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ファウスト〜両面紳士の幻視〜ジキル博士とハイド氏  作者: ヨハン•G•ファウスト


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9/9

第九幕:ジキル博士とハイド氏の前日譚

物語は原作へと向かう。

君らは、この物語をどう味わってくれるのだろう?

やあ、君。この物語は『ジキル博士とハイド氏』の前日譚だ。君たちは、ここから次の物語を読むことができる。

そして、新たに語り直すことができるんだ。物語は終わらない。


第八幕では、悪の化身ハイドへの完全変態を果たしたジキル博士の様子を見た。


ハイドは眠らないロンドンの街をかけた。

富のある者として、

持たざる者としても。


彼の欲望は翼を持ち、

想像は現実となった。

彼は幸せだった。

非難され、気味悪がられようともね。


ハイドが一通り夜を楽しめた後、彼は研究室に戻った。そして、赤髪のヨナが待っていた。彼は年を取ってないように見えた。

「よう、博士ーーそれが完全悪のお前か」と嘲笑を込めた声。

「博士だとぉ? 俺はエドワード・ハイドだ。ヨナの小僧......ここは俺の巣!俺の世界だ!」

彼はステッキを片手に彼を睨みつけた。

ヨナは肩をすくめた。

「博士。これは後戻りできないぜ。

貴重な素材を、趣味に使いやがった。

ボスはお怒りだ。アンタは糸を千切ったんだーー名探偵に嗅ぎつかれたらどうしてくれる?」

ハイドは唸った。

「黙れ!川にその鼻を浮かべられたくなければ!」

彼は近くの壁にステッキを叩きつけた。ガンっと暴力の叫びか響いた。

「はは!ケモノだーー。

話にならない。

ーーオレは帰る。

せいぜい、夜を楽しめ、博士。」

ヨナは軽蔑の眼差しを向けながら、ハイドのステッキの動きを警戒しながら部屋へ出た。

ヨナの後ろ姿に唾を吐き、ハイドは叫んだ。

「他の奴らにも言え!俺の邪魔だけはするな!命が惜しければな!」

これでジキル博士とハイドは、完全に袂を分つことになった。


悪の化身の

ケダモノよ

さまよう悪意

霧の夢

過去のケモノの顔を持ち

お前は闇夜の悪魔となる

誰もがお前を憎むだろう

過去の亡霊なのだから

お前が夜を走る時

嫌悪の風が

あとをひく

月のない夜

雨降る夜

気をつけろ

この街の誰もが

お前を憎む

ケモノに堕ちた

破滅の男よーー


ヨナの歌声がハイドをイラつかせた。

彼はーージキル博士は彼の歌を聴き、身を震わせた。


そして、ハイドの姿のまま歌い出した。


良いことせよと歌われて

ボクは正しきことをした

正しさなんかに守られて

天使になったはいいけれど

心は堕ちていくばかり

求めたんだ

本当のことを

ボクは、ほんとは

何者なのかを


仮面が顔に貼り付いて

自分が誰かわからない

壊してみたらわかるかも

破滅が先にあったとて

偽善の中でいたくない


歌は虚空へと運ばれて消えていった。

ロンドンの街は変わらず、

闇はそこにあった。


ーー霧の中で、悪魔が笑う。


(こうして、物語は悪魔と共に幕を閉じる。)





ボクらは目撃者となったーー。

次の物語も期待してほしい。



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