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ハルア

キミク司祭が出かけてから30分後、教会に20人ほどの村人が集まってきた。

祭壇にはディーアが立ち、周りはオレたちで念のため護衛しているが村人は村長を初め、皆老人ばかりだった。


「おお、王女様。お目にかかれて光栄です。私はイルカナム村長のゼンタラ。今日は何用でこんなところまで来られたのですか?」


「実は・・・信じられないことかもしれませんが・・・昨夜王都が襲われたのです。」ディーアは王都が襲撃されムルタ国王が殺害されたこと。王都を何者かに奪われてしまったこと、騎士団の活躍により自分たちは何とか逃げ延びてきたこと、王都民は敵の結界の中で支配されているらしいこと、を話した。


「な、なんと王都が・・・。」

「そ、そんな・・・。」

「あの最強の騎士団がいながら賊に負けたというのか・・・」

村人は皆、信じられないといった様子だ。


「私たちは反撃の機会を伺うため一旦引くことにしました。そのために馬車をお借りしたいのです。皆さんもここにいては危険です。すぐに避難してください。」ディーアが話す。


村人たちがディーアの言葉に一斉に顔を見合わせる中ゼンタラが口を開いた。

「王女様、馬車はどうぞお使いください。私の所有するものを献上いたします。しかし我々は見ての通り年寄りばかりです。体の悪い者もおりますし、他へ行くのは難しい。それに我々の子たちは王都で暮らしておりました。先ほどのお話ですと敵の支配下にあるとはいえ生きている可能性もある。我々はここに残ります・・。」


「でもそれでは・・・」ディーアは考え込んでいる様子だったが村人たちの決意の固さを見て渋々「わかりました。でも敵が迫ってきたら王家の隠れ家を使ってください。」とカギを村長に渡した。


村長から馬車を受け取ると村人たちに別れを告げ一路ハルアを目指しイルカナムを後にした。

馬車の御者台にはジントが座り、ほかの皆はキャビンに乗り込んでいる。

「ほんとうに村の人たちを避難させなくてよかったのかしら・・・。」ディーアが遠ざかっていくイルカナム村を見ながら呟いた。


「村人を守ってくれる騎士団はもうなく、安全な場所もあるのか分かりません。悔しいですが今の我々にはどうすることもできない…」ケンが暗い感じで答える。

「でもケン兄の偵察だと王都では虐殺は起きてないんでしょ?それなら今は敵の支配下に入っても後で助け出せば良いじゃない!」ヒカリがわざと明るい感じで話す。

「そうねぇ〜〜。その通りじゃないかしら〜〜。ねえ、ジントちゃん?」ルリ姉もヒカリに同意する。


「そうだな。まずはハルアに入ってどうやって王都を奪還するかを考えよう。」馬車を操縦していたジントが振り返って答える。


その後ジントたちはいくつかの町、村に立寄りながらイルカナムと同じ様に王都が襲撃を受け、奪われたことと黒い結界が広がりつつあることを伝えながらハルアに向かう。

どこでもディーアの人気は凄くて中には今すぐ蜂起して王都を奪還しに行くという若者たちもいたがディーアが「いずれ力になってもらうから今は王都からなるべく遠くに身を潜めて欲しい。」と言うと皆納得し落ち着きを取り戻していた。

お陰で物資の調達にも苦労はなくイルカナムを出発して5日後にはハルア近くまで迫っていた、


ケンの道案内を頼りに馬車を走らせていたがやがて道が無くなった。

目の前には鬱蒼とした森が広がり、霧もかかっているため、どこまで森が続いているのか視認することはできない。


「ここから先は道がないな・・・,馬車では進めないか・・・。どうする?」ジントが振り返って尋ねる。


「ちょっと待って。ここからなら・・」「「遠視(ホクビュー)」」

ケンが力で作った鳥を森の方向に飛ばす。

やがて飛ばした鳥が戻ってくると目の前の森の一部の木が移動し道ができた。


「おお!凄いなケン。こんな能力もあったのか!」ジントが感心していると

「違う、違う。もともとある精霊の結界を解除してもらっただけ。ハルアに住んでる者たちなら誰でも解除できるから力を使って帰ってきたことを知らせたんだ」ケンが答える。


「なるほど。これなら馬車でも通れそうだな、」ジントが馬車を進める。


やがて少し開けた場所に出た。

「ジン兄。着いたよ。」

ヒカリに言われ、ジントが馬車を停めるとみんなが降りてくる。

すると、木の陰からエルフの子供が出てきた。

「誰かと思ったらケンシーとヒカリじゃないか。ナダとトラクに会いに来たのか?」


「タハル、久しぶり。父さんたちに会いに来たというよりしばらく匿って欲しいんだ。」ケンが答える。


「ふーん。そういえば見たことない奴ら連れてるな。仲間か?」


「そうだよ。じゃあ少し急ぐからまたね。」

ケンが会話を終わらせて歩き出す。


やがて扉の付いた大きな木が見え、その隣に背が低めのかわいらしい女性がいるのが見えた。

「ただいま、母さん。」ケンが話しかける。


「おかえりなさい、ケン、ヒカリ。大変だったみたいね。ケガとかしてない?」


「戦闘でお腹に穴が開いたけどディーア様の治療のおかげで治ってきてるから体は大丈夫だよ」


「あのときはケン兄死んじゃうかと思った・・・アタシはみんなが守ってくれたから大丈夫!」

ヒカリも答える。


「まあ!私はケンとヒカリの母でナダと言います。ディーア様、ケンを助けて頂いて本当にありがとうございました。」ケンの母がディーアの方に向き直り頭を下げる。


「いいえ、私の力が足りないばかりに多くの騎士やおじ様まで犠牲になってしまい王都を奪われてしまいました。私がここまで来られたのもケンシーとヒカリのおかげで二人には助けられてばかりです。」


「そう…王様まで…つらかったわね。。あ、そうそう、こんなところで立話もなんですから、皆さん、長旅でお疲れでしょう?さあさ、中へ入って。」


ナダさんに続いてオレたちはケンとヒカリの家に入っていった。

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