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Episode9「砂漠の激闘」

 西暦2325年、地球は度重なる戦争と環境変化に伴い、地球が人類にとって住みにくい星になるのは最早時間の問題となった。だが、人類はコロニー建造や月面基地の開発等、宇宙進出を果たす程の技術を手に入れ、やがて他惑星での移住計画も推し進めた。

 だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。

 やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。

 悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…

 ラルドに乗り換えたルシファロイドによって倒されたデーモンビーストの死体は特務隊によって回収され、その正体はデーモンビースト第7号ガーフェラで、ダニ型の寄生生物はガーフェラと共生しているブラッドノスであることが判明した。

 このデーモンビーストは人間の血が好物でブラッドノスを通じて明確に人間を襲い、自らが発する音波は超音波としてだけでなく、人間の脳に干渉することが可能等、軍でもブラックリストに乗っている個体の中でも上位に入る程の危険な個体と認定されていた。

 ガーフェラは発見が困難なため、その音波に対する対抗手段も乏しく、軍が相手した個体はそのほとんどが逃げられたため、討伐された個体は存在しなかった。

 しかし、今回は討伐した死体が手に入ったことで本国に持ち帰ってその遺伝子構造を調査すれば、対抗手段や更なる兵器開発を行えることが出来、その収穫は十分にあった。

 だがその代わり、ヘレナの護衛に加えてその亡骸を無事に本国に送るという重要な役割も持つようになり、これ以後の各国訪問もデーモンビーストと反連合国のテロリストによる襲撃に備え、より一層軍備を整える必要があり、マッカーシーを筆頭に今後に関する会議が行われた。


 「今後の進路だが、我が部隊は本来向かうモスクワ総督府を後にして、シルクロードを通って北京総督府に向かうことにする。」


 「モスクワ総督府にガーフェラの死体を預けるということは出来なかったんですか?」


 「それも考えたが、残念ながら、モスクワ総督府は財団のモスクワ支部と提携して現在、北欧制圧のための作戦行動を取っている。

 今、我が部隊がモスクワ総督府に向かえば、今回の訪問が軍の支援だと世論に勘違いされ、それに乗じて反財団派の動きを益々活発化させる恐れがある。

 それに北京総督府の軍備は他の総督府より整っており、警備も万全でテロリストの制圧にも成功しており、財団の北京支部は首都メトロポリスに次ぐAS開発の拠点でもある。彼処なら、例え本国にまで運べなくてもガーフェラの死体を預けることは出来るだろう。」


 「しかし、北京総督府に向かうとするなら、その進路はかなりの危険を伴います。特にアフリカ北部や中東には神出鬼没のデーモンビーストに加え、反連合国のテロリストも多数潜伏しているとの情報もあります。

 もし我が部隊にヘレナ嬢にガーフェラの死体がいることを知れば、血眼になって我々を襲撃する恐れもあるでしょう。その対策はどうするのでしょう?」


 「その件だが、ロンドンでの例の爆破がそのテロリストによるものだと判明し、既にイタリア総督府やスペイン総督府が制圧隊を出している。」


 「といっても、テロリストの勢力は中東だけではないですから、別の部隊が我々を襲う可能性はあります。」


 「ヘレナ嬢の護衛はクトラに一任し、ガーフェラの死体の護衛はハイライト二等兵に一任したいのだが、よろしいかな? デナム大尉。」


 「私は構いませんが…」


 「しかし、特務大佐。そうなると襲撃するテロリストを迎え撃つ戦力はオルスター特務二等兵になりますが…」


 「恐らく、テロリストの狙いは我が部隊というより、ヘレナ嬢の方だ。彼女が財団会長の令嬢ということは連中も知っているだろう…殺害か拉致すれば我が連合国軍が混乱状態に陥ると思って真っ先に狙うはずだ。だから、ヘレナ嬢の護衛は我が部隊で一番の戦力たるブラッディ特務二等兵に一任させる。」


 「しかし、同じ護衛任務に当たっているオルスター特務二等兵はどうなるのですか?」


 「引き続き、セラヴィムに乗せるが、前線には出さないよう、彼には後方支援に回ってもらう。今までが前線に出すぎたこともあるが、セラヴィムの機能が解明されていない以上、北京総督府に着くまでに彼には出来るだけ戦闘を避けるようにしたい。」


