福島悟と緊急報告
何か胸騒ぎがする・・・
「っん・・・何時だ?」
目を覚ますと時刻は午前六時。いつもだと寝てる時間だ。
「起こしに来るといった陽菜が来る前に目覚めてしまったな・・・」
今日は木曜日、ごみも出さなければいけない。
歯磨きと洗顔を済ませ、朝食の準備を始める。
「陽菜、来ないな」
もう七時に近い。
「仕方ない家に行って・・・」
「ピンポーン!」
陽菜だろう。
玄関を開けるとそこには制服を着て・・・ない陽菜が立っていた。
「おはよう陽菜。パジャマのままだけどどうかしたの?」
「おはよう悟。お母さんが悟と私に罠したいことがあるって・・・」
陽菜の家に行くとリビングに連れていかれた。
「二人に話したいことっていうのは陽菜の父親、高坂宗次郎の話よ」
陽菜の母、美香子は普通の専業主婦だが父親は海外で単身赴任中でしかも会社でもトップクラスの位だ。
陽菜の父親の勤めている会社は俺の親父が創設した会社だ。
「宗次朗さんに何かあったんですか?」
宗次朗さんは大柄で強面だが温厚な人だ。
「宗次朗が事故にあったらしいの・・・」
「「えっ?」」
陽菜の反応を見るに初耳なのだろう。
「意識不明の重体らしいから私は今日の夕方から現地に飛ぶことにしたの」
陽菜は相当ショックを受けているようだ。
「・・・で、俺はなんで呼ばれたんですか?」
「悟君には陽菜と一緒にいてほしいの」
「はい?」
「だから、一緒に暮らしていてほしいの。あなたたちは高校二年生なんだから今更転校なんてさせたくないの」
確かにもう進路を考え始めるころだ。
「でも・・・俺なんかでいいんですか?」
「それは陽菜が決めることよ」
陽菜のほうを向くと陽菜はとても困った様子だ。
「私は・・・いいよ」
そういうことで俺たちの同棲生活が決まった。
陽菜は学校を休み、俺は一人で学校へ行くことになった。
「おいおい悟、今日は陽菜ちゃんと一緒じゃないのかよ」
話しかけてきたのは高島直樹。引きこもり気味だった俺にも一応友達はいる。
流石に宗次郎さんのことを話すのは悪いだろう。
「あいつは今日は用事があるみたいだ」
「そーなのか。お前もしいらないことなんて、なんなんだろうな。家族関係・・・とか?」
「さあな」
鼻が利くやつだな。まあだから友達になったんだが。
「起立!礼!」
学校が終わって帰路につく。