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生きることは食べること

作者: 沢村 佳南

私吉沢美月30才は、派遣事務のお仕事をしています。

都会に憧れて上京して、一人暮らしをしています。

ずっと一人暮らし。

正直淋しい。

いなかの友達は、みんな結婚をして子供がいます。

私も、今の年では素敵な旦那樣と子供がいる予定だったんだけど、現実は厳しいわぁ。

若い頃は、仲良くなって一緒にご飯を食べにいったりできる友達もいるのに、最近の食事はほとんど一人だな。

一人だとファーストフードとかコンビニとか適当になっちゃって、最近太りぎみ。

まずいなぁと思ってます。


今日、久しぶりにゆきに会います。

ゆきは、こっちに出てきて最初に出来た友達で、たまに連絡をくれるけど、子供が生まれてからはほとんど会っていなかったんだよね。


今日は、ゆきの家でランチ。

今から楽しみだ。

美味しいケーキを買って行こう。


ゆき、久しぶり~

たくちゃん、大きくなったね!

半年会わないと、こんなに違うんだ!

そんな会話から始まる。

ゆきはパスタとサラダを用意してくれていた。

1才になったばかりのたくちゃんと一緒に食卓でおしゃべり。

ゆきに、ちょっと気になることを言われました。

『美月ごめん。ちょっと太った?』と言いにくそうに言ってきた。

『分かる~』なんて普通に答えたけど、内心はかなり焦っていました。

実はここ最近過食ぎみで、半年で5キロ太っちゃってとは言えませんでした。

ちょっと見栄をはって、飲み会と外食が多いんだと答えたけど、本当は家で一人ご飯を食べながら晩酌。

毎日のお酒もいけないのでしょう。

だけど、お酒飲むと何か幸せな気持ちになって、次の日も頑張ろうって思うんだよね。

ゆきは、何となく分かっていたようだ。

こんなことを言い出した。

『私さぁ、一人の時は本当に適当で、パパがいない時はあんまり作らなかったんだよね。だけどこの子が生まれて、はじめて健康のこと考えて作るようになったよ』って。

ドキっ、ゆき分かっているのかなぁ。

まわりの人たちみたいに、早く結婚しなよとかぜんぜん言わないけど。

だから、一緒にいて居心地が良かったんだけど。

私のこんな思いが何となく分かったようで、昔の自分のことを話しだしました。

『私、昔からなかなか友達が出来る人じゃなかったの。だから、美月と友達になっていろんなとこ遊びにいけて本当に嬉しかったんだよね』って。

『私もだよ。ゆきと友達になれて本当に嬉しかったよ』と答えた。

ゆきは、『私ね、サイダーを飲むと亡くなったお祖母ちゃんを思い出すの。

大好きなおばあちゃん。遊びにいくと、いつも冷蔵庫に冷やしてくれてたの。おばあちゃんとおしゃべりしながら飲んだ楽しい記憶、私の心にずっと残っていてね。この話ししたら、サイダー飲みたくなっちゃった。後でサイダー買ってこよう』とゆきは笑顔で言った。

そして、『たくちゃんはまだ炭酸ダメだけどね』と目配せをした。

『ゆきの言うこと分かるよ。食べ物や飲みもので、昔を思い出すことあるよね。私、駄菓子を食べると子供の頃に帰った気分になるよ』と私が言うと、『分かるよ~』とゆきは言ってくれた。

そして、『うちの子は大丈夫だけど、今アレルギーの子供多いんだって。美月、食べ物って大切だよ』って言いました、。


ゆきの家の帰り道、心がとても晴れやかで今日は久々に夕飯を作ろうと思った。

作る人がいる人には当たり前のことだけど、ひとり者にはご飯を炊いてお味噌汁を作るって結構大変なんだよね。

だけど、もしも結婚をして子供が生まれてその子がアレルギーだったら本当に可哀相。

そんなことを考えていた。


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