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第十七話  「ぅぅ……パ……パ?」

「ハッ、ハッ……ッ……ハァァ~~~ッ……何で?」


 校門まで一気に駆け抜けた僕は、いまもって先ほどの出来事が理解出来ずにいた。


 今まで女子に声を掛けられる事などなかったのだ。


 そりゃスメラギさんやマリとはどうしても会話をする機会があったけど……同世代で声を掛けてくれるのはその二人だけだったし……。

 これも、装置の破壊が関係してるのかな……?


 僕は息切れを整えながら腰に下げたマッチを確認する。


 二本の棒を包み込むように、横に繋がる容器は濃い灰色をしている。

 三段繋がる容器の最上段は空洞だ。昨夜キョウと侵入した際に使用した。


 手で触れ、空洞を確認するとチクリと胸が痛む。

 まだキョウと連絡を取っていないのだ。

 本来ならば今日一番に連絡を取らなくてはいけないはずなのに……それがまだ出来ない。


 命の恩人なのに……


 身をていして僕を助けてくれたのに……


「しけたツラしてんな~おい! 今日から春休みだヒャッホ~~イ! 位言いやがれ!」

「ッ! 言える訳ないだろ!?」


 勢いよく声のした方へ振り向くと、そこにはビーチサンダルの踵をすりながら此方に歩いてくるソラオの姿が有った。


「キョウが苦しんでいるのに……マリだって今朝おかしかったし……全部ソラオのせいじゃないか!!」

「おいおい、昨日あんだけの事が有ったのに元気がいいな~」


「何を勝手な事! まるで他人事じゃないか!」

「まあ落ち着けって……感情が伝播でんぱしちまうぜ? それに、ココじゃ人目に付く……昨日の公園で良いか」


 そう言うと、此方の返事など聞かづにソラオは歩き出した。

 その後を追うしかない僕は、早足で付いて行く。


 今日こそハッキリさせてやる。ソラオが何をたくらんでいるのか、全部話させてやるんだ!



「ほら、ソコ座れ」

「ソコって……」

「良いから座れって、〝一人じゃ出来ない〟んだよ!」


 ソラオが指さす先は板の上だった。

 カラフルにカラーリングされたその板は、中心を金属の棒で射抜かれ、土台に左右から挟まれて固定されている。


「シーソーじゃないか!」


 ソラオは既に反対側でスタンバって、ほれほれ、と僕を急かすように板を上下させている。


 ちょっ、それじゃ座れな――


「って! 何でシーソーしなきゃいけないの!?」

「何だよ、嫌なのかよ。一人じゃ出来ないんだから仕方ねえだろ? マブダチなら協力しろよ~」

「たしかに一人じゃ出来ないけども!」


 などと言いながらも、上下させるのを止めてくれたので、ユックリとシーソーの端に跨る。


「おい」

「な……なんだよ」

「足が付かない」


 ソラオは宙ぶらりんになっていた。


 僕が反対側の端に座っているからなんだけどね……

 ソラオ、見かけよりもかなり軽いみたい。


 ホッチキスのシンに似た簡単な手すりを乗り越え、お尻でズリズリと支点側へ向かう。

 じょじょにソラオの体が下がるにつれて、嬉しそうにキョロキョロと足元を見ていた。


 丁度僕の足が宙ぶらりんになり、ソラオの足がベタリと地に触れるバランスになった処で――


「とうっっ!!」


 跳んだ。


 僕の足が地に付く、後ろでは板が思い切り地面にぶつかる音。


 そしてソラオが自重を乗せて降下を――


「わっ、わわわ!!」


 次の瞬間、僕が跳んでいた。


 手すりをしっかり握っていたものの、余りの勢いに上半身が前のめりになってしまい、お尻が宙に浮く。

 そして、宙に浮いたお尻は板に乗り、自重によって降下を始めると――思いきや――


「とうっっ!!」


 ソラオはまたも跳ぶ。


 板に乗ってない僕の体は、手すりのみの接点で体を急降下させる。


 やがて訪れる終着!

