龍が森高の副会長 会議中は妖術禁止
「それでは、今度の新入生歓迎会について、
色々意見を聞きます」
空き教室に机を並べ、会議室っぽく演出している。
別にそのままでもいいはずなんだが、一応形というのが大切と福会長の小田は思っていた。ここに龍が森高校文化部の部長がそろっている。
「始めるにあたってだけど、妖術は議事進行の妨げとなるので、
発しないこと」
「つべこべ言わずに進めようよ小田さんよぉ、
どうせ去年と同じで全会一致でおしまいっ」
そう口をはさんできたのは写真部の中山さんだった
「…ワンパターンでしょそれだと」
自分は話をさえぎった。
「けどこっちも忙しいんだよこの準備に。新入生は一回限りだし」
そういって写真部の中山さんは右手の人差し指から青白い光を出した。
「妖術、それと幻術禁止っ」
「ほいほい」
「第一同じでもいいんでないの~こんなの」
化け学部いや化学部の藤原さんはなんか体中に毛を生やしだした。
「それも含めですね…というか変身しないで下さいよ藤原先輩」
そんなこと聞くか聞かないか先輩は話し続けた。
「そうだよなー。珍しく年下の副会長だなんて」
「はめられたんです。生徒会の先輩方に。
できれば落ちてりゃよかった」
「おいそれはないだろ」
化学部の藤原さんは言った。
そう今の時点で自分は一年なのだ。部長たちは二年以上。
任期はあと少しでラッキー。
不謹慎に思われるかもしれないが、これでこんな面倒なことから逃げることができるのだ。
絶対だまされたのだ。
『やらないか』その一言がすべてを狂わせたのだ。
立候補して、落ちる手筈だった。
しかし、演説の時マイクに頭をぶつけて思わず笑いをとりそのまま当選。
あなたたち、お笑いで生徒会役員選んだですか。
言っとくけど、確かにここいらの土地柄か妖術とか幻術を使い、まやかしの類をを出す奴はいる。けどそれ以外は普通の高校生だと自分は思っている。
「ではですね、一例としてプリント配りますので」
いきなり美術部の大橋さんが声をあげた。
「相変わらず字が汚いし、誤字脱字が多いわ」
「す、すみません。そこは脳内変換で」
「よろしい、さあお続けになって」
この美術部の大橋さんはちょっととっつきにくいところがある。
いや、各部長に言えるのだが大抵なにかがズレている。
というか、生徒会の威光なんていうのは全くないのだ。
いかにして、普通の生徒と先生と板挟みにならないように、ケリをつけていかなくてはならない。それとこの部長の方々と。それも締め切りはいつもギリギリなのだ。
「これじゃあ、去年とあまり変わりないじゃん。これじゃあワザワザ集 まる必要ないでしょ」
吹奏楽部の香川さんは鋭く突っ込んでくる。
「ですから、ここから始めるんですよねっ。意見交換」
しかし、苦し紛れの副会長の自分。
だれだよ、こんな分担にしたのは会長だろ。
運動部の方が簡単にコト進んだって昨日聴いたけど。
もう一人の副会長の佐藤さん。ずるい。
「このままでも悪くないけど、これじゃ説明が一方的になっているんじゃない」
写真部の中山さんが言った。
一応他の文化部も部長は出ているけど、すべてが意見を言い合うとは限らない。
いや、意見言い合い過ぎてグジャグジャになるのも困る。
そのときは根回しするけど。
「質問受ける時間帯とったらどうだ」
おおっ建設的なナイスな意見。いいよぉ写真部の中山さん。
「けど、後は部室でもって言う手もありだわ」
美術部の大橋さんが言った。
「いや、そうしたら、他の部活と見比べることができないじゃん」
化学部の藤原さん。
そう、そうですね。いいですよー。うんうん。
けど議事進行はどうしているんだ自分。
平和に今日は部長会が終わるかと思っていたが、その時だった。
「しかーし、しかしだよ、弱小のウチみたいのはどうなる。並べてみたらみみっちくなる」
オカルト研究会もとい歴史研究同好会藤原さんだ。ここ、自分が副会長になった時にできたんだっけ。生徒会の規則でいきなり予算はつかないから同好会なんだが、色々むちゃ言ってくるところなんだが。
「そんなこと、はじめは、そうでしょどこだって」
おっと休部から2年前目覚めたと聞いた華道部が言った。
「ウチの部活だって人口少ないし、ようやく休部から同好会になって部になったんだから。それは規則っ」
「まあ、まあ、まあ」
自分はそうやって皆を、なだめ始めた。
「とりあえず、まとめると、新入生からの質問の時間作るここまではいいですね」
「ああそうだけど」
写真部の中山さんが言った。
「で、問題なのは弱小もとい小規模のところと大人数で実績のあるところで不利益が出る、そういうところですね」
「そ、そぅ~。」
美術部の大橋さんが合いの手入れた。
「そうすると、順番かなにかでハンデつけるとか・・・」
その自分の一言がまずかったのだろうか
「ならぬっ、それはならぬ」
歴史研究同好会藤原さんが言い放った。
「そもそも、ウチのような弱小同好会と実績のあるところを同一視するのがいけないのだ。」
「ちょぉ、ちょぉ、ちょぉっと」
