5.地属性使いの目的?
投稿する前に、更新ボタンで消えてしまったorz
急いで再度、執筆! 即投稿! よって推敲してません!
誤字脱字は時間見て少しづつ修正していきます。
中立地帯に彗星の如く現れた地属性使いの二人組。
たった二人でヒースワルド、ロザヴェルト両軍を退け、片割れの少年は王を名乗り、
中立地帯をユーストマ国とし、ロザヴェルト軍に布告。
これは事実上、中立地帯に隣接する国家、全てに対する宣戦布告だった。
ヒースワルド、ロザヴェルド軍は帰還した後、斥候を出し件の地属性使いの調査に乗り出した。
斥候は飛竜を使っての上空からの高々度からの偵察だ。
太陽を背にして身を隠しての偵察だ。
斥候は飛竜に跨り、スケッチと中立地帯の地図を持ち中立地帯の空へ飛んでいった。
そして中立地帯…いや、ユーストマ国の領空付近にちかづいた時、斥候はおのが目を疑った。
望遠鏡を使わなくても目視できる程に巨大な『城壁』と『空堀』
それらが中立地帯を囲むようにできていたのだ。
しかも、城壁は巨人の侵入でも阻むのかと思えるほど高くそびえ立ち、
堀に至っては丸で奈落の底にでも繋がっているかの様に深い断崖絶壁の様を呈している。
戦場の為、人間狩りの為に大人数を輸送する馬車の通り道を作るため、街道を整備した。
軍隊の進路、奴隷商、人拐いの悪党が使う森林を使った抜け道など、その全てが断たれている。
以前の中立地帯はユーストマ国の建国宣言に伴い、巨大な陸の孤島と化していた。
どれだけの攻撃魔法を放てばこれ程の崖を作り出せるのだ?
農奴が鉱夫が使っている地属性魔法を見たことがあるが、とてもこの様な規模では無かった。
いや、三大魔法による攻撃魔法をどれだけ放てば是だけの所業が成せる?
到底、人の所業とは思えない。
気づけば斥候の手は震えていた。
高度に飛んでいる為に寒さで震えているのではない。
丁度、雲が陽を遮り影が差した為だろうか?
違う……分かっている。
防寒具位、着込んでいる。
これは恐怖だ。
今迄、足に付けていた大地が突如この崖の様に崩壊し、奈落の底まで落ちるイメージが浮かぶ。
斥候の男は震える手を押さえつけ、必死に地図に地属性使いの拠点と思しき地点を手持ちの地図に書き込んでいく。
任務を果たさねばならない。
この情報を生きて送り届けねばならない。
相手は広大な大地を、子供の砂遊びの様に弄る怪物だ。
幸い、此方は飛竜に乗っている。
自分は今、危険な大地からは遠く離れた空にいるのだ。
空にさえ入れば地震が起きようが、崖を作ろうが驚異では無い。
大丈夫だ。
空は安全なのだ。
「こんにちはお兄さん。今日は観光ですか?」
真上から空にいる筈の無い、少女の声が聞こえた気がした。
斥候の記憶は此処で途切れる。
彼が気が付いたのは首都ローゼンガーデンの駐屯所の宿舎のベッドの上だった。
同僚が言うには気を失った斥候兵を載せた飛竜が酷く怯えた様子で駐屯地に飛び込んできたという。
男は前後の記憶が混乱していたが、何とか、周囲に突如出来た断崖絶壁が出来ていた事、遠目に崖の向こうに巨大な城壁に囲まれた一角が会った事を報告した。
しかし、その後の記憶がプツリと消えていた。
斥候、飛竜、共に外傷は無い……
同僚は不思議に思いながらも報告書とユーストマ王を名乗る地属性使いの拠点と思しき地点を上層部に報告するのだった。
◆◆◆◆◆◆
~ロザヴェルト王城 作戦会議室~
数日前、ローズ王女が地属性使いの少年達の話を聞きつけてから瞬く間に話が進み、
軍議も無能な文官達は、追い出され、現状を正しく認識できているか、地属性使い達の驚異を正しく認識できている者達だけを集め、
集めた情報を吟味し、作戦を練っていた。
「陸路を塞いで来るとは…やはりあの地属性使いも軍隊による人海戦術を恐れての事でしょうか?」
斥候兵が見た報告書を読見上げた若い、将官が意見を述べるが其れが楽観的な意見だと誰もが思っていた。
言った本人も本気ではなかったのだろう、すぐに意見を取り下げる。
単独で軍を相手取る戦力を持つ者に今更、多勢に無勢が通じるはずが無い。
数の力など奴らには通じないのは戦場に参加した者、全てが理解していた。
それに頼るにしても、刺客を使っての連日連夜、休むことなく攻撃し続けるという戦法で初めて効果があるのだ。
軍隊を使っての攻略など地震か大剣での一網打尽にされるのが目に見えている。
それに、これだけの短時間で地形、其の物を公園の砂場での遊戯の如く変えた事実こそが恐ろしい。
これでは相手の魔力容量も無尽蔵にあるという事を立証されたのだ。
地震や大剣も長時間、維持していた訳ではなかった為、瞬間的な効果しかないのでは?という意見が出たのだがその意見が見事に否定されたのだ。
それに、此方の進軍経路もかなり制限され、陸路を使った進軍もできない。
飛行魔術が使える風魔法の使い手か、飛竜ややグリフォンの様な、飛翔能力のある魔物に騎乗しての移動に頼らざるを得ないと人数も制限される。
空路にさえ守りを絞れば、少ない人員で防衛も出来るだろう。
切り取った崖もあの地属性使いなら再び埋め立てる事もできるし、強固な石橋を掛けることも出来るのだろう。
「奴ら、地属性使いの二人組は守勢の構えを見せたのでしょうか?」
「ないな……わらわが奴等なら、守勢のままでは終わらん。」
即座にローズ王女はヴェルナー将軍の意見を斬って捨てる。
ロザヴェルトの中立地帯攻略作戦の司令官に収まったローズは笑を浮かべて地図を指で叩く。
「奴等は戦争を止めろと言ったのだろう? なら何故外敵を態々見逃す真似をする?その場で皆殺しにすればいいじゃろう。」
確かに……
本当に戦争を止めるのなら、憂いをしっかりと断つべきだ。
無尽蔵の魔力があるのなら、あの大立ち回りの時、軍を壊滅させた後、そのまま本国まで攻め入れば良かったのだ。
なのに、地属性使い達は見逃し、こうやって情報収集の時間を与え、守勢の構えだけ見せている。
「その報告書を出した斥候任務を受けた兵士の帰還状況も気にかかる……あえて見逃されたのでは無いか? 催眠術士でも精神医療分野に長けた術士を読んで徹底的にそやつの記憶を洗え……奴らは次々と手札を見せつけておる。」
王女はそう言いながら、口角を釣り上げて笑みを深める。
(手札を晒すか……まるでいくらでも調べろと言わんばかりじゃな。地属性魔法の驚異を各国に知らしめようとするのが目的の様にも感じるが
……まぁいい乗ってやる。 次は何を見せる地属性使いの王よ!もっとだもっとわらわを楽しませよ。)
ローズは只々、恋文を待つ乙女の様に、新たな地属性使いの情報を待ち焦がれるのだった。