 迫るカラフルな板!

 その先に有る未来はシーソーによって激しく打ち付けられる僕のお尻!!


「ひっ! イタイ!!」


「とうっっ!!」

「ぇっ!? イタイ!!」


「ぁとうっっ!!」

「ちょっ! イタイ!!」


「へやっっ!!」

「ちょっと待って! イタイ!!」


「ボンバイェ!!」

「マテコラーー!! イタイ!!」



■◇■◇■



「あー、楽しかった! 面白いな! シーソー!!」

「ぉぉぉぉ……お尻がぁぁぁぁ……」


 シーソーを終えた後、二人でベンチに座って休憩をしていた。

 ソラオが大股開きに掛ける隣、背もたれにもたれ掛かるようにしてベンチの上で正座している。


「なんだ? ケツがどうかしたのか? 安心しろ! ケツなら俺も割れてる!」

「違うよ! お尻が痛いの! シーソーで叩かれて!」


「お、お?」

「何それ? みたいな顔しないでよ! 何度も言ったじゃん!」

「いや~……すまん、楽しくってつい」

「つい、じゃないよも~……ソラオと出会ってからホント散々だ!」


「クッ、ハハッ、すまねぇすまねぇ」


 これっぽっちも悪いと思っていない謝り方だった。

 頭を背もたれに預けるよう後ろに倒し、空を見上げているその表情はとても楽しそうに見える。


「なあ、クニヒコはこの世界……どう思う?」


 ソラオの視線につられ、僕も空を見上げながら返事をした。


「分からないよ……僕にとっては一昨日までが普通だったんだ」


「そうだよな……前に、言ったよな? 俺が人の進化を進める為にいるって事」

「うん、聞いた。人類進化推進プログラムって言ってた」


「人ってどうやったら進化したって言えるんだ?」

「は!? 何を今更いってるの!?」


 突拍子もない質問だった。しかし、ソラオは相変わらず楽しそうに空を眺めている。


「いやな、ここ三千年人が進化してないってのは分かるんだ、俺が目的達成してないからな」

「そんな事どうやって分かるのさ……」

「何と無く、としか言えねえな~。だが達成したなら俺は必要無くなってる……そんな気がする」


 ハハハっと、乾いた笑いを浮かべると、空を眺めていた瞳をそっと閉じる。


「だから何か変えなきゃいけねぇ、人を変える何かを起こさなきゃいけねぇ……だからクニヒコ、お前に協力してほしいんだ」

「協力って……」

「ああ。アルス干渉を制御する装置はあれだけじゃねえ。十五都市全ての中心に設置されてる……なあ? どう思う?」

「分からない、分からないよ! 僕にはもう出来ない、そんな事……昨日見たいに、また誰かが傷ついたらどうするんだ! 僕には力がない……早くも動けない! アルスだって使えない!」


「それはお前の責任だろ?」


 閉じていた瞳を開け、顔をこちらに向けて来る。その眼に反論を許さない力強さを感じて、一瞬たじろんでしまう。


「お前はその非力な体を望んで手に入れたのか?」

「そ、そんな訳無いだろ!」

「お前はアルスの力を望んで手放したのか?」

「ソラオ! いい加減にしろよ! 何が言いたいんだ」


「お前は今まで何をしてきたんだ?」


「な! 何もしって来なかった訳ないじゃないか!!」


「本当にそう言えるのか? 死ぬ気で一つに取り組んだのか? 周りが助けてくれるから、まあ良いやって思った事は無いのか? 挫折して、泣いて、それで終わってるんじゃないのか? お前は何になりたいんだ? お前は何をやりたいんだ? お前は無難な方ばかりを選んでるだけじゃないのか?」


