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王からの依頼

感謝祭3日目

王都中が活気と喧騒に包まれた感謝祭もいよいよ最終日。

あとは国王の感謝祭閉幕の挨拶を残すのみとなり、前回同様オレは広場の警備にあたっていた。今回ケンとヒカリは他の仕事で広場には来ていない。

辺りを見回してみるが前回の演説の時よりも人が多いだけで皆整然と並んで聴いており、特に問題なく王の挨拶が続いている。


「―――今回特に農産物が豊作であったニルノスはもともとーーーー」

以下略


(長い挨拶だな。年取るとみんな話が長くなるのかなあ。)

そんなことを思いながらも周囲への注意は怠らない。


「―――思い起こせば55年前ワシと先代の王ゼクタはまだ未開拓の地であったーーー」

また略


(まだ喋る気かよ。かれこれ30分は喋ってるぞ。)

壇上を見上げるとディーアが少しあきれた表情を浮かべている。


「――そんな国難を乗り越えてこの王国は今の姿がある。それはひとえにーー」

45分経過、またまた略


(皆立って見上げているからそろそろ貧血で倒れる人が出始めるんじゃないだろうか。誰かやつを止めてくれ!)ジントは心の中で叫んだ。

その願いが通じたのかようやく挨拶が終わろうとしていた。


「――来年も皆とここで会えるのを楽しみにしておるぞ。ここに感謝祭の閉幕を宣言する!」

行儀よく聞いていた民衆もようやく終わったという表情で拍手を送っている。

ともあれ3日間の感謝祭は無事に閉幕したのであった。


「ジン!」

広場の警備が終わって城内へ戻っていたオレにケンが話しかけてきた。


「おお、お疲れーケンそっちも問題なかったか?」


「ああ、大丈夫。それよりも今日の夕食後、僕たち3人に謁見の間に来るようにってガリオラ様から言付かっているんだ。」


「大臣から?」怪訝な表情でケンを見返す。


「なんでも国王様からお話があるみたいだぜ。」


「えっまさか昨日の外出がバレたのか?」

ディーアを連れ出してお祭りに行ったことが知られてしまったのではないかと内心焦りを感じていた。


「安心しろ。そっちはたぶん大丈夫だ。それなら即呼び出しになるだろ。」


「それもそうか。分かった。伝言ありがとう。」

ケンと別れて部屋へ戻ると着替えて夕食へ向かった。

夕食を済ませると謁見の間の前でケン、ヒカリと合流して扉をノックする。


「ジント、ケンシー、ヒカリの3名、お呼びにより参上しました!」

中に声を掛けると「入りなさい。」と返事があった。


部屋に入り見回すと玉座にはムルタ国王、その傍らにはガリオラ大臣、ヤギウ師匠、ディーアの3人がいる。


師匠より視線で近くに来るように促されたので王の声が聞こえるくらいまで歩み寄る。

指示された所まで歩くとムルタ国王が話し始めた。

「よく来てくれた。早速だが君たちにやって欲しいことがあるのだ。

ディーア王女を連れてメルサリスに行きドルゴア殿を見舞ってきて欲しい。」


「ドルゴア様をですか?」ケンが聞き返す。

ドルゴアといえば魔族国の現国王にしてルーア妃の父、ディーアの祖父にあたる。


「うむ。ドルゴア殿はかなりの高齢で残念なことにもう長くはないようなのだ。ワシの国王就任の親書をお渡しするとともに次のメルサリスの実権を握ると目されるバロビア王子とも友好関係を築いておいた方が良い。」


バロビア=マーダッド: ドルゴア王とメア妃の子でルーア妃の兄にあたる

先のゼクタ王がメルサリスを訪れた時には国内の反乱分子征伐に出ていてゼクタ王との直接の面識はなかったようだ。


「ヤギウ団長。メルサリスへ行ったことがあるのは団長だけだ。体には負担をかけるが王女とこの若者たちの先導を頼めるか?」ムルタ国王が師匠に向かって問いかける。


「御意。姫様もそれでよろしいですかな?」


「私は、私はお母さまの生まれた場所を見てみたい。それにお祖父様やお祖母様、叔父様ともお会いしてみたい。爺、ジント、ケンシー、ヒカリ、一緒に来てくれるわね?」                          

40年前に王国とメルサリスの間で不可侵条約が結ばれて以降、知能の高い魔族の中には人間と親交を深めているものもおり、オルメン王国の各地に定住している魔族も多い。

だがメルサリスにはドルゴア王に従わないものや、もともと気性の荒い者も多くおり、王家間での行来はあまり行われておらずディーアはメルサリスに行ったことがない。


「騎士ジントどこまでもお供いたします。」


「御意。」


「承知いたしましたディーア王女様」


「かしこまりました。ディーア様。」

皆、ディーアと共にメルサリスへ行くことに同意し全員の参加が決定した。


「では早速先方へ使いを出し、我々も準備に取り掛かるとしますかな。ジント、今回の訪問団は通常の警備に支障が出ぬようお前を含めた直属の10名で行く。平和とはいえ道中何があるかわからぬ。気を引き締めて行くのじゃぞ。」


「かしこまりました師匠。もう油断はしません。」

すでにルーア様に背後取られましたからね・・・


「出発は明後日。それまでに準備を整えておくように。では頼んだぞ。」

「御意。」「はっ!」「承知しました。」「かしこまりました。」「はい。叔父様。」

今度はディーアを含めた5人が返事をしその場は解散となった。




――深夜 城庭の一角にてーー


暗闇の中何事かを話す2つの影があった。


「――――は計画――侵入―――――」

「――――――内部――――?」

「――――城へは空――――――――」

「そう。機は熟したーーー決行はーーーーーー」

「――!」

やがて2つの影は闇の中に霧散していったーー

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