表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

信念が崩れても一緒にいよう

これはこの物語の最終回です。皆さんが楽しんでいただければ幸いです。

法廷には沈黙が重く垂れ込めていた。

アダムとリリスは、互いの論理と証拠をぶつけ合い、視線や声の波で相手を切り裂いた。

しかし、ここで描かれるのは膨大な証拠の細部ではない。

数時間にわたる攻防の中で、二人の魂が互いを量り、揺れ動く様子――それだけが、観衆にとって最大の衝撃だった。


アダムの胸に、長年の疑念が渦巻く。

「もし自分が悪なら…守ろうとしたすべては虚しい。」

リリスもまた、自らの誇りが崩れる恐怖に震えた。

「私が悪だと認めれば、何千年もの誇りも、私の存在すら消えてしまう…」


だから二人は互いに責任を押し付け合うしかなかった。

「お前が悪だ。なら私は無垢だ。」

「あなたが悪い。私は悪じゃない。」


そのとき、ゼンタイが静かに立ち上がる。

白銀のフードが光を反射し、空間の空気が凍る。


「双方とも誤っている。」

その声は宇宙の底から響くようで、壁も天井もない法廷の空間に、真実の重みだけが漂った。

「真実はこうだ――人間も悪魔も、根本的には同じ存在である。

悪魔の記憶は偽りであり、彼らは元々人間だった。

人類の罪とは、六次元――本質の次元――を破壊したこと。

それこそが真の『原罪』であり、六次元を破壊した者たちは、悪魔となった。」


法廷は虚無に包まれ、長年信じてきた善悪の境界は、音もなく崩れ落ちた。

多くの人間や悪魔は、秩序の崩壊に耐えられず、静かに法廷を去った。ゼンタイやトム・ピプキンさえも出ていた。

残ったのは、虚無の空間と二人の孤独だけだった。


アダムはそっとリリスに歩み寄る。

衣服の上から唇を重ね、首筋にかすかに口を滑らせる。

リリスの呼吸は浅く、震える手でアダムを抱き返す。

二人の鼓動は法廷の虚無と重なり、時間が止まったかのようだった。


ふと、アダムの意識に古の記憶が浮かぶ。

初めてリリスと出会った日の光、互いに手を取り合った幼い冒険、そして長く続いた裏切りと許し。

彼の心は、過去の自分と現在の無力感の間で引き裂かれた。


低く囁く声でアダムは言う。

「言ってくれ…俺が最高だと…君はこれまで誰と関わろうと、俺にかなう者はいないと。」


リリスは微笑み、瞳を細めて応えた。

「そう…何千年経っても、あなたが私の中で最高の愛人よ。」


二人の体温と鼓動だけが、崩壊した世界の中で唯一の秩序となった。

崩れ去った善悪の秤の中で、互いを抱きしめることこそが、唯一の救いであり、唯一の真実だった。


アダムの手がリリスの背をそっと撫で、過去と未来、失われた時間をそっと抱き締める。

リリスの手もまた、アダムの胸に触れ、孤独と恐怖を共有した。

二人の唇が何度も重なり、世界の秩序が消えた虚無の中で、かすかな温もりだけが残った。


遠くで扉の閉まる音が響き、法廷の空気が再び静まった。

だが二人にはもう、誰の判断も善悪も必要なかった。

互いの存在が、唯一の秩序であり、唯一の真実だった。

この物語を読んでくださった親切な読者の皆様に感謝します。皆さんのおかげで、ライトノベル作家になるという夢を実現できると気づけました。本当に感謝しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