「なんで、同好会に予算がつかぬ。同好会としての歴史研究同好会はそこいらの青白い部活と違って歴史があるのだぞょ」
歴史研究同好会藤原さん、ヤバイよぉ、ちょっと。
「けどそんなこと言ったって、実績とやら見せてもらおうか」
化学部の藤原さんは言った。
「おっ、お前らこそなあ、なんだビーカーでお湯沸かしてお茶しているのは」
歴史研究同好会藤原さん、それっ本当ですかぁ。
「あれはなぁ、崇高な実験なのだよ。水質検査の予備実験だ」
そうなんですか、藤原さん。自分そんなの知らないですけど。
「あの、あの、あの、あの、ですね、落ち着きましよう、お二方」
「じゃからしぃっ」
ドンっと音がして自分は、はね飛ばされた。
「ちょっと、まってください『力』は使わないでください」
「ふっそんなのお構いなしよ」
歴史研究同好会藤原さんは手を、かざすとそこから陽炎のようなものが出てきた。
「やめっ、校則で禁止されているだろ『力使うな』って、うっ」
その時だった。自分の右腕がうずき始めた。右手の手のひらにある第三の目が反応し始めた。邪気に反応する。できるだけ、これを理性で暴れるのを止めるように念じた。
「先輩方、やめてください。出ますよ。出したくないんですけど」
自分としても出したくないのだ。右手のその目から出る『力』はとても体にダメージを与える。小さいころからのその『力』を出さぬように
訓練を重ねてきたのだ。しかし、今回はきつい。持ちこたえるか。
「なさけは無用だ。まず自分のトコロが大切なのだ」
歴史研究同好会藤原さんは手加減していない。
「けどそんなこと言ったらウチのトコロだってカツカツですわ」
美術部の大橋さんはそういって何やら体の前に妖精さんを出現させた。
「いいから、みなさん落ち着きましょ」
そんなこと虚しく
「黙れ」
歴史研究同好会藤原さんはそういい放すと手を虚空に振り上げた。
パキンっと天井の蛍光灯が破裂して砕け落ちた。
「…やっ、やばい」
思わず自分が叫んだ。
ドクンっ。自分の右腕のうずきが大きくなる。
「やっ、やめてくれ」
「力を見くびるな」
歴史研究同好会藤原さんはさらに『力』を使い自分を跳ね飛ばした。
「フォトジェニックだな。カメラ持ってくりゃよかったいい絵が撮れるぞこれは」
写真部の中間さんが言った。
「中山っ写真部だからって言うなよそんなこと」
化学部の藤原さんはそう叫ぶと、
「ぼつぼつヤバいな。オカ研いや歴研の用田先生呼んでこないと」
写真部の中間さんが言った
そんなことを言っているうちに自分の中に潜んでいる『力』がやがて制御できなくなって
「いいかっ離れろっっ」
そう言うのがやっとだった。
右手を左手でがっしりとつかみ人のいない教室の壁に向かって構えた。
「その過信が弱点ですよっ。うっ先輩。やめてください」
右腕のところに青紫色光が集まり始めた。
「…結界張るわよ」
吹奏楽部の香川さんはそういって形を作り部長たちの前に光のドームを作り出した。
「誰か先生呼んできて」
吹奏楽部の香川さんは言った
「じゃあ、わたくしが呼んできますわ」
美術部の大橋さんはそういって職員室へかけていった。
「本当はっ、ひぃっ、これっ、あっ、やりたくないのです」
「ふふふっ、これで勝てねば貴様は無能だ」
「なんか、話ずれてます先輩。おっ落ち着きましょう。勝ち負けでないです」
「いや」
「…っ」
その時であった
出てしまった
自分の封印されていた『力』とやらが
どーーーーーんっと巨大な重低音を発し
太い青紫色の光の束が出た。
振動がした後自分も弾き飛ばされた。
とりあえずコントロールは効いたのか人畜無害な教室の壁に
ぶちあたったようだった
その後、教室の引き戸が開く音がした。
瞬間、なにかが首につかまされ体が宙に浮いていた。
用田先生が両手を掲げてそこにいた
「くっ苦しい」
「うっ」
「こんなこともあろうかと、思っていたが、若さ故…だな」
用田先生はそういった後両手を静かにおろした。
自分たちは体が自由になった。
「うちの高校には妖術科はない。まあ、土地柄で能力者はいるがな」
息苦しさから解放されたという安堵感でへたりこんでしまった。
「二人とも後で職員室に。話を聞かないとな」
そういうと用田先生は教室を出て行った。
「というわけで・・・どいうわけだ」
自分はワケわかんなくなっているようだった。
「お前、とりあえず今日はおしまいにした方がいいとちゃう」
写真部の中間さんが言った。
「ですね。とりあえず新入生歓迎会で質問の時間というところまで決定でいいですか」
パラパラと返事がした。
「じゃあ次回は、ちょっと手帳見ます。んと来週月曜」
「ええーまたやるのかよ」
「次回はさっさとしましょう。仲良く。あとはステージの発表順ぐらいですから」
このあとオカ研いや歴史研究同好会藤原さんと自分は職員室でこっぴどく叱られたのだった。幸い始末書までに至らなかったのがよかったけど。
ああ、多少なんらか『力』は持ってますとも
それで副会長っていっても普通の高校生ですから。
たぶん…ね。