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3.地属性男子はご立腹

感想、お気に入り、評価、感謝! 

日本に響け! 地属性の輪!!

取り敢えず、日刊更新頑張ります。


ルストヴェルト→ロザヴェルトに変更。

「この地を戦場にするのも、この地に住む人達の集落での略奪も止めてください……要約すると二度と来ないでくださいって事ですね。」


 少年は坦々と、ロザヴェルトの将軍に言い放った。

 しかし、将軍はこの地を二度と戦場にしないという確約が直ぐには出来なかった。


 此処が、ヒースワルド国内か自国の領土で有ればおとなしく引き下がっただろう。


 しかし、この地は何処の国の物でもない土地。【中立地帯】だ!

 唯一、敵兵に襲われる事なく略奪が許さ、国内で叩かれる事なく大規模な戦争行為が行える地なのだ。



 中立地帯その名の通り、誰のものでない土地。

 国の権力も届かない無法地帯。


 この地は国から追われ、時には逃れ、捨てられた者達が住む見捨てられた地だった。


 荒野が続き、魔物が住まう深い森が転々とある人気のない地だ。 

 いわば、国や社会、家族から見捨てられ、追いやられた者達が住む地だった。


 国の保護下に無い為、国は彼らを守る義務無い。

 そして、国民から命や財産を奪えば犯罪だが、他国どころか誰の国の物でもない者なら魔物と同じだという考えが出来る。


 人では無い……故に自国では使えない生態系に大きな損害を与える大規模な魔術も使える。

 そこに住む者を殺しても女に暴行をしようが、略奪をしようがお咎めはない。

 およそ、人道から外れた行為をしてもお咎めは無い。


 無実の罪で人権を奪って国外追放してから後で奴隷…いや、それ以下の扱いの出来るのだ。

 容姿や頭脳、力など何らかの才に優れた者を合法的に手に入れる事が出来る。

 何とも、権力者や悪党にとって都合のいい法律なのである。



 そういう背景がある為、中立地帯では戦争は散発的に起こるも小競り合い程度で済み被害が少なく済ませ、

 兵士達に報酬替わりに略奪を許可する慣例ができた。



 戦争後のお楽しみ…略奪こそが本命とばかりに戦争の参加者は当然の権利、徴兵義務の当然の報酬だとばかりにこの地を荒らすのだ。



 そして、この少年はそれを止めろと言い放ったのだ。

 将軍は巫山戯るなと激昂しかけたが、先程の少年達の所業を思い出し既のところで留まった。

 何より、未だに地面をズンズンと踏み鳴らしている少女の存在が厄介だ。


 軽い地震を起こしている少女が唸りながら、恨めしそうに此方を睨んでいる。

 要求を飲まなければ、少女の怒りの矛先が地面から自分たちに向かうのは明白だった。



「何故……戦争を止めようとする。」


 苦し紛れに、その要求の真意を問いただす。

 言葉の裏に中立地帯が使えなくなるのは困るのだ。


 

 それに相手は子供だ。

 自分と違い、未だ社会の悪や汚い部分を見てきていない純真な心の持ち主。


 いわば、世間知らずといっても過言では無い。


 この地を中立地帯と知らないのでは無いか?

 いや、知っていたとしても力に目覚め、誰かに頼まれたからだとか、泣き疲れたとかそんな一時の正義感から来るものだと将軍は思っていた。

 事実、少年達は誰も殺していないし、少女も説得を試みていた。


 場合によっては此方に引き込む事も考えていたが、少年の答えは将軍の予想を超えていた。


「もうここは中立地帯では無いからです。」

「…………は?」


 将軍はその言葉を理解できず間抜けな声を上げた。


 理解しようと言葉を反芻する前に、少年は更に爆弾を投下する。


「この地は我が希望の国【ユーストマ】の地となりました。

 そしてそれを治める()は、ユーストマ王だ。理解したか?」

「ふふ! そして当然、私はコウ君のお嫁さん、ゆーすとま王妃……」


 少年の爆弾発言と共に少女の機嫌が治り高らかに宣言する。


「あっちは只の従者」

「コウ君、酷い!!」


 むべもなく、バッサリ切り捨てられる少女。

 ポカポカと少年の背中を叩くが少年は一向に相手にしない。




「な、国王だと……この地の王!?」


 真逆の国王宣言に将軍は理解が追いつかない。


 幼稚な正義感どころでは無い、勝機を疑う。

 確かにこの地が今迄、中立地帯という都合のいい土地とする為、

 各国が暗黙の了解のもと略奪する事はあっても侵略し、領土にする事は無かった。


 その見捨てられた地を我が物をしたと言ったのだ。



「と…いうわけでこの地で金輪際、戦争や略奪は止めろ……国は、国民を保護下において守る義務があるからな?」



 先程までの敬語を捨て、尊大に、皮肉を吐く村人…いや、ユーストマ王が獰猛な表情を見せる。


 思えば、この少年は少女と違い初めから敵意を持って相対していた。

 自国を荒らしに着た、侵略者達に敵意を持って当然なのだろう。


「正気か!? 周辺国、その全てを敵に回す気か!? そんな事、出━━━━」

「…出来る。正気かどうかはこれから、分かる。それとも、今すぐ試してみようか?」

「ん? コウ君、もう出番?」


 後ろで右腕をグルグルと回し始める少女。

 何も知らない者が傍から見れば可愛らしい仕草だが、この場にいる全ての者にとっては最早、其れが大災害の前兆にしか見えない。


「要求が聞き届けないなら、続きを始めようか?この宣言を聞き、なおこの地に留まるなら侵略者として迎え撃つ!!」


 馬鹿げている…馬鹿げているが、この少年達はそれを行える実力を示した。

 領土と人民と軍事力を持った国が突如現れたのだ。


 そして、資源が少ない国が行う行動など決まっている。


「早く自国に逃げ帰って、色々と無駄な(・・・)対策でも練ることだな。」


 屈辱と恐怖、怒り、そのどれもが混ざる複雑な気持ちで震える将軍。


 しかし、怒りに任せて斬りかかっても歯が立たないのは明白……

 このたった二人の若者に自分たちは負けたのだ。



 それに、最早、一国の将軍が許容できない事態に発展している。

 結局、ロザヴェルトの軍は地震に恐れて逃げる野生動物の如く、自国へと逃げ帰った。




 ━━━━災害は忘れた頃にやって来る。


 そして、宣戦布告という前兆を持って人類は思い知る。

 自分たちが何を捨ててきたのか。

 捨ててきたモノが次第に積もっていき、山の様になり、自身に当たる日を遮り、見上げた時。


 彼らは思い知る。

読者の予想、斜め上を行った時、その事を感想で言われた時、作者のやる気はうなぎ登りになります。


応援感謝!

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