第一話 Training between close friends
こんにちは!この度はこのような小説を読んでいただき、まことにありがとうございます。
中一の書いた文なので色々おかしな部分があります。ご注意を!
※不定期更新です。
ざわざわとささめき合う芝生の上で、二人の人間が距離をとって向き合っていた。
「じゃ、いっくよ~!」
片方のポニーテールの女の子が、元気に笑顔で両腕を振った。
その両手に、一瞬にして長銃が現れた。自分の魔力を銃器に変えたのだ。
中身の弾丸は入っておらず、自分の魔力を射出する。
本当の弾丸みたいな殺傷力はないが、装填する魔力の量によっては膨大な破壊力となる。
これが、彼女の職業である銃撃士。
長銃を握った彼女の顔は、先ほどとは違い、真剣な表情になっていた。
そして土を蹴り、正面にいるツインテールの女の子目がけて走っていく。
ツインテールの子はただ彼女をじっと見据えている。
ゆったりとその右手をポニーテールの子にかざし、口を動かす。
「全ての力の源よ 我が手に集いて力となれ」
彼女の職業は理使い。あらゆる理を学び、あらゆる理を自在に操る。
臨機応変な戦い方ができ、理によっては威力は強大。
先ほど呟いたのは詠唱であり、本来の魔術の威力を出すために使う。
「フレア・アロー」
そして魔法名。魔術を発動させる鍵。
彼女の背後に数えきれないほどの炎の矢が現れる。
少々視力の悪い人がみたら、炎の壁に見えるかもしれない。
炎の矢の生産が終わると同時に、射出される。全てが一斉に襲いかかるわけではない。
一本一本射出されているのだが、その速さに数本同時に射出しているようにみえてしまうだろう。
「連なるインサニティ!」
銃撃士は一度その場にとどまる。
両手に持っていた長銃が一瞬にしてガトリングガンに代わり、射出する。
先ほどの炎の矢とこの弾丸が相殺し、両方の攻撃が消え去る。
二つの攻撃が相殺した場所の地面がえぐれていた。
先ほどの魔法は火属性の初級魔法でありながら、使うものが使えば強大な威力となる。
まぁそれは全てのものに言えることなのだが。
そして、次は銃撃士の番だ。
理使いに近づき、いつの間にかもとに戻っていた長銃を前に突き出す。
案の定理使いはバックステップで突きを避けた。
だが、銃撃士は引き金を引き、追い打ちをかける。
「テレポート!」
銃撃士の引き金とほぼ同時に、理使いはそう叫んだ。
理使いに放たれたその弾丸は、虚しく空を貫く。
彼女は、先ほどの魔法で銃撃士の数メートル離れた背後に移動していた。
点と点の間を瞬間的に移動する魔術だ。
「バスタードフレア!」
詠唱無視。詠唱を省略し、魔法名だけで強制的に発動させる技術。
詠唱がない分、威力が三分の一と控えめだが、咄嗟に使えるのが最大の利点だ。
先ほどの詠唱無視で、銃撃士に向けられた理使いの指先から、勢い良く高熱の火炎が放たれる。
射程距離が長く、威力が高いと使いやすい魔法だ。
「甘いよ!」
理使いのほうに振り向いてそう呟いた銃撃士は、左手の銃を地面に突き刺す。
そして次の瞬間、地面の土が盛り上がり、一瞬にして盾ができあがる。
これは銃撃士の子の唯一覚えている魔法で、触れた地面を自在に操ることができるのだ。
理使いの炎を防いだ土は、ボロボロと崩れた。
それと同時に、その先にあったはずの銃撃士がいなくなっていた。
先ほどの土は防御と同時に、自分の姿をかくして次の行動を読めないようにしたのだ。
「サイクロン!」
魔法名を言うと、理使いの足付近に風が集い始め、一瞬にして竜巻を形成し、理使いを上空へと打ち上げた。
本来は敵に使う魔法なのだが、応用次第でこのようなことも可能だ。
なぜ理使いが上空に飛んだかというと、周囲の状況を一瞬にして確認するためだ。
見えないところから射撃されては、避けきれない。
半径200m程度確認したが、銃撃士の影どころか、動物一匹見つからない。
「だったら……! ダウンバースト!」
上空にいる理使いは、地面に手をかざして魔法名を唱えた。
