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ファウスト〜両面紳士の幻視〜ジキル博士とハイド氏  作者: ヨハン•G•ファウスト


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3/9

第三幕:完全悪との接触

謎の男は完全悪か?

ジキル博士の冷たい目が、

謎の男の行動見つめる。


やあ、君。本当の悪とは何か考えたことは?自分の衝動に正直なのか。

それとも、何かしらの問題を抱えているのだろうか。

病とは悪なのだろうが?


第二幕では、ジキル博士が悪の形をもとめてさまよい、酒場にたどり着いた。そして赤髪の男が、酒場に入ったところを見た。


彼はカウンター席が埋まっているのを見て、ちょっと肩をすくめた。

それから、その席に向かってあるくと、彼から目を逸らす客の後ろの襟首にスティックの柄を引っ掛け、強く引っ張った。

客は悲鳴をあげて、そのまま後ろに倒れた。

赤髪の男は、空いた席に座ろうとした。

客が何か口を開こうとしたが、赤髪の男は客の口をブーツで、素早く軽く踏んで見せた。

客は笑い始め、ブーツにキスをすると店から歩き去った。

「ジェニー。酒だ。いつもの」と少し高めの声が彼からでた。

「ええ、ヨナ。いつものねーー」とジェニーと呼ばれた給仕の女は震えながら、酒をグラスに注ぎ、彼の前に置いた。

「ーーいつものだ」と彼は不機嫌そうに言った。

女は、その酒を口に含み、彼のそばかすの顔に、怯えた顔を近づけて酒を呑ませた。男は女の腰に無遠慮に手を伸ばした。

他の客は視線を逸らし、彼らの話題に戻った。


ジキル博士は、その光景を唖然として見てた。悪魔の演じる悪夢の舞台を眺めている感覚だ。現実的には見えなかった。


やがて男は飽きたのか、グラスから酒を飲む。

それから、一人でぶつぶつ聞こえるように不平を言った。


今日の男は

ふざけたヤツさ。

返さぬ金を、ぐだぐだと

返す、返さぬ

繰り返し、オレは言ったさ


黙って払え

五体満足

あるうちに

どこかが欠けたら

見栄えが悪い

鏡を見たら

よりぶざま


結局、オレは仕事した

今頃川には浮いているさ

愚かな男の目立つ鼻


愚かな男の目立つ鼻ーー


ヨナは歌い終わると、グラスに残った酒を飲んだ。


「クソさ。この日も!」

そう言って、彼は更に酒を求めた。


ジキル博士は、彼の方に近づいた。

赤髪のヨナは、視線だけを彼に向けた。

「止まれ、近寄ったらブチのめす」

ヨナは敵意を込めた目をジキル博士に向けた。

「ーー奢らせてくれないか、ヨナ。

私はヘンリー・ジキルだ。」

彼は唇を舐めた。ひどく喉も乾いてた。

「少し話を聞かせてほしいーー話だけだーーそれだけだ。金もやるーー」


ヨナは、少年のような笑顔をみせた。

「ーーいいだろう。ーー財布をだせ」

ジキル博士は、彼が用意した財布を手渡す。がっしりとした高身長の男が、身を縮めて少年みたいな男に財布を手渡した。それはどことなく面白く、不自然だった。

「で、話すだけか?それとも、どこかで抜いてほしいのか?」とヨナは嘲るように言った。

ジキル博士の身体はブルっと震えた。

「話がしたいんだ。君の物語を聞きたいだけだ!」と彼は狼狽えた。

ヨナは、しばらく彼を眺めた。

「ーーオレの物語?」


ヨナはジキル博士を見つめながら、財布を給仕の女に投げた。

女は受け取ると、それを大切に握った。

「お前は誰だ?なぜ、オレのことを聞きたがる?」とヨナは問いかけた。


ジキル博士はしばらく悩み、こういった。

「悪を知りたい。私は君を完全悪だと思っている。だから、調べたいーー」


ヨナの目が丸くなった。


(こうして、第三幕は完全悪により幕を閉じる)

ついにジキル博士は話しかけた。

完全悪に心踊らせ。

酒を奢ると財布を渡す。


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