悪魔の囁き
診断メーカー様のお題による突発SSです。
ひろたひかるへのお題は『囁く声の甘さ・悪魔に捧げるのは・君と僕の距離』です。 http://t.co/5gxfrjgovP
「墜ちておいで。僕の手の中へ」
囁く声の甘さに囚われる。全てを投げ出してこの身を委ねてしまいたい衝動がまるで麻薬のように私を支配する。
既に数名の同胞が彼の囁きに堕ちていった。まだ若い子が落ちた挙句呆気なく捨てられる姿も見ているというのに、抗えない。顔を赤らめ微笑みかける彼の瞳に絡め取られ、身動きもできないでいる。
彼は続ける。
「ほら、君と僕の距離を縮めよう。ああ、甘やかな君の素肌に齧り付きたい」
彼の手が伸びて、私を愛おしそうに撫でた。もう抵抗できない。抵抗する考えすら浮かばない。私は遂に心安らげる場所を手放し堕ちていった。悪魔に捧げるのは私自身。食い尽くされることもわかっているのに。
悪魔のような彼ーーー猿が、彼自身が害した蟹の息子の手によって敵討ちで散っていくことを私が知ることはなかった。
所詮私はただの柿、木から離れたら喰らいつくされるか腐っていくしかないのだ。
そんなわけで「さるかに合戦」の柿のモノローグでした。
何書いてるんでしょうねえ……すみません。