「ソラオに何が分かるって言うんだ!! 僕がどれだけ辛い思いをして生きてきたと――」


「分かるんだよ! 分かるんだ……。ズット見てきたんだからな」


「ズットって……」


「なあ、今日学院……変わってたろ?」

「それが……何だって言うんだ……」

「アルス干渉はな、お前が仲間外れにされてる原因の一つでもあるんだぜ? お前は自分が人より小さくて、アルスが使えないから周りに避けられてると思ってるだろ? だが違う、人間はそんな事だけで避けたりしねえ……アルス干渉が――皆をお前から遠ざけてるんだよ」

「へ……?」

「だからお前は変わらなきゃならない。お前が変わらないと周りも――」


 僕がすっとんきょうな声を上げ、ソラオを凝視して話の続きを待っていた――その時。


「ちょっとその話! 詳しく聞かせてもらおうかしら!!」


 先ほどまで見上げていた上空から女性の声が降ってくる。

 見上げた先に居たのは、明い金髪をなびかせてピンク色のスーツを着崩した――


「先生!?」

「クニ君! その男から直ぐに離れるんだ!」


 みっちゃんが飛んでいた。

 飛ぶと言うか浮いていた。

 見上げた先で仁王立ちをしている。


 先生! その位置は危ない! おもにパンツ的な意味で!


 決して見ている訳では無い、見えている訳でもないのだが良い歳をした女性がそんな事をしちゃダメだ! 目が潰れてしまう!


「クニ君! 何か失礼な事を考えてないかい!?」

「とにかく! 早く下りてきてください!」

「な、なんだい……せっかく格好よく登場したのに……」


 ブツクサ言いながらユックリと降りてきた。

 僕とソラオの座る、ベンチの前に仁王立ちポーズのまま着地する。


「お前の先生はいつも元気がいいなー」

「ソラオ、先生のことしってるの?」

「そりゃなー、この街で一番の要注意人物(イレギュラー)だからな」

「こら! そこ! 先生を放置しない!!」


 格好よく登場したのに僕とソラオだけで話をするのが気に食わないようだ。

 少し大き目の声で自己主張しながら、ズビシッ! とソラオを指さした。


「あなた! ……あなた? あれ、なんか少し小さくない? ……いやでも……とにかく白髪のあなた! 昨夜、役所横の建造物付近にいましたね!? 一体何をしていたんですか!」


 先生が何でそれを!? でも……昨夜の事なら先ず僕に用があるんじゃ?


「何をか……さてね~? 特に何もしてない気がするが」

「な! ……では、質問を変えます! あなたは何者なんですか」

「俺はエアーマンだ」

「エアーマン……聞いた事が有りません」

「だろうな」


 ぁ、今ピシッて聞こえた――


「あああ゛あ゛! めんどくせえ! 人が下手に出て丁寧に聞いてやってんのに!」

「アッハッハ! アンタはソッチほ方が自然だ」


「分かったような事を言うじゃないか。エアーマン、私と一緒に来てもらおうか?」

「今忙しいんだ、また今度と言ったら?」


 ソラオの返しにみっちゃんの表情が変わった。

 先ほどまでの威圧する雰囲気が今は、面白そうな玩具を見るような……そんな目をしている。


「力ずくで連れて行くまで!!」


 みちゃんが右腕を一閃。


 手のひらの中から真っすぐと伸びる、赤黒いひも状の物。

 長さを増すにつれ細くなり、先端に重しを付けるようにプックリと膨らんだ。


「おいおい、鞭とはまた趣味が悪いんじゃねえか?」

「余裕だねぇ~。アンタも準備があるなら待ってやるよ?」

「必要ねえな。俺は戦いに向かないんだ」

「なら――大人しく拘束されれば良い!」


 そう言うやいなや、みっちゃんの右手がソラオ目がけて真直ぐ伸ばされる。

 アルスによって操られる鞭が、ソラオ目がけて伸びてきた。

 蛇のように迫るそれを座っていたベンチから軽く跳躍する事で回避するソラオ。


「だから嫌だっつってんだろ? しつこい女は嫌われんぜ?」

「はっ! はっはっ! 笑えない冗談だ」


 いや、みちゃん!? 結構事実だからねそれ!


