たまたる。
小さな小さな丘の上に、大きな大きなお屋敷がありました。
お屋敷の庭には、広い野っ原がひろがっていて、とても大きな榎っていう木が一本生えています。
その大きな大きな榎の木は、広い野原の真ん中に、ちょうど気持ちのいいくらいの木陰を作ってくれるので、夏は涼しく、お昼寝するのにはちょうどいい。
庭はそこそこ広くって、色んな木々が植えてありました。
小さな庭には、畑や池があって、人ひとりが住むくらいだったなら、この屋敷は、十分すぎるくらい快適だったの。
ある日ここに、『たまたる』と言う猫がやって来た。
玉垂は大きな大きな化け猫で、けれど本人は、きっとそのことに気づいてはいない。
自分は、『普通の猫だ!』と思っているようだけど、実際は多分、妖怪だ……。
何故ならその体は、クマほどに大きくて、その歳はなんと四百四十歳。
普通の猫なら、既に死んでいるはずだったし、もちろん人間だったとしても、とても生きているような歳じゃない。
それに、どんなに大きくなる種類の猫だったとしても、こんなに大きくは ならないもの。
けれど玉垂はきっと、その事に気づいてはいない。
だって、特別な力なんて、なにも持っていなかったから。
人を化かす……なんてことは出来なかったし、火を吹くことはもちろんのこと、水を操る……なんてことも、もちろん出来なかったの。
だから玉垂は、自分を普通の猫だと思ってた。
……あ。そうそう。
そんな玉垂にだって、たった一つだけ、出来ることがありました。
それはね、
──『隠れること』。
真っ黒なその体は、闇夜に溶け込み、周りの風景に紛れることができた。
月のように美しく輝くその瞳を閉じさえすれば、大きい体の玉垂は、誰にも気づかれることなく、過ごすことが出来たのよ?
え? 気のせいじゃないかって?
目をつぶっているから、ただ周りが見えないだけですって?
……いいえ、違います。
ちゃあんと、玉垂は隠れることが出来ました。
なぜって、自分だけではなく他のモノも隠すことが出来たもの。だからこれはけして、気のせいなんかじゃなかったの。
きっとそこだけ、不思議な力が働いたんだろうって思うのです。
だから玉垂は、その力を使って、お屋敷 丸ごと隠してみた。
誰にも見つからないように、深く深く隠したの。
もちろん、小さな丘ごと見つからないように。
誰かが来て、お屋敷を持って行ったりしたら困るでしょ?
だから玉垂は、必死になって自分とお屋敷を隠したのでした。
┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈
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