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封印解除(ディーア)

どうしてこうなったのかーー先ほどまでみんなで食事をしていたリビングには食事も終わったというのにヒカリ、ルリ姉、ケン(お前もか!)の全員が残り、オレの正面にはディーアが座っている。

オレはもちろん一旦部屋に戻り洗顔と歯磨き済だ。


ディーアは顔を赤らめ、少しうつむき加減ながらも

「そ、それじゃお願いジント・・・。」と言う。


「目を見ないといけないから顔を上げて。」覚悟を決めたオレはディーアに言った。


「うん・・・」ディーアがうるんだ瞳でこちらを見つめる・・・可愛すぎる・・・

これは・・・確かに間違いが起こらないとは限らない。みんながいてくれて良かったかも知れない・・・と初めてこの状況に感謝できる気がした。


「それじゃいくよ。」

「「汝を護りし闇の箱、その役目を終え閉ざされた扉を開放せよ・・・・・・・」」

最後の愛してる、は多分言わなくても大丈夫だろうと思ったけどこれだけやってやり直しになったら

困るので小さく呟いた。

そしてディーアに近づき口づけを交わす。

瞬間

ディーアの体が赤い輝きを放つ!

「ああああっ!!」ディーアを中心に尋常ではない魔力が渦巻いている。まずい、これは7年前と同じだ。このままだと暴発してしまう!


「ディーア!」ジントはディーアの体を思い切り抱きしめる。体が炎で焼けるが構ってはいられない。今ここで力を暴走させると全員助からないだろう。横目にケンたちの状況を見やるとケンが緑壁グリシェルを展開させてヒカリとルリ姉を守っている。みんなこちらに向かいおそらく名前を叫んでいるようだがあいにくとここまでは聞こえない。


あとはディーアに何とか魔力を制御してもらうしかない。

「大丈夫、今のディーアならこの力をコントロールできるはずだ、頑張れ!!」


(このままじゃジントを・・みんなを吹き飛ばしてしまう・・・でも抑えられない・・)

ディーアは一瞬意識を失ったが、すぐに気を取り直し大きく目を開いた、が・・・

(あれ?ここはどこ?)目の前に広がる景色は先ほどまでのリビングではなく一面に広がる緑の草原の

ようだった。

(さっきまでの魔力が消えてる・・ジントは?みんなはどこに行ったのかしら?)辺りを見渡すと遠くに何か黒い箱のような物が見える。

(何かしら?)ディーアは恐る恐る近づいていくとそれは大きな鉄の箱で全面が鉄格子になっている。

鉄格子には鍵と扉が付いているがその鍵も扉も開いていた。中を覗いてみるが何もなく空っぽだった。

(カラだわ。扉が開いているけど何か入っていたのかしら・・?)


「こっちだ。」突然ディーアの後方より声がした。

!?ディーアは慌てて振くと大きな赤い竜がそこにいた。

「オマエが私の主か?」竜が問いかけてくる。

(なるほど、これが自分の中に封印されているという力なのね。)ディーアは直感的にそう感じた。

「そうみたい、あなたは?」ディーアが問いかける。


「ワレは炎竜。オマエが誠にワレの主であるというならワレにその覚悟を示せ。」


「覚悟・・?どう示せばいいのかしら?」


「オマエは何のためにワレの力を欲するのか?」


(何のために?そんなの決まってる。)

「奪われた王国を取り戻すために力が必要なの。あなたが私の力だというならお願いその力を貸して。」

自分の力に向かって力を貸してほしいというのは変だけどあの竜は自分とは別の存在としてそこにある気がした。


「ではさらに問う。オマエは何だ?」


(また不思議なことを言うのね。)

「私はディーア=オルメン。オルメン王国の王女にして王国の次期王位継承者だった者よ。でも王国は

奪われてしまった。私はそれを取り戻して再び平和な国を作りたい。」


「では最後に問おう。今、オマエは平和な国を作ると言ったがワレの力を使い国を奪い返すとなれば

平和とは真逆の道を歩むということ。オマエの歩いた後には敵や仲間の屍が積み重ねられているであろう。それでもオマエはその道を信じ進む覚悟があるか?」


「それは・・・」それは確かに重い決断だと思った。王国を取り返すということはあの強大な敵と戦うということだ。負けるかも知れないしたとえ勝てたとしても竜の言うようにこちらにも犠牲がでるだろう。

王国の奪還をあきらめればここで平和に暮らせるかもしれない。そうすれば大切な仲間たちが傷つくこともない。

しかし、その道は選べない!祖父と父が造り、ジントやみんなと暮らしていた日々を取り戻さなくては!

黒騎士にされてしまった民や今も支配されている民を開放し、元の生活を送れるようにしなければならない。自分は王女なのだから!

「覚悟は・・・あるわ。私は王女として王国を取り戻す義務があるの!」


「・・・よかろう。ワレの力は今よりオマエのものだ。ワレの力で敵を焼き払ってみせよう。それから・・・・・以後ワレのことはエンちゃんと呼ぶように。」


「え・・・?エンちゃん・・・?」


「ウム。では戻るがいい。」

エンちゃんがそう言うとこの草原のような世界が消える。

次の瞬間にはあのリビングに戻ってきていた。というより意識だけが向こうに行っていたということだろう。


(収まった・・・のか?)ジントは先ほどまで渦巻いていた魔力と炎がディーアの中に収縮していくのを

感じていた。そして今はすっかり魔力も炎も消えている。

腕の中で意識を失っていたディーアが目を開けた。

「ジント・・・?大変!ケガしてるわ!」と言って治癒をかけてくれた。


「ディーア、力を制御できたんだね。」


「ええ、何とか言うこと聞いてくれるようになったみたい。」

ディーアがそう言うとディーアの肩にちっちゃくて赤い竜が現れた。

「エンちゃんって言うのよろしくね。」

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