 「では、北京総督府にはガーフェラの死体の他にセラヴィムも預けると?」


 「そのつもりだ。彼処なら新型機もあるから、代わりの機体があれば、彼にはそれに乗ってもらう。」


 「しかし、大丈夫なのでしょうか? それまでに彼をあの機体に乗せて…第一、暴走の原因すら未だに不明のままですし…」


 「そこは我々の援護で何とかするべきだろう。オクタヴィス特務大尉はこのことを彼に伝えておいてくれ。」


 「わかりました。」


 「ところで、デナム大尉。」


 「何でしょう?」


 「ハイライト二等兵のことなのだが…」


 


 


 

 マッカーシーを筆頭とする会議が行われている中、ラルドとマルコはヘレナの元におり、ノアの状態を聞いていた。


 「それで、ノアの状態は…」


 「大丈夫よ。医者の話によると軽い貧血で暫く安静にしていれば問題ないって。」


 「良かった。まさか、あんなのに血を全て抜かれたのかとヒヤヒヤしたよ…」


 「でも、彼女…他の兵士と同じくブラッドノスって奴に取りつかれたんだろ? 基地を襲撃した兵士は取り付いていたブラッドノスが死んだら、そのほとんどがミイラ状態になっていて、辛うじて助かった者でも意識不明の重体になっているんだよ!」


 「そこは私もわからないし、医者だってあれぐらいで済んだのは奇跡としか言いようがないって…」


 「あんだけ怯えている割には意外とタフなのかな?」


 「でも、ノアは特別強いってわけでも鍛えている子じゃないし…」


 「普通じゃないのはあいつも同じか…」


 マルコが目を向けた先には腕組みして静かに突っ立っているクトラの姿があった。


 「聞くところによると、あいつ、生身でブラッドノスを相手にしてしかもその内の一匹に噛み付かれてかなり牙が食い込んだっていうのに割りとそれも大したことなく、傷が直ぐに治って今じゃ、あんなにピンピンしてるからな。もしかしてあいつ人間じゃなかったりして…」


 「止めなさい! ああ見えてもちゃんとノアを助けたんだし…」


 「ねぇ、ヘレナとマルコはクトラのことホントに知らないの?」


 「私は叔父様とは昔馴染みだけど、あの子とは余り会ってないの…」


 「俺もブラッディさんに拾われて1度会っただけでそれ以降は顔も会ってないからなぁ…話し掛けようにもあの性格だし…」


 「クトラ本人が距離を置いたということ?」


 「それもあるけど、ブラッディさんがあいつは何かと忙しいから、会ったり、話し掛けたりするなって言われたから…」


 「(ブラッディさんがわざわざ距離を置かせるようにするなんて一体、あいつは何なんだ…?)」


 「オルスター特務二等兵。」


 「オクタヴィス特務大尉…」


 「作戦内容を伝える。中東のテロリストの攻撃に備え、我が部隊は艦の護衛に全力を注ぐ。オルスター特務二等兵は引き続きセラヴィムに乗るが、私とマッカーシー特務大佐の指揮に入り、後方支援に回ってもらう。」


 「そうか…あれに乗ると…」


 「あの機体の暴走の原因がわからない以上、君を前線に出させるわけにはいかない。セラヴィムは北京総督に任せる。それまでは耐えてくれ…」


 「いえ、大丈夫です。また暴走して迷惑を掛けるわけにはいきませんからね。」


 「そうか…しかし、君は大丈夫なのか? あの機体に乗って怖くはないのか?」


 「確かに1度意識が無くなった時のことを思うとそうですけど、でも、セラヴィムがいれば、怖いものなんて無いと思うんです。だから、大丈夫です!」


 「君は強いな…」


 


 


 


 


 


 

 中東、かつてここは悪魔の審判から数世紀前、宗教や民族間での対立で絶えず争いが行われ、大国の介入を受けることもしばしばあった。

 しかし、デーモンビーストの出現により、人類の大半が死滅し、文明が崩壊したことによって皮肉にもその争いは終結した。地球圏連合国が発足される前の人類は悪魔の審判以前の文明を再利用し、独自の軍隊を作ってデーモンビーストに対抗していた自警団が各地に存在していて、ここもその1つだった。

 だが、ロックフェルド財団がASの開発に成功すると、新たに発足された地球圏連合国が世界屈指の軍事大国としてデーモンビーストを駆逐して世界各地を制圧する中、やがてその自警団たちも吸収するようになっていった。

 当初、彼等は地球圏連合国に希望を抱いていた。それまで数世紀もの間、人類を脅かしていたデーモンビーストを滅ぼし、新たな世界が生まれると信じていたのだ。

 だが、その期待は彼等の思うようにはならなかった。地球圏連合国は世界統一と新たな体制の確立のために彼等の存在は必要ないと判断し、制圧した各地の自警団に対し、全ての武器、土地の譲歩と組織の解体を求めた。

