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最後の転生者1

 バスが転落してしばらく経ち意識が戻ってくると周りから爆発音が聞こえ始めた。


 段々と爆発音が大きくなり銃撃まで聞こえてくる。


 起き上がり周りを見渡すと左右には、塹壕が掘られてお互いを撃ち合っている。


 バスが転落したはずなのに周りにバスが無くクラスメイト達も見かけられない。


「銃撃しまくってるし塹壕あるって事は、崖の下は、映画の撮影か悪夢のどっちだ」


 状況が理解出来ないまま穴から頭を出し塹壕の方を見ると数人の兵士がこちらに来て銃を向けてきた。


 兵士の肩に着いてる国旗を見ると中世辺りでで見た事ある紋章を付けている。


「お前見た事ない服を着ているな何者だ」


「怪しいな殺すか」


 最初に会った人達が俺を殺そうとしてるんですけど。


 兵士達に銃口を向けられたら俺がやる事は、一つしかない。


 皆が大好きな命乞いだ。


「待ってくれ話をしよう。そう落ち着いて話をしよう」


 両手を上げて抵抗する気が無いことを証明仕様としても兵士達は、銃をずこっちに向けたままだ。


「話すと言われてもお前が味方である証拠が無いからなぁ」


「怪しいのは分かるよ。塹壕戦やってる所に制服の学生が居たら誰だって怪しく見えるのは」


「学生が何でこんな所に·····君は、どこの育ちだ?」


「大阪の生まれの大阪育ちだよ。親が標準語で喋ってた影響で俺も標準語寄りの関西弁で喋ってるから関西の人には、見えないと思うけど」


 彼の問いに答えても理解してなさそうな顔をされた。俺が怪しい人じゃないと説得しないと。


「まぁ目が覚めたらここに居たんだよ。漫画やアニメ見たいな異世界転生の様な状況だと思ってくれたらいいさ」


 俺が転生と口にしたら兵士全員の目付きが怖くなってマズイ空気になってきた。


 異世界転生と言ったから不審者だと思われたか?


「こいつ見た事ない服を着て異世界転生とか言ってるし本当に転生したんじゃ」


 まさかこの兵士、俺の言葉を信じたのか?

 異世界転生って言ってる怪しいの奴だぞ。

 俺だったら速攻撃ち殺してるぞ。


「君は、運が無かった。同情するが転生者は、殺さないと行けないんだ」


「殺す?」


 殺すと言ったよな。今から目の前の兵士達に撃ち殺されるのか?

