コピアポア・シネレア
アントファガスタの
海岸砂漠は、
過酷な不毛にさらされ、
灼熱と極寒によって
常に有機の死と、
無機の沈黙が蓄積されている。
[死への道]と呼ばれる
その乾燥の大地には
無数の灰色の肉達が生えるのだ。
白綿の棘座に
黒い棘を生やす
このコピアポア・シネレアと呼ばれる球体は、
世界で最も雨の降らない枯渇の砂地に、
糸状菌の子実体の様に
発芽しているではないか!!
海からやってくる霧で乾きを凌ぐ
この打ちひしがれ、
耐え忍ぶ肉達は、
砂地という巨大な死魚に寄生する
グロキディウム幼生の様だ。
ああ!!
棕櫚や十字架を焼いた
聖なる灰の様なその鎧を見よ。
それは、キリストがこの大地を愛した証であり、
今ではキリストの死体に被せられた
茨の冠となっている。
例え、枝の主日が終わり、
騒々しい猿達がその罪によって
滅び去ったとしても、
この肉達は愛の証として
アントファガスタの地に聳え続け、
キリストの王国の許しを得るその時を
焦がれ、待ち続けている。