平凡な日常 〜昼〜
「日常のささいな幸せ」が作品のテーマなんですが……どうでしょうか?(-.-;)
その日、僕と由陽さんは彼女の家の一室で向かい合って座っていた。
「貴方に私の下腹部のうずきを止められるかしら……」
由陽さんは挑発的な瞳を僕に向かって、散らしてくる。
「要するに、お腹が空いたから何か作れ、ってことですね?」
僕は椅子からすくっと立ち上がると、台所に向かい冷蔵庫を開けた。
普通の反応を貫く僕に対して、由陽さんが軽く舌打ちしたのが聞こえたけど、気にしないことにしよう。
さて、と。
冷蔵庫の中身を物色していると、ベーコン、卵、少々の野菜、種類のわからない魚……等々が次々に出てきた。
「由陽さん、とりあえず適当な炒め物でいいですか?」
僕がそう尋ねると、
「別にいいんじゃねぇのー?」
と超がつくほど投げやりな返事。
……どうやら完全に機嫌を損ねてしまったらしい。
後が怖いので、僕が、もう一品、魚でも焼きましょうかと訊いたところ、
「別にいいけど……それ昨日、ため池で釣ってきたやつだから喰えるか知らないよ」とのこと。
よし、今日のお昼は炒め物だけにしよう。
そう決意した僕はフライパンを手にし、調理に取り掛かる。
僕の料理の腕前についていえば……
「料理は得意じゃないけど……きっとおいしくなるはず。だってこの料理には愛情という名のスパイスがたっぷり入ってるんだもん♪」
なんて、由陽さんイチ押しの台詞は、口が裂けても言いたくないので、必死で特訓したからそれなりにはなっていると思う。
あっという間にお手軽簡単スピーディ、かつ冷蔵庫の整理にも一役買ってくれる素晴らしい料理が完成したので、それを由陽さんの待つテーブルまで運ぶ。
自称、カメレオン以上の舌を持つ女、(どこか間違ってる気がする表現だが……)由陽さんは右手にもった箸をゆっくりと皿に伸ばす。
そして、パクッと一口。
その後、沈黙。
ためにためた後、いつの間にか瞑っていたらしい両目を感慨深く開いていき、僕の顔を捉え一言。
「貴方、また腕をあげましたね」
にこりと微笑んだ後は、男子高校生も驚く程ガツガツと頬張り出す。
いつもながら、この小芝居……料理人役は緊張するなあ。
ようやく僕は由陽さんの前に腰を下ろして、彼女に全部食べられる前に自分の取り分を小皿に盛る。
そして、食事に夢中な由陽さんにバレないよう、はにかんだ笑顔を作りつつ、彼女に倣って食を進める。
梅雨がまだ明けきらない午後。
平凡な日常の一コマ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
この作品はフィクションであり、独身である作者が将来的にノンフィクションになることを願って書いた作品です!((笑))
v(`∀´v)
従いまして、登場人物等は今のところ、架空になっていますので、御了承下さいm(_ _)m