 異世界転生って言ったからか。


 まだ状況が掴めないまま突如銃声がして俺の右肩に何か通った感覚がした瞬間、倒れてだんだん熱くなり手を触れると血が出ていた。


「なんじゃこりゃ·····」


 夢じゃなく現実だと確信した時には、恐怖で足が凍ったかのように動かなくなった。


「俺は15歳だぞ。こんな歳で死にたくない。

 誰か助けて」


 兵士達が引き金を引を引こうとした時目の前に雷が落ち咄嗟に目を閉じた。

 恐る恐る目を開けると兵士達は焦げて倒れていき少女がこちらを向き目が合う。


 俺が少女に見惚れていると後ろから兵士達が俺を囲み撃たれた所を処置してくれてるが痛みは、想像の百倍痛く気絶しかけた。


「どいてください治癒魔法を掛けます」


 後ろから別の兵士が現れ撃たれた所に手をかざすと光り始め痛みが無くなってきた。


「これで大丈夫です立てますね。

 安全な場所に行きますので着いてきてください」


 俺を立たせようと手を伸ばそうとした時に彼の頭に銃弾が当たり倒れた。


 助けてくれた人が死んでまた腰が抜けて立てなくなってしまった。

 その間も周りの兵士達が守ってくれる。


「男なのに情けない奴じゃ」


 小太りのおっさんが俺を担ぎ上げ反対側の塹壕に走り始めた。


 それに釣られ周りの兵士も走り始めたが後ろから砲弾の雨が降り注ぎ銃弾で兵士達が倒れていったが何とか彼らが居た塹壕の中に入れた。


「死ぬかと思った」


 俺が一息つこうとしたら一緒にいた少女が手を引っ張り塹壕の奥へと歩き始める。


「えっと何処に行くの」


「陛下の所」


 俺は頭を傾げると小太りのおっさんが肩を叩いてきた。


「今からお主は皇帝に会いに行くんじゃよ」


「皇帝ってあれだろ帝国の偉い人だよな」


「その偉い人とお主は、話をするのじゃ」


「皇帝と話すってそんな偉い人に会ってちゃんと喋れるかな」


 皇帝とか言ってるしこの人達の国は、皇帝が治める帝国で服装から多分19世紀か20世紀辺りの時代と予想できる。一体何処に迷い込んだんだ。


 悩みながら歩き続けるとまた小太りのおっさんに肩を叩かれる。


「ここが陛下が居られる天幕じゃ」


 俺は、これからの心配をしながら天幕に入ると金髪と銀髪で軍服を着た若い2人が座っている。


「初めまして私は、スネイルこっちはキールだ。君の名前を聞いてもいいかな」


 金髪がキールで銀髪がスネイルか。皇帝に会うと言われて緊張してたけどそれらしい人は、天幕に居ない。


「白石椿15歳の中学3年生だ」


「15歳か我々と同じ歳だなキール」


「陛下が読んでいた書物に書いてた通り10代の人族がやって来ましたね」


 キールの口から陛下と言葉が出た時、目を丸くしてスネイルの方を見た。


「キールさんから陛下って言葉が出たけどもしかしてスネイルさんが皇帝陛下?」


「私は皇帝だが敬語を使わなくていいよ。これから君は私の協力者になるのだからね」


「えっと·····頭が追いつかなくて質問してもいいかな?」


 スネイルは頷き歩いてる間に考えた事と今考えられる事をまとめ、スネイルに質問する。


「俺が今居る場所は何処で。塹壕の向こう側の兵士さん達は何で俺を殺そうとして貴方達は、何で助けたのか。

 そして俺で何を仕様としてるのか。

 多分これである程度、頭の整理が出来ると思う」


 スネイルは、それを聞いてくると予想してたのか少し微笑んで答えてきた。


「君は、異世界転生もしくは、召喚をして我々の世界に来た。これは、紛れもない事実だ。

 そして君を殺そうとした兵士は、隣国のフランク王国という国で昔、転生者が神と戦争した時、国が滅びかけてから転生者の事を嫌ってる国だ」


「やっぱり異世界転生してたのか·····てか俺以外に転生者が居たのか」


「一応居るが最後に来たのは30年前の神と戦争した転生者だ。最古の転生者は文明が出来る前だと言われ、今まで転生してきた者は認知されて居ない者を含めて一万人を超えると言われてる」


 それだけ転生者が居るって多分、国を作った奴も居てハーレムも作った奴も居るのかな羨ましい。


「何で俺が殺されかけたのかは、分かったことにするよ。もう一つの質問に入る前にこの世界の歴史を教えて欲しい」


「歴史を知るのならこの本を読むといい30年前に転生者の為に作られた書物だ」


 スネイルに渡された本を開くと、この世界の歴史について書かれていた。驚く事に著者名は、カズキと書かれてあり日本人だった。


「これは·····」


 書かれていたのは、この世界では、奴隷貿易が主流で主にフランク王国、北の島国ノルマン朝、元植民地だった連合国の三カ国が市場を握っており、南北戦争で南側が勝った世界線の様な世界の構成をしていた。


 そしてカズキはゲームの世界から来た転生者でゲーム感覚で暴れてたら奴隷を解放するやべぇ奴認定され教会から目をつけられ神を送り付けられ気がついたら神を数え切れないほど殺し、神殺しとあだ名が着いたらしい。


 お前が殺してたのかいとツッコミを入れて読み続けるとこの世界に転生してくるのは事故で死んだりゲームから転生したりと色んな方法がある。


 しかし時代が進むにつれ人数が減っていると書いてあって恐らく次に来る転生者、つまり俺が最後だろうと書かれていた。


「陛下はこの本を全部読みましたか?」


「読んだが一部分からない文面があって所々しか読めなかった」


 ゲームや漫画は、この世界に無さそうだし転生者だけが理解出来る文字列か。


 スネイルがこの本を読めたのは日本語を使ってる教育をしているのだろうと予想できる。文字を普及したのも転生者かな。


「歴史についてもある程度理解しました。

 それでは最後の質問を答えて下さい。俺を使って何を仕様としてるんです?」


「そうだな·····私の夢は世界征服だよ」


「はい?」


 変な声を出してしまったが世界征服と言われたら誰だってこんな声出るだろ。キールも出てたし。


「2人してはい?とは失礼だな。私は真面目に世界征服を仕様としてるんだぞ」


 ため息をしながらキールがフォローに入ってきた。


「陛下、奴隷解放の事も言わないと理解出来ないですよ。いつも一言少ないから理解されないんです。フォローする身の事も考えて下さい」


「つまりあなた方は、奴隷を解放する為に世界征服すると」


「私は、歴代の転生者がやって来れなかった奴隷解放を成し遂げたい。その為に椿には、協力してもらうぞ」


「何で俺が協力する事になるのか分からないですけど、なんの力も無いですよ」


「転生者は、昔から特別な力を手にしてこちらの世界に来るから心配いらない」


 さっき殺されかけても魔法や能力が使えそうには、感じなかったけどなぁ。


 2人は腕時計を見て立ち上がり天幕を出ようとしてキールがこっちに来いと手を振ってきたので俺も出た。天幕までついて来た兵士達もついてくる。

 

 よく見てみると小太りのおっさんは、ドワーフで耳の長い奴は、エルフで鉄鉢で隠れてるけど多分獣人みたいな奴もいる。

 気付けば隣にさっきの少女が一緒に歩いていた。


「そういえば名前を名乗ってなかったよね俺は、白石椿だよ。君の名前は?」


「ミリア」


 少女は、名前だけ名乗って黙ってしまい気まずい空気になってしまった。


 なんとも言えない空気の中、待機してた専用列車に乗り込まされ、これからどうなってしまうだと心の中で思いながら出発した。

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