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一章:少女の朝Ⅰ

 時間が足りない。

 遊ぶ時間、勉強する時間、仕事をする時間・・・

 人類には時間が足りな過ぎる。

 私たちは【眠り】に縛られている。


 「香織!いつまで起きてるの?早く寝なさい!!」

 時計の針は11時を指している。

 小遣いを減らされると困るので、私はいつものあいさつをするためにパソコンに向き直った。

 「ごめん!親がうるさくてさ~・・・今日は落ちるね」

 そういってメニューのログアウトをクリックする。

 その後いつも通りメールをチェックしてパソコンの電源を落とす。

 軽く体を伸ばしベッドの方に向くと不意にため息がもれた・・・

 「・・・なんで一日はこんなにも短いのだろう」

 これは今日に思ったことではない。寝てる間は何もできないから、人間は一日に大体6時間を無駄にしていると思うと【眠り】なんていらないとすら思えてくる。

 そんな事を考えながら布団に入ると、段々と意識が遠のいていった・・・


 ・・・ジリリリリリリリ!!


 朝の6時を知らせる音が鳴り響く。

 私は、まだハッキリしない意識の中その音源を手で探る。

 ・・・ふぁ~

 気の抜けるようなアクビをしながら体を起こすと、昨日と変わらない部屋の光景が目に入る。

 そう・・・【眠る】前と何も変わらない光景が・・・

 私は眠ってる間何をやっているのだろう?

 これも毎日のように考えていることだ・・・ベッドで意識がなくなり、態勢は違うものの同じところで目覚める。本当にずっとここにいたのだろうか?

 「香織!いつまで寝てるの?遅刻するわよ!!」

 おっと・・・余計なことを考えている間に時間が過ぎていたようだ。母を怒らせると面倒くさいので、まだだるい体を下の階へと向けた。

 顔を洗うために洗面所に行くと見慣れた顔が鏡に映っている。

 黒いロングの髪に黒い瞳、身長は160cm前後・・・日本人女性というのだろうか?正直好きになれない自分の顔だ。

 長く見ていると余計なことを考えてしまいそうなので、身支度を整えてリビングに向かった。

 リビングにはトーストしたパンとコーヒーの香りが漂っていて、目を覚ましたかのように空腹感が襲ってきた。

 席に着きパンをかじっていると・・・

 「今日はテストでしょ?勉強ちゃんとできてるの?」

 「も~うるさいな~ちゃんとやってるってば・・・」

 朝から不愉快な会話ではあるけれど、本当はやっていないので言われても仕方がないと思っている。

 だから余計に不愉快だ!!

 この場にいるとまた何か言われそうなので早々に朝食を済ませ着替えるために部屋に戻ることにした。

 「・・・勉強する時間なんてないよ」

 部屋に入ると口からこぼれ落ちた一言。

 頭のいい人達は、

 『それはやらない言い訳だよ』

 と、いうけれども・・・私には他にもやりたいことが沢山ある。

 私は今とあるオンラインゲームにはまっている。学校にいる時も、友達と話しているときも、何時でもそのゲームの事を考えちゃうくらいに。

 中学の時は、

 『主婦っていいよね~時間いっぱいあるし』

 などとよく言っていたっけな・・・

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