「自覚がないってのは……時に幸せだよな~」

「うるさい! 私の幸せは私が決める!」


 左手からも同形の鞭を生み出し、ソラオを捕えるために波打つ。

 赤黒い鞭が二本、ソラオを捕らえようと縦横無尽に舞っている。


 だが、そのどれもソラオを捕らえる事ができない。


 公園の中を軽快なステップで動き回るソラオ。


 その鞭は確かにソラオに向かって居る、しかしソラオが軽く首を逸らし、体を捻り、跳びあがるとまるで〝鞭の方から避ける〟ようにソラオの体をすり抜けていっていた。


「す……すごい!」


 まるで長縄跳びを飛んでいるかの様に、複雑に波打ち迫る鞭を避けている。


「ちっ……アンタも操作系か! なら…コッチだ!!」


 鞭が当たらないと判断したみっちゃんの切り替えは早かった。


 二本の鞭が消滅したかと思うと〝みっちゃん自身〟が灰色の霧に覆われる。

 それはどんどん濃くなり、大きく膨らむ霧の渦は、まるで繭のようだった。


 いくらでも膨張するかと思われた繭は大人ほどの大きさで停止。

 そして、徐々に細く変形しだしたと思うと一つの形を取っていく。


 その姿は――とても見覚えのあるお尻だった。


「あ……あの夜に会った!! 大きい先生!?」


「大きい先生とはごあいさつだな……どちらも先生だよ」


 全身灰色だった体に色が付く。


 明るい金色の髪に紫のメッシュ、ピッチリとしたミニのワンピースは赤く染まり、肌は透き通るほどに白い。


 両手には以前見たナイフでは無く、警棒をモチーフとしたつば付きの棒が握られていた。


「さぁ~エアーマン! ここからが本番だ!」

「はっはっ! 流石イレギュラー!! 面白いじゃねえか!!」


 みっちゃんが跳躍する。

 その余りの速度に通った先から土埃が舞いあがった。


 ソラオは余裕の表情だ。


 一瞬で肉薄したみっちゃんは、速度そのままに一撃を見まうとソラオの脇を抜ける。


「な!?」


 余りの早さに、当たった瞬間は見えなかった。

 だが〝たしかに当たった〟はずなのに――


 その場からピクリとも動かなかったソラオには全くのダメージがなさそうだったのだ。


「おーあぶねー、危うく当たるところだったぜ」


 いやいや! 絶対当たってたよいまの!!


「おかしな手品を使うじゃないか! なら――これでどうだ!!」


 再び跳躍、今度は左右から挟み込むような攻撃だ。


 だが今度はソラオも動いた、軽くサイドステップ――


 いやいや! それじゃ当たっちゃうって!!


 だが、又もみっちゃんは空を切る。

 実際には左手の警棒がモロにヒットしているのだが、なぜかソラオに変化がない。


「面白い! ならドコまで耐えれるか試してあげる!」


 ゼロ距離からの乱舞だ。

 右腕を袈裟切りに振りぬくと、腰を軸に一回転し左腕も振りぬく。

 勢いをそのままに回し蹴りを放ち、姿勢を低くしたかと思うと、両腕で自身を支え開脚を回転させてソラオに襲いかかる。


 体を捻り回避しようとしたり、少し距離をとったりしたが、全ての攻撃が確実に当たっている間合いだった。


 みっちゃんは更に追いすがる。


 距離をとったソラオに対しがむしゃらに警棒が振るわれる。


 相手の反撃が無いのを良い事に、自身の隙などお構いなし戦法に出たようだ。


 回避している〝風の〟ソラオはまだ余裕の表情。それに対してだんだんと疲れが出て来たのか、みっちゃんの表情は曇っていた。


「クソッ! なぜ倒れない! 何度当てても何度当てても! 倒れない!」

「おっと」


 その時、みっちゃんの攻撃がソラオの顔面をとらえた。

 驚いた表情のソラオ、その〝中を〟警棒がすり貫けるのが誰の目にも分かった。


 ええぇぇーー!? ……ぇ……あ、なるほど。 ソラオはアルス集合体だから実体が無いって事?


