終わりは始まりの始まり
『ごめんね、海くん』
このメールが御影優花から吉田海に送られてきてから5年がたった。
このメールが送られてきたときは彼女が自殺したなんて信じられなかった、だから何かの間違いではないかと限りなくゼロに近い希望抱いて毎日のようにそのメールを見た。
だが、何度見てもその画面が変わることはなかった。
彼女が死んでから1年たってようやくその現実を受け止めメールを見るのをやめることができたが、彼女の死は海に生きる意味を失くすには十分だった。
高校を中退し、家で何もせずただ無駄に過ごす毎日だった、そんな生活を続けて4年近くたった頃、海は自分がこの世界に無意味な存在だと気づき、彼女の命日である1月6日に彼女が自殺したビルから海も彼女と同じように飛び降りることを決意した。
生きる意味を5年前から無くしていた海にとって死ぬことに恐怖心はなかった、逆にもし死んだらあの世で優花に会えるんじゃないかという希望があった。
そして、1月6日海は予定通り死ぬために彼女が死んだビルに向かった。
「優花、もう少しでお前のところに行けるから待っててくれ」
そんな事を言いながら一つ一つ階段を登っていった。
屋上についた海は迷う事なくフェンスを越え、一歩を踏み出した。
その瞬間、今まで感じたことのないような風を感じそして彼は道路に打ち付けられた。
海は徐々に薄れていく意識の中で小さな足を見つけた、ほぼ死にかけだったから海は顔を上げることができず、その小さな足の主の顔を確認することはできなかった。
「君には…をあげよう」
意識が薄れていく中で小さな足の主が言っていたことの全てを聞き取ることは海にはできなかった。
次に目覚めたらさっきまでのコンクリートの感触ではなく毎日使っているベットの感触だった。それに気づき自分がまだ生きていることに対して嫌気を感じた。
「さっきぶりですね、どうですか生き返った気分は?」
今まで聞いたことのないようなまるで天使のような声が聞こえてきた。
声の方を見ると、金髪で内側に軽くカールのかかったショートボブの人間とは思えないほどの美少女が立っていた。
年齢は15歳ぐらいだろうか。
「この世界が嫌で死んだんだよ、生き返るなんて最悪でしかないよ。」
自分の家に知らない人がわけのわからないことを言っているんだまだ夢の中にいるだと理解した。
「あなたは、まだ夢の中にいると思っているかもしれませんが紛れも無い現実ですよ。あなたは私が生き返えらしたのです。」
そう言いながら彼女はとてもいいことをしたかのように振舞ってきた。
そう言われてみるとたしかに夢にしてはすべてがリアルすぎる、ということは俺はまだこの腐った世界に取り残されているということだ、この女はまじでいらんことをしてくれた。
「お前はなぜ俺を生きかえらした、てかお前は何者なんだ?」
すると、彼女は「申し遅れました。」と自己紹介を始めた。
「私の名前はエミルエル、あなたたちのゆうところの天使です。」
「……………………はっ?」
いやいや、人の家に勝手に上がり込んで私は天使ですって頭おかしいだろ、大丈夫かこいつ?
「私の目的はあなたに幸せな人生を送ってもらうことです。なのであなたが死んだ理由である御影優花さんの死を止めるためあなたには6年前…つまり2019年の4月7日にタイムトラベルしてもらったのです。」
エミルエルの話はとても信じられなかった、でもエミルエルの言う事が本当なら優花に会えるそれがなによりも嬉しかったのだ。
まだ聞きたかった事があったが、俺が質問する前に部屋がノックされた。
「か〜い、いい加減ご飯食べないと遅刻するよ入学式早々遅刻すると色々とたいへんになるわよ〜。」
5年前から話さなくなったなかった自分の姉…吉田麻弥の声によって自分が本当に6年前に戻ってきたのだと理解した。
時間を確認するともう7時半を回っていた、たしか学校のSTが始まる時間が8時30分だからもうそろそろ食べ始めないとたしかに遅刻してしまうかもしれない、そう思いながらリビングへ向かったのだった。