼむ!」ヒカリの泣き声を聞きつけてエンちゃんが現れてスリスリしている。
「ヒカリ、エンちゃんに気に入られてるな。」
ジントが言うとエンちゃんはジントの方を向いて「ガルルルル!」と威嚇する。
「アンタは嫌われてるみたいね。」
その様子を見ていたケンがヒカリに助け船を出す。
「無事に儀式はできましたけど部屋がめちゃくちゃになっちゃいましたね。今日は遅いから明日頑張って片付けましょう。ディーア様、ルリィさん、すいませんが手伝ってもらえますか?」
「それはもちろん、私が原因だもの。」
「お掃除は任せて〜〜」
「ん?オレは?」ジントは自分の名前が出なかったので疑問を口にした。
「ジントとヒカリは買い出しと木の実集めをしてきてくれ。まだしばらく滞在するだろうから多めにな。」
確かに土地勘のあるヒカリと荷物持ちがいた方が良さそうだ。
「わかった、明日は道案内よろしくな、ヒカリ。」
「しょ、しょうがないわね。ジン兄が迷わないように一緒に行ってあげる。」
ヒカリの機嫌も少し直り明日は買い出しに行くことになった。




