信念が崩れても一緒にいよう
これはこの物語の最終回です。皆さんが楽しんでいただければ幸いです。
法廷には沈黙が重く垂れ込めていた。
アダムとリリスは、互いの論理と証拠をぶつけ合い、視線や声の波で相手を切り裂いた。
しかし、ここで描かれるのは膨大な証拠の細部ではない。
数時間にわたる攻防の中で、二人の魂が互いを量り、揺れ動く様子――それだけが、観衆にとって最大の衝撃だった。
アダムの胸に、長年の疑念が渦巻く。
「もし自分が悪なら…守ろうとしたすべては虚しい。」
リリスもまた、自らの誇りが崩れる恐怖に震えた。
「私が悪だと認めれば、何千年もの誇りも、私の存在すら消えてしまう…」
だから二人は互いに責任を押し付け合うしかなかった。
「お前が悪だ。なら私は無垢だ。」
「あなたが悪い。私は悪じゃない。」
そのとき、ゼンタイが静かに立ち上がる。
白銀のフードが光を反射し、空間の空気が凍る。
「双方とも誤っている。」
その声は宇宙の底から響くようで、壁も天井もない法廷の空間に、真実の重みだけが漂った。
「真実はこうだ――人間も悪魔も、根本的には同じ存在である。
悪魔の記憶は偽りであり、彼らは元々人間だった。
人類の罪とは、六次元――本質の次元――を破壊したこと。
それこそが真の『原罪』であり、六次元を破壊した者たちは、悪魔となった。」
法廷は虚無に包まれ、長年信じてきた善悪の境界は、音もなく崩れ落ちた。
多くの人間や悪魔は、秩序の崩壊に耐えられず、静かに法廷を去った。ゼンタイやトム・ピプキンさえも出ていた。
残ったのは、虚無の空間と二人の孤独だけだった。
アダムはそっとリリスに歩み寄る。
衣服の上から唇を重ね、首筋にかすかに口を滑らせる。
リリスの呼吸は浅く、震える手でアダムを抱き返す。
二人の鼓動は法廷の虚無と重なり、時間が止まったかのようだった。
ふと、アダムの意識に古の記憶が浮かぶ。
初めてリリスと出会った日の光、互いに手を取り合った幼い冒険、そして長く続いた裏切りと許し。
彼の心は、過去の自分と現在の無力感の間で引き裂かれた。
低く囁く声でアダムは言う。
「言ってくれ…俺が最高だと…君はこれまで誰と関わろうと、俺にかなう者はいないと。」
リリスは微笑み、瞳を細めて応えた。
「そう…何千年経っても、あなたが私の中で最高の愛人よ。」
二人の体温と鼓動だけが、崩壊した世界の中で唯一の秩序となった。
崩れ去った善悪の秤の中で、互いを抱きしめることこそが、唯一の救いであり、唯一の真実だった。
アダムの手がリリスの背をそっと撫で、過去と未来、失われた時間をそっと抱き締める。
リリスの手もまた、アダムの胸に触れ、孤独と恐怖を共有した。
二人の唇が何度も重なり、世界の秩序が消えた虚無の中で、かすかな温もりだけが残った。
遠くで扉の閉まる音が響き、法廷の空気が再び静まった。
だが二人にはもう、誰の判断も善悪も必要なかった。
互いの存在が、唯一の秩序であり、唯一の真実だった。
この物語を読んでくださった親切な読者の皆様に感謝します。皆さんのおかげで、ライトノベル作家になるという夢を実現できると気づけました。本当に感謝しています。