「はっ! そう言うことか! アンタも私と同じってことだね!!」


 おしい! みっちゃんチョット違う!

 

「なら手加減無用だな! くぅー! いいねいいね!! 久々だ、全力を出せるのなんて! よし! 先生椀飯振舞(おうばんぶるまい)しちゃう!! これで消し炭なっちゃえ★」


 軽いノリのみっちゃんを灰色のシミが染め上げていく。


 全身が灰色に染まったと思うと、みっちゃんの体が雲散し、中からいつものサイズが姿を現した。


 雲散といっても、先ほどまで体を構成していたアルスはみっちゃんの周りを旋回している。


「実戦投入は初めてだから覚悟してね! 怖くなったら降参よろしくぅ~★」


 両腕を高らかにかかげ、その周辺に旋回していたアルス達が集まり出す。


 形作られるのは四枚の長い板だ。


 みっちゃんの身長を軽く超える長さのそれは、両腕を囲むようにして完成される。

 旋回していたアルスが消えたかと思うと、板の内側から羽のような物が展開された。

 それは幾枚にも規則正しく並んでおり、青白い光を放ちながらまるで魚の胸鰭むなびれのようにうごめいている。


 ――これじゃあまるで砲身じゃないか!!


 好き勝手やっているソラオに少し痛い目を見てもらおうと思っていた僕は、みっちゃんの行動に度肝を抜かれた。


 全ての羽が展開をおわり、青白い光だった物はいつしか電気のほとばしりへと変化する。


「アルス干渉のせいで今まで武器転用されなかったこの力! 電磁加速砲(レールガン)! アンタ程の男なら耐えてくれると信じてる★」


 まずい! 先生はソラオが自分クラスの操作系だって勘違いしちゃってる!!


 シンから聞いた事がある、電磁加速……つまりリニアには相当の熱が発生するのだと。

 そんな物で攻撃されたら全身がアルスで出来てるソラオなんか一発で蒸発してしまう!!


 勢いを増す電子の光は、粒子となって辺りを染める。


 銃身がソラオへ向けられ、走り回る青白い軌跡はみっちゃん自身をも飲み込んだ。

 今――手のひらに球体ほうだんが生み出される。


「さぁ……フィナーレだ! 古代兵器レールガン!! 組織の名を借りこうよぼう!」


 僕は走った、もう目の前で人が傷つくのは嫌だと。


 ソラオにはまだ聞きたい事が山ほどあるんだ!!


「食らいなさい! ロオオォォッッッックッッッッバアアアアァァァァスゥ――」

「――先生ゴメン!!」


 今にも発射されそうな電撃の放流に僕は飛び込む――


 そして背中に装着した〝マッチ〟を勢いよく抜き放った。


「――っちょっと危なっ! っへ!? キャーー!!」


 目の前でおこる灰色の大爆発。


 手に持つマッチを中心として、外へ外へと爆風が流れる。


 余りの風圧に、眼を閉じ顔を腕で覆う――が、すぐに静けさが訪れた。


「せ、先生! ごめんなさい!! でもこうしなきゃ――先生?」


 眼を開けた先に、いつも見慣れたみっちゃんの姿は見えない。


 ただ、少し目線を下げた先――


 先ほどまでみっちゃんがいたその場所に――


 ペタリと座り込む、明るい金髪の幼女が居た。


「えっ? 誰?」


「ぅぅ……パ……パ?」


「え?」

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