 最初は要求に従った者もいたが、その者たちは全ての土地を奪われ、ゾーンと呼ばれる地下都市に移住させられ、それ相応の資金と有能さが無ければ、まともに仕事を与えられず、重労働を課せられるような生活を送らなければならなかった。

 そのことを知った自警団は自らの自治が奪われないために地球圏連合国の要求を拒否し、抵抗の姿勢を取るようになった。これに対し、地球圏連合国は彼等を弾圧するようになり、それ以降、彼等は反連合国のテロリストとして他の反抗的な自警団を吸収し、連合国内の各地にテロ活動を行い、軍のASを鹵獲する等、今に至る。

 そしてここはその反連合国テロリストの本拠地の1つであり、その中でも最大勢力であるサンドシャーク(砂漠の鮫)。その基地は地球圏連合国軍に見付からないように広大な砂漠の地下に隠されていた。この基地にはロンドンでテロを起こし、バジリスクを出現させたメンバーもここから来たもので今はその本拠地に戻っていた。


 「リーダー、パリにいる同士からの情報によると、特務隊の奴ら、倒したガーフェラの死体を持って北京に向かうらしいです。」


 「ふむ、例の吸血タイプの寄生生物を従えて人間の精神を操れる奴か…」


 「あれをこちらが手に入れば、そいつの能力を利用して連中の機体を奪って戦力を大幅アップすることが出来ます!」


 「だが、そいつを北京に持っていかされたら、軍はその生態を解明し、音波への耐性を持ったASが開発されることになるだろう。」


 「だったら、尚更、奴等を襲撃し、そいつを奪わないと‼」


 「しかし、ロンドンでの作戦が失敗したことにより、奴等は我々の鎮圧に力を入れるようになり、今、俺たちはイタリア総督やスペイン総督を相手にするようになっている。今、北京総督府に向かっている特務隊を襲うことは出来ない。」


 「じゃあ、どうすんだよ⁉ グズグズしてたら、その間に死体を持って行かれちまうぞ! しかも、あの財団の令嬢だっているし!」


 「こちらは動くことは出来なくても別の部隊を動かすことは出来る。」


 「別の部隊…?」


 「最近、雇った賞金稼ぎの女が率いる部隊だ。少々気まぐれなところはあるが、腕は確かで十分使える。

 財団の令嬢とガーフェラの死体の強奪はその部隊に任せ、俺たちは引き続き、制圧隊の奴等を相手にする。」


 「信用出来るのか?」


 「信用も何もあの女は金のために動く女だ。その条件が揃っていれば、何も問題ない。」


 テロリストのリーダー格の言う通り、くノ一を思わせるスタイルと黒いカラーリングをした機体が連合国軍から鹵獲したアルケーダの部隊を率いてある場所に向かっていた。


 「フフ、これは面白い仕事ね! 後は私の相手になるような機体がいればだけどね…」


 


 


 


 


 


 


 ベルリン総督府を出、特務隊の艦は北京総督府に向かい、中東の砂漠地帯に入っていき、マッカーシーとオクタヴィスはミカエルにデナムはタイタロス、クトラはルシファロイド、ヤマトはアルケーダ、そしてラルドはセラヴィムにそれぞれ搭乗して中東の何処かに潜伏しているテロリストの攻撃に備えていた。ラルドは通信でヘレナやマルコと話し、


 「ゴメンね。こんな離れた場所にいることになって…」


 「ううん、気にしてないわ。それに余りその機体で戦うと次に何が起こるかわからないから、マッカーシーさんもその事考慮してわざわざ後方支援にしてくれてるんだから。」


 「でも、僕だけこんなところにいるなんて…」


 「大丈夫よ! 私のことはちゃんとクトラが守ってくれるし、あなたは自分の身体を大事にしなさい。」


 「ヘレナがそう言うなら…」


 「大丈夫だよ! 北京総督府にはブラッディさんと顔見知りの人が多いし、彼処の財団支部はメトロポリスに次ぐAS開発の拠点でもあるから、そこに行けば、不具合を直してもらえるかもしれないし、更にもっと改良や改造もしてくれるから、それまでの辛抱だよ!」


 「とにかく、何も起こらないことを祈るよ。何も起こらなければね…」


  暫く艦が進み、順調に行けるかと思われる中、先方のクトラが何かに気付き、目の前に飛んできたのをルシファロイドのアームブレードで両断し、それが爆発した爆風で艦が少し傾いた。


