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最後の転生者3

「これらの兵器なら実戦で通用すると思うか? 」


「長期戦では勝ち目は無いですね。短期決戦、それに戦争を始める時は奇襲を仕掛ければ勝機はあるでしょう」


「技術面では我が帝国が優れているがむずかしいか難しいか」


「技術面だけで言えば帝国は優れているでしょう。ですがそれだけです」


 技術が進んでいても運用を間違えたら兵器は活かされず活躍は出来ない。

 それに皇帝が行う予定の戦争は元の世界で行われた世界大戦と同じ規模になるだろう。


 一度目の大戦を経験していたから2度目の大戦でノウハウが活かされ新技術や兵器が数年でかなり発明され開発された。


 だが、この世界は一度も世界大戦を経験していないのに元の世界にあった兵器を急いで開発生産して配備している。


 俺に求められるのは戦争関係ともう一つ、俺の居た世界の歴史を教える事も含まれるのでは無いのか。


「むずかしい顔をしているがこれらの兵器だけでは不安か? 」


「不安ではありません、ここまで技術が進んでいたら貴方の野望は叶うでしょう。

 ですが思う所がありまして、なるべく人が居ない所で話したいのですが」


「分かった列車に乗った後に話そうか」


 駅に戻る道中、街の風景を見ているが特質するのは鉱山と一体になってる所だ。

 山の方に行けば鉱山や合金で働く人達が居て離れていくと住宅地や食品関係等の消耗品を売ってる店が並んでいる。


 ドワーフは洞窟の中で暮らしてる印象を持っていたが物語の世界と異世界の世界は別なのかもな。


 他の転生者はリアルの異種族を見てどう思ったのだろうか。

 リアルよりも二次元を優先した転生者ならイラストの方が良いと泣いて言うかもしれないな。


 特に先程から街中を歩いてるドワーフの女性は何と言えばいいか·····。

 リアルだと髭が生えているんだな。アニメでは生えていなかったぞ、こいつら女性でも男性と負けないくらい毛が濃い·····。


「どうしたんだ? 先程からドワーフの女性の方ばかり見ているが」


「いや、俺の世界ではドワーフに髭は生えていなかったので新鮮と言うか斬新と言うか·····」


「時折思うのだが君達の世界には人族以外の人種はいるのか?

 君の反応を見ていると異種族を見るのは初めて見たと顔に出ているが」


「異種族は物語で出てくるが実際は人間しか居ないな。後は動物とか虫とか多分こっちの世界にも生息してる生物だな」


「椿の世界には異種族が居ないんだな。

 私からしたら居るのが当たり前だが君からしたら居ないのが当たり前なんだな」


 そうだよな、この世界は物語の話が現実になっている世界だもんな。

 撃たれた傷を癒したいのは魔法だし街中に居るドワーフや後ろを見るとエルフや獣人はイラストで見るのと同じ見た目だ。


 エルフと獣人を見るが軍服を着てるって事は軍人だよな。

 人と異種族の混同した軍ってロマンはあるけど運用方法とかは考えた事ないな。

 軍に所属してる異種族はどの位居るのだろう。


「陛下、軍に所属してる異種族はどれ程居るのでしょうか」


「詳しい数字は参謀本部まで行かないと分からないが軍全体の二割程は異種族だな」


「他国も異種族を兵として運用しているのでしょうか? 」


「いいや、異種族を加えているのは帝国と東の島国だな。ほとんどの国は奴隷資産として運用している」


 この世界の人達は当たり前の様に奴隷制度が有るみたいだが、この帝国は違うのが街を見れば分かる。

 そこがこの国の強みで戦争になれば異種族の兵士が特有の個性を発揮して戦争が出来る。


 元いた世界では出来ない戦術が戦争計画が作れるのではないか。


 異種族や魔法が当たり前に存在するこの世界、奴隷の大規模反乱を経験していない世界。数百年続いた大国が数年で無くなる所を見ていない世界。

 この世界の人達は気づけないんだ。

 当たり前に有るから考えつかないんだ。


 元いた世界の出来事を応用して計画を作り採用されて上手く行けばこの世界で数百年は俺の名前が残るんじゃないのか。


 帝国·····いや、世界を変えた転生者として皇帝よりも名前が残るんじゃないか。


 元の世界じゃ後世に名前が残る事なんで俺には出来ない。

 だがこの世界なら出来るかもしれない。

 いや、俺なら出来る。この世界をこれからの歴史をこの手で作ってやる。


 その為には軍の把握だな。参謀本部に行って陛下含めて話をしないとな。

「陛下、私を参謀本部に連れて行ってください。そこで私の正直な意見を言おうと思います」


「参謀本部は帝都にあってな。着いたら真っ直ぐ行くとしよう」


 駅に着いた俺達はスネイル宛で参謀本部に全員集まる様に連絡して列車に乗り込んだ。


 この時の俺の顔は人生で一番悪い顔をしていただろう。

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