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僕は四つ子美人姉妹の家庭教師  作者: 佐古昭博
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四つ子の家庭教師

 僕、鹿島優は子供の頃から親から熱心に教育を施されたおかげで、小学校の時から高校二年生の今まで成績優秀だ。5位より下は取ったことがない。親からよく『勉強出来るかどうかで人生変わるわ』と言われて育ってきたので今まで素直に勉強してきた。まぁ実際、今まで勉強してこれたのはひとえに結果がついてきたお陰もあるが……。そう、そのお陰で、そのお陰で……、


「くくっ、また鹿島の奴一人でご飯食べているよ」


 僕には友達がいない! 今まで勉強一筋で来たものだから一人も友達がいたことがない! 本が友達という有様である……。いや、僕は別に友達がいなくても構わない。得意の勉強で人生を変えてみせる! ……まぁ、今はとりあえずご飯を食べよう。

 そして学校が終わりいつものように家に帰ると自分の部屋でのんびりスマホをいじる。僕の趣味は意外にも動画配信サイトを見ることで色んな映像作品を見ている。そして僕の好きな女優さんが出たりすると、テンションが上がる。最近はまだ売れていないが女優の山本美優を見るのが好きで、若手で脇役ながら演技は上手い。


「美優ちゃん相変わらず可愛いなーっ」


 他の作品にも時々脇役で出ているので、その時は心の中で応援する。


「お兄ちゃん、ご飯出来たよーっ」


 僕には姉と妹が一人ずついる。姉は大学生で県外におり、妹は中学生ながらしっかりしている。母は早くからいなくなり、親父は帰るのが遅いので僕のご飯の面倒はもっぱら妹が見てくれる。


「相変わらず美里の料理は旨いなーっ」

「友達とラインしているから早く食べてねっ」

「はい……」


 彼女は僕とは違い友達が多いのである。そして22:00過ぎになり部屋で漫画を読んでいると、どたどたと親父が帰ってくる。美里と僕の部屋は二階にあり、風呂とダイニングは一階にあるので親父はしばらく一階でご飯を食べたりする。23:00になり眠くなってきたので布団の中に潜ると、僕の部屋をノックする。


「優、起きているか?」


 親父だった。


「何?」

「もう眠いのか?」

「うん……」

「そうか。なら手短に言うが、実は俺の……いる会社の社長の娘達が……学校に転校するらしいんだ。それで……」


 ここからあまり親父の説明の記憶がないが、『四姉妹』、『勉強』と言った単語は何となく残っていた。


「うん……、うん」

「……頼めるか?」

「……分かった」

「そうか! 良かった。じゃあ頼むぞ!」

「……うん」


 適当に相づちを打ちそのまま布団に潜り込んで寝た。これがまさか後にそうなるとは思いもせずに……。

 翌日。朝起きて下に降りると親父は既に家を出ており、いつものように普通に登校して学校に着くと、今までそこで見たことがない高級車が停まっていることに気付いた。珍しい車が停まっているなぁと思いながら、教室に向かい僕はいつものように本を読む。周りは楽しく友達と話しているが、僕は()()()()小説を読む。そしてホームルームのが始まり先生の話を聞いていると、転校生を紹介すると言った。そして先生が生徒を呼んだ時、スマホのバイブでズボンが揺れた。僕はそれに気を取られズボンのポケットの方を向くと周りから歓声が上がる。ふと正面に顔を戻すと、そこには美人の少女が立っていた。背中まである黒髪のストレートで目はぱっちりとしており、眉毛は綺麗に伸びている。その彼女はまるで、というか『山本美優』だった。

 僕はえっ!? と思い、ガタッと席を揺らしてしまい、周りがこっちを見て苦笑する。恥ずかしさで下を向くが、ちらちらと彼女の方を見る。


「私は小野絵美と言います。宜しくお願いします」


 そして彼女の挨拶が終わると拍手が上がる。転校生が来て拍手になるなんてそんなの小学生以来な気がする。僕は後ろの席の方へ歩く彼女を見ていると僕と目が合いふっと笑った気がして、それについドキッとした。

 そして朝のホームルームが終わり、周りはがやがやと彼女の所に集まる。彼女に色々質問するから僕はそれを聞きながら傍から彼女の方をついちらちらと見る。そしてスマホが揺れたのを思い出し、見ると親父からラインが来ていた。『場所は○△マンションの10階の1025室へ19時に』といった謎の内容だった。僕は意味が分からなかったので気にせずそのまま無視をした。

 そして放課後。僕はいつものように下校をしそのまま家に帰る。そして20:00を回った辺りにスマホが鳴る。親父からだった。


「親父、どうした?」

「おい、優! 昨日、社長の娘の家に行く約束だっただろ?」

「え? そうだっけ?」

「全く、あの時は寝ぼけていたからなーっ、早く朝ラインで送った場所まで行ってくれ」

「何でさ?」

「社長の娘達に勉強を教える為だ! 約束したんだから早く行ってくれ!」

「約束した覚えなんて……」

「頷いてたろ?」


 あっ……、昨日のか……。

 そして僕は渋々急いでそのマンションに向かった。


「大きなマンションだなーっ」


 そして一つ目の自動ドアを入り、1025室に呼ぶと、はい、という女の声が聞こえた。


「遅れて済みません。鹿島です」

「待ってました。今開けます」


 そして二つ目の自動ドアが開いた。


「まるでテレビに出てくる高級マンションみたいだなーっ」


 僕は急いで1025室に行きチャイムを押すと女子が出て来たが、僕はついびっくりしてしまう。彼女は今日転校して来た猪野山絵美で、好きな女優とそっくりだから緊張してしまった。


「えと、あのーっ」

「さあ、中に入って」


 そう彼女に言われて廊下を歩くと、奥から女子の声が聞こえてくる。


「他にも誰かいるんですか?」

「姉さん達が」


 そしてケンカしている彼女達を見て僕はまたしても驚く。彼女にそっくりな顔が二人もいるからだ。


「紹介します。次女の依音(いおん)に三女の羽衣(うい)です」

「三姉妹、三つ子なのか!?」

「いえ、私達は……」

「ごめーん。仕事が伸びて遅くなって!」

「愛衣姉さん。家庭教師も今来たところだから」

「!?」


 彼女こそドラマで何回も繰り返し見た顔だった。


「山本美優!!?」

「え? 私の芸名知ってるの!?」

「紹介します、四つ子の長女の愛衣です。鹿島君。私達の家庭教師の件、宜しくお願いします」


 これは一体どうしたら良いんだ……。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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