 「今のは砲撃か⁉ 全軍、迎撃体制に入れ‼」


 特務隊の機体が艦のそれぞれの配置に付き、敵の砲撃に対し、警戒体制を取ったが、特務隊の一般兵士が次々と反撃の隙を与えられず、何処から砲撃したのか、何処から現れたのかわからず撃墜されていった。


 「敵は何処から攻撃している⁉」


 「わかりません‼ レーダーに反応ありません!」


 「レーダーに反応がないだと…! 敵はどういう方法で攻撃している⁉」


 特務隊が対応出来ない中、クトラが何かに気付き、取り出したライフルで空中に撃ち込んだ。


 「何をしている⁉ ブラッディ特務二等兵! 無駄撃ちをするな!」


 ルシファロイドの撃ち込んだ弾が空中にいる見えない何かに直撃し、その姿を現した。

 現れたのはくノ一を思わせるスタイルと右腕に刀のような3つのブレードと左腕にキャノン砲を装備したASだった。


 「何だ…あの機体は…?」


 「識別信号は我が軍のものではありません‼ 該当するデータも一切ありません! 完全なアンノウンです‼」


 「正体不明機だと⁉ まさか、テロリストが新型機を開発したというのか…」


 正体不明機は背中のジェットパックのようなもので飛行し、特務隊のアルケーダが砲撃するが、それを全て難なく避け、左腕のキャノン砲で次々と撃破していった。


 「クソッ、こいつ速い‼」


 「さて、そろそろね。出てきなさい!」


 正体不明機の女性パイロットが合図すると同時に地中から地球圏連合国軍から鹵獲した反連合国テロリストのアルケーダがバズーカを装備した状態で現れ、艦に砲撃を仕掛けた。


 「さて、私は私の任務を遂行しなきゃね!」


 テロリストのアルケーダが特務隊の兵を相手にしているのを見た女性パイロットの正体不明機はルシファロイドが守っている部屋に向かい、右腕のスラッシュブレードを展開して背を向いているルシファロイドに襲い掛かってきた。

 しかし、クトラはそれを読んでいるかのように右腕のアームブレードで受け止めた。


 「今のを受け止めた⁉ なら…」


 正体不明機は再び光学迷彩で姿を隠し、ルシファロイドに攻撃を仕掛けたが、ルシファロイドは何処から攻撃するのか手に取るかのように全て受け止めた。


 「こいつ、私の動きがわかるの…なら、これはどうかしら?」


 正体不明機は左腕のキャノン砲で連射したが、ルシファロイドは腕をクロスした状態で防いだが、無傷だった。


 「思ったよりタフね。でも、これはどうかしら⁉」


 正体不明機は胸部から手裏剣のような形状の武器を次々と出現させ、ルシファロイドだけでなく、特務隊全ての機体にも襲い掛かってきた。

 ルシファロイドはそれがどうしたかと言わんばかりに片手で打ち返したが、その武器はそのままルシファロイドの元に返り、背後から襲い掛かってきたが、ルシファロイドは2丁のライフルを取り出し、それを撃ち落とした。

 特務隊の兵士も同様に撃ち落とそうとするが、その武器は意識があるように避け、特務隊のアルケーダを次々と切断して撃破していった。

 マッカーシーとオクタヴィスのミカエルとデナムのタイタロスは奮闘して撃ち落とすが、キリがなく、苦戦を強いられ、ラルドもライフルを連射して幾つか撃ち落とすも、早々に弾切れとなり、ブレードメイスで打ち返す体制に切り替えた。

 ルシファロイドと正体不明機相手に善戦し、正体不明機はルシファロイドを倒すのに手間取っていた。


 「こいつ、やるわね! でも、このままじゃ、目的のものが手に入らない…ん?」


 正体不明機の女性パイロットは戦闘中にセラヴィムの存在に気付き、


 「あの機体…リーダーが言ってた警戒すべきもう1機の方? 動きはまだ素人だけど、確かにあれも厄介そうね。なら…第一部隊は基地に乗り込んでデカいメイスを持っている機体とエース機を! 第2部隊は私が相手している機体を、第3、第4部隊は引き続き砲撃体制を!」


 女性パイロットの指示を聞いたテロリストの部隊はそれぞれセラヴィムやミカエル、タイタロスの位置に、もう1部隊はルシファロイドの方に向かって基地に乗り込んでいった。

 基地に乗り込んだ襲い掛かってきたテロリストのアルケーダに対し、セラヴィムはブレードメイスで叩き落とそうとしたが、その背後を狙ってもう1機が襲い掛かってきたのをオクタヴィスのミカエルが撃破させた。


