彼がこう言った、彼女がああ言った
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その日が来た。
人類と悪魔たちが静かに法廷に座り、宇宙裁判の開始を待っていた。
原告側にはリリスと悪魔たち。
被告側には人類、そして代表のアダム。
リリスはアダムに視線を送った。
それは彼によく馴染みのある仕草だった。かつて何千年も前に夫婦だった頃、彼女がしばしば使った合図。
「あなたを食べてしまうわ」――当時はただの戯れ言だった。
だが今日、それは冗談ではない。
リリスは人間を食べることに快楽を感じる悪魔ではないが、今夜だけは例外だった。
裁判の勝利後にアダムを地獄の火で唐揚げにし、マヨネーズをつけて祝杯のつまみにする――そんな光景を想像しながら、彼女は微笑んだ。
そのとき、至高の裁判官が現れた。
ゼンタイ――唯一にして真の全能神。
ミアキス(絶滅種)の姿をした神であり、白いローブのフードにはローマ数字の「Ⅲ」が刻まれていた。
ゼンタイは天の槌を手に取り、壇上を三度打った。
「静粛に。『人類 対 悪魔』の審理を開始する。
リリス殿、冒頭陳述をお願いします。」
リリスは立ち上がり、堂々と前へ出た。
その挑発的な装いは、彼女にとって戦いの鎧に等しい。
「ありがとうございます、閣下。
人類の起源以来、彼らは世界の悲劇のすべてを我々悪魔のせいにしてきました。
『人の心の中の悪』さえも、私たちが植え付けたと言うのです。
あの有名な聖書の物語――アダム、イヴ、そして蛇――以来、
人間は本来善良であり、悪に染まるのは我々のせいだという主張が延々と続いてきました。
しかし、今日こそ、その根拠なき中傷に終止符を打ちましょう。
あなたの御前で、私たちがこの世界の惨状の元凶ではないことが証明されます。
今日こそ… 真実の裁きが下るのです。」
リリスは席に戻り、ゼンタイはアダムに目を向けた。
「アダム殿、冒頭陳述をどうぞ。」
アダムは立ち上がり、真摯な表情で話し始めた。
「閣下、人間が歴史の中で数多くの悪を行ってきたことは、否定しません。
人の心に悪があること、それは事実です。
しかし、それでも――あなたこそが我々を創造された全能の神であり、
聖書によれば、あなたは人間を“善きもの”として創られた。
ならば、人は生まれつき邪悪ではないはず。
では、その“悪”はどこから来たのか。
あなたではないと信じています。
なぜなら、あなたは善であり、善なるものしか創造しない。
では、誰が?
聖書によれば、それは彼ら――悪魔たちです。
もともとは天使でありながら、人類への愛に嫉妬して地に堕ちた存在。
弱き我々を、あなたが愛したがゆえに。
リリス殿の言う通りです。
今日こそ――真実の裁きが下るでしょう。」
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