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1.体操服女子と村人男子は地属性

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 誰かが言った。


 『地(土)属性ってだっさいよねー』


 『飛んでいる奴には効果ないしな。』


 『筋肉バカの代名詞だよな』


 『地味なんだよな、火や風に比べてよ』


 『生まれながらの負け犬ってのには同情するよ』



 かつて地、水、風、火の世界を構成する【四大属性】に数えられたのは今となっては昔のことだ。

 


 地属性は不遇な扱いを受け、四大から外され、現在は三大魔法という天候を操る原初の魔法と呼ばれる火・風・水魔法の三属性が主流となった。 

 マイナーな属性とされ、誰も好んで使うことは無くなっていた。



 魔法技術の発展も大多数の人間が使い研究、開発も進められるし、初めて成るものだ。


 天候や温度を操るこの三属性は敵を燃やし尽くし、切り裂き、押し流し、凍らせる自然災害の脅威を体現する属性。


 この魔法属性に比べれば地魔法なぞ取るに足らない。

 

 

 開発に掛ける時間も金も無駄だ。

 地魔法は地面を揺らす、穴を掘る、石を飛ばす、土の壁を創りだすなど土木作業、防御に優れるも派手さにも威力にも疑問を感じるレベルだ。

 

 武器を創りだす技術もあるにはあるが、そんなもの魔法で使わずとも出来る事だ。


 つまり、地属性魔法のほぼ、全てが魔法で行う必要の無いものばかりだったのだ。



 とある学者や地属性魔術師は四大属性と、地魔法を他の三属性と対等と主張もしたし、


 学会でも『四大属性論』という地属性は他の三大魔法と同格であるという内容の論文も出たが、誰もが一笑に付した。

 地に這い蹲る虫けらの様な属性が空、天候を支配出来る三属性に何が出来る?



 次第に宮廷魔術師、軍人も戦いに優れる火・風属性、医療分野として水属性が優遇されていった。

 逆に地属性、特にそれのみしか資質のない者は、要職に就けず、鉱山や農地に追いやられていった。


 表向きは適材適所という名目だったのだろうが、


 『一生、土でも弄ってろ』という嘲りが目に見えていた。


 こういった風潮が長く続いた所為で地属性の魔法技術は廃れていった。


 交友や、就職にも地属性だというだけで、『地味』『田舎者』『脳筋』『無能』『敗者』というレッテルを貼られるのだ。

 地属性の適性を持つ者はそんな世間の風潮で肩身の狭いを強いられてきた。



 この時、誰かが『四大属性論』に耳を傾けていれば


 地魔法は、他の三属性と同格と理解していれば…

 地属性を差別しなかれば……

 彼らの物語(・・・・・)は始まらなかった。

 

 属性の表層に囚われ続けた民衆はツケを払うハメになる。



 そして、民衆は地属性の怖さを知らないまま、とある戦場にて物語は動き出した。



 ◆◆◆◆◆◆


 ~戦場~



 紛争地帯……火、風、水の魔法が飛び交う地。


 二つの大国の国境に位置する誰の物でもない地は何時もどおりに軍隊が両国から集っていた。

 陣地の綱引きの様に、勝ったり負けたりの繰り返し。


 今日も陣地の奪い合いの為、魔法が飛び交い、兵士による近隣に住む者たちの作物、金品、女を狙って略奪が始まる。



 …筈だった。




「こんにちは 戦争を止めて下さいます?」

「……命が惜しければ、直ぐにな?」


 戦場のど真ん中に、ひと組の男女背中合わせに立っていた。


 一人は赤みがかった茶髪の少女。

 白い半袖のシャツに青い短パンを纏い、青い上着を袖を通さずに肩に欠けている。

 満面の笑みで軍隊を前に片手をブンブンと元気よく降って嬉しそうに呼びかけている。



 もう一方、少女の後ろにいる少年。

 少女を背中にし、反対側の軍勢を睨む。


 こっちは如何にも『村人』という簡素な格好にもかかわらず、鋭い眼光を反対側の軍政に向け

 少女とは対照的に好戦的且つ、威圧感を放っている。


 少女が元気よく、それでいて無邪気に停戦を呼びかけ、

 それを少年の方は呆れたように肩を竦めつつも、反対側の軍と相対する。


 そんな巫山戯た状況に戦場に向かっていた両軍は一瞬、呆気にとられたが、直ぐに気を取り直して戦場へと走る。


 今更、たった二人の若者が呼びかけたところで戦争は止まらない。

 次々と矢をつがえ、魔法を詠唱し武器を持った兵士達が両軍にぶつからんと攻め込む。


 戦場の真ん中にいる二人の若者などひとたまりもないだろう。


「む、挨拶したのに 無視されました。」

「なぁ、やっぱお前バカだろ?はい、分かりましたって引き返すハズないだろ?」


 だというのに、若者達は動じない。

 まるで山の様に軍隊に動じず立ち続ける。

 それどころか、少女は少年にじゃれ始める。


『バカといった方がバカなんですー!!』


 とポカポカと村人風の少年の背中を殴り、少年は呆れたように


『ああ、ハイハイ、そうですね。お前に説教が通じると思った俺が馬鹿でしたよ。』


 と呆れた声を出す始末。



 両軍が二人…いや、相対する敵軍に向かってぶつかるまで後、数秒と迫った時、再び、二人は軍隊と相対し…そろって深呼吸をした後…


 それは放たれた。



「だい☆しんきゃく!!」

「地魔法・斬山剣」



 少女が大股で軍隊相手に地面を踏み込んだ瞬間…局所的に大地が揺れ、誰もが立っていられなくなった。


 次に被害を受けたのは空を飛んで難を逃れようとした魔法使い、天馬やグリフォンに乗った騎士達だった。


 彼らの上空に巨大な剣が突如現れ、文字通り山を斬るかのような大剣が巨人が振るったかのように空中に飛んでいるもの全ての存在の僅か上空を少年達を中心に円を描くように凪ぎ払ったのだ。


 大質量の風圧に巻き込まれ飛ばされ、地に叩きつけられる軍勢。


 結果、中央の二人を除いた全ての生物が地に伏した。



 突如、我が身を襲った事態に痛みと混乱が巻き起こる戦場、誰もが理解できない。


 大地を揺らす力と、質量を持った魔力、二つの巨大な暴力によって再び両軍は静止した。


 ━━━━ズン


 と、両軍の上空をなぎ払った山のような大剣が一周した後、戦場の真ん中に落ち、大地に突き刺ささり、地面へと消えていく。


 その様子は大地という『鞘』に『山を斬る大剣』を収めるかのようであった。



「この大地、全てが俺たちの武器であり、間合いだ。降伏しろ。」

「お前たちは完全に『ほーい』されている━━━━♫」


 疲れたかのような声を出しつつも、油断なく軍隊を睨む少年。

 無邪気に笑いながら、降伏を呼びかける少女。


 先程と違い、両軍に戦意は欠片も無かった。



 ━━━━地属性使い


 彼ら、地属性戦士の少女『アキラ』

 地属性魔法使いの少年『コースケ』


 彼らの『地属性』の物語が始まる。

 

誤字修正。

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