そして、理使いの手からは暴風が吹き荒れ、地上にその暴風をぶつけた。
理使いは、銃撃士がさっきの魔法を応用して、地面に潜ったと考えたのだ。
暴風は地上の地面をえぐる。その中から、銃撃士が飛び出してきたのが眼に見えた。
理使いは上空から地面に空間移動すると、銃撃士に手をかざし、魔法名を言う。
「ファイアーボール!」
手のひらから放たれた火球を銃撃士は右に避け、前進してくる。
攻撃範囲内に入ったとたん、突きを繰り出してきた。理使いはそれをバックステップで避ける。
「もらったよ!」
そう言った次の瞬間、再び弾丸が射出された。
理使いはそれをテレポートで避け、銃撃士の背後へとテレポートする。
「一度その攻撃は見たんですもの。当たりませんわ!」
そう言った彼女は銃撃士に手をかざす。
「ノーム、大地の精霊よ。地より沸き上がり、かのものを捕らえよ! ホールド!」
魔法名が言い終わると、銃撃士の足に土が絡みついた。
だが、銃撃士は一瞬も取り乱さず、長銃で絡みついた土を撃つ。
土は弾けるように飛び散り、銃撃士は一瞬にして自由を得た。
続いて舞うようにして回転し、理使いに向けて弾丸を射出する。
しかし理使いは、テレポートで見えざる弾丸を弄ぶかのようにして避ける。
弾丸を全て避けた理使いは、再び詠唱を開始する。
「ドライアード、草木を司る美しき乙女よ! その腕を伸ばし給え! 彼の者の自由を絡め取らんがため! バインディング!」
今度は土ではなく、木が現れ、銃撃士の体を絡めとった。両腕も束縛されているため、身動きができない。
「これで私の勝ちですわね」
勝ち誇った表情を浮かべながら、銃撃士に近づく。
「勝ち? 何を行っているの?」
そう言った直後、銃撃士の周りに銃が現れ、銃撃士に絡みついた木を撃つ。
銃撃士は引き金を引くどころか、銃に触れてさえいない。
自分の魔力で構築した銃を、自分の魔力によって操ったのだ。
身動きができるようになった銃撃士は、空中に浮いている銃の銃口を、理使いに向ける。
「エターナルインサニティ!」
そして、一斉射出。鳴り止まない発砲音があたりに響き渡る。
しばらくした後、もくもくと立ち上る土煙の中から、何かが見え出した。
そびえ立つ土壁。軽く100発は超えるであろうその射撃でさえ、穴一つ開いてなどいなかった。
「だったら……!」
銃撃士は肩からかけているポーチに手を伸ばし、チャックを開けて弾丸のようなのを取り出す。そして、それを銃に装填。
「暴虐のオーメン!」
狙いを精確に定め、射出。放たれた弾丸は、土壁に着弾すると同時に爆発を起こした。
さらに追い打ちをかけようと、特殊な銃へと変換させる。
「2枚目のジョーカー!」
銃口から、電磁投射弾が2発連射された。土煙を貫き、土壁も貫いた。
だが……、その先に理使いはいなかった。
「ここですわ」
どこからともなく響くその声に銃撃士は反応し、あたりを見渡す。
理使いは、その後ろからゆっくりと近づいてきていた。
銃撃士が銃口を向けると、手をかざして即座に口を動かす。
「アーシークラッシュ!」
魔法名を言うと、銃撃士の足元が突如音を立てて壊れる。
銃撃士はそれにより、体制を崩してしまった。
「もらいましたわ!」
理使いは魔力で剣を作り出し、開いての喉元に切っ先を近づけた。
「私の勝ちでよろしいですの?」
理使いは笑みを浮かべ、銃撃士に問いかけた。
銃撃士は悔しそうに、
「仕方ないなぁ……」
と呟いた。その瞬間、あたりの自然が一瞬にして消え去り、真っ白な四角い部屋へと変わった。
バーチャルルーム。今までに出会った人物や、場所を擬似的に作りだし、その状況での戦闘を表現できるというバーチャルリアリティシステム。今回は場所だけを創りだしたのだ。
「さ、朝食に致しましょう」
そう言って理使いは部屋から出て行った。
銃撃士も、
「待ってよ~!」
と言いながら走って追いかける。先ほどの戦いが無かったかのように、息切れ一つしていなかった。
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