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第8章「逆風に立つ」第4話「繋ぐ声」

王国の外縁――

新たに角度を取り戻した幹の上で、

アウラが人々を見下ろして立っていた。


吹き返す風の中に、

折れかけた巡りの息吹が

かすかに揺れていた。


「――聞きなさい。」


声は決して大きくはなかったが、

集まった人々の喧噪を

一息で静めるだけの強さがあった。


「王国は、

確かに立ち上がりました。」


幹の裂け目を繋ぐように咲いた光の筋が、

遠くまで届いていた。


「ですが……

これで全てが戻ったわけではありません。」


人々の間に小さなざわめきが生まれる。

アウラは目を伏せると、

その声を静かに受け止めた。


「嵐は去りましたが、

いつまた逆風に晒されるかは分かりません。

幹は傷を負い、

根は揺らぎ、

巡りはまだ完全ではない。」


彼女の瞳が、

一人一人の肩を撫でるように向けられた。


「この王国は、

私たち五耀星だけで守られるものではないのです。」


人々は息を呑んだ。


「――あなたたち一人一人の手で

役目を果たし、

繋ぎ、

また新たに起こすのです。」


どこかで、誰かが小さく「はい」と応えた。


その声が連鎖し、

祈りのような熱が群れを包んでいく。



その後ろで、

リュミエールは手を握りしめていた。


熱を帯びた人々の背を見ながら、

胸の奥に静かな火が宿っていくのを感じた。


(……屈して起つもの。)


目の前の王国がそうであるように、

自分もまた巡環士として

この逆風を何度でも越えて、立ち上がっていくのだと。



アウラの声が、

光を抱く空へと吸い込まれていった。


「さあ――

もう一度、私たちの手で。」


人々の歓声が波のように湧き上がり、

立ち上がった幹を震わせた。

いつもご覧いただきありがとうございます。今回はかなりあっさりになってしまいました。次はもう少しボリューム感が出せるエピソードです。引き続きお付き合いいただけると幸いです。

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