 「オクタヴィス特務大尉! すみません…」


 「気にしなくていい。敵の狙いは君だ。君は私の後ろで後方の敵に集中しろ! 前方の敵は全て私が排除する」


 そしてもう1部隊は一斉にルシファロイドに攻撃を仕掛け、その隙を付いて正体不明機はその場から離れた。


 「あいつは第2部隊に任せて、私は例のデーモンビーストとお姫様を…」


 その時、基地に乗り込んでいない残りのテロリスト部隊の砲撃に反応するかのように地面が盛り上がり、そこからサソリのような姿をした巨大な2足歩行型のデーモンビーストが出現した。


 「特務大佐、あれは⁉」


 「あれはデーモンビースト第8号アクティオス!」


 「しかし、特務大佐。20年前に討伐した個体は45mでサソリと大差ない体型のはずですが、今、目の前のあの個体は60m以上な上に2足歩行型とは…これは一体⁉」


 「まさか、20年の間に更に進化したというのか…」


 コバギャアァ~‼


 凄まじい咆哮を上げたアクティオスは背中から生えている巨大な尻尾で足元にいるテロリスト部隊のアルケーダを一蹴し、テロリスト部隊は反撃するも、テロリスト部隊のミサイルやバズーカを受け付けない強固な外骨格を持っているため、歯が立たず、一方的に次々と撃破されていった。

 テロリスト部隊を全滅後、艦に気付いたアクティオスは自らの敵と認識したのか、艦に向かって走っていき、特務隊や艦に乗り込んだテロリスト部隊も一斉砲撃して応戦するが、それをものともせず、向かっていった。


 「何なのよ⁉ あれ! 勝手に邪魔しないでよ‼」


 正体不明機は手裏剣状の武器を発射して食い止めようとするが、アクティオスの外骨格はそれすらも跳ね返してしまい、艦の主砲や特務隊のアルケーダによる一斉砲撃も構わず、突っ込み、更に口から毒針のようなものを何本か発射し、それらが特務隊のアルケーダを刺殺し、次々と爆破炎上させた。

 艦の主砲は尚も砲撃を続けたが、アクティオスは背中の巨大な尻尾の先端を主砲ごと貫通し、そのまま体当たりして艦は体制を崩し、転倒してしまい、同時にルシファロイドと正体不明機及び、セラヴィムやミカエル、タイタロスや他のアルケーダも転倒してしまった。


 「クソッ! もう何なのよ⁉ こっちはこっちで忙しいってのに‼ ん?」


 周囲を見ると、テロリストの部隊の中にこの混乱に乗じて引き続き、セラヴィムやミカエル、タイタロス、ルシファロイドに攻撃を仕掛ける者やアクティオスの方が厄介と見て特務隊と共にアクティオスに砲撃する者とに別れていた。


 「ちょっと不味いわね。デーモンビーストの横やりで味方が混乱しているこの状態じゃ、例のお姫様とデーモンビーストを同時に回収することは出来ないわね…とすると、どちらか1つに絞るしかないけど、この場合は…」


 ルシファロイドがテロリストのアルケーダを撃破していく中、その隙を狙って女性パイロットはコントロールを切り替えて機体から降りて艦に侵入していき、コントロールを切り替えられた正体不明機は1度、艦から離れ、それを見たクトラは追いかけようとしたが、テロリストのアルケーダはそれを阻止しようと尚もルシファロイドの動きを封じようとして砲撃してきた。


 「こいつらがそこまでしてやるということは、あの機体に乗っている奴の狙いは…」


 同時期、セラヴィムはミカエルと連携して何とかテロリストのアルケーダを全滅することに成功するが、既に目の前にアクティオスが近付いていき、ブレードメイスを振りかざして攻撃の姿勢を取るが、バジリスク戦でセラヴィムが暴走した時の恐怖がまだ残っていてブレードメイスを持った手が振るえていた。


 「そうか…ルシファロイドに乗った時とは違うんだ。今、あいつと正面きって戦ったらまた同じようなことが起こる。でも、ここで逃げるわけには…」


 「オルスター特務二等兵! ここは私に任せろ!」


 オクタヴィスのミカエルがアクティオスに攻撃を仕掛けようとしたその時、まだ生き残っているテロリストのアルケーダがそれを防ぎ、マッカーシーのミカエルも救援に向かおうとしたが、更にテロリスト2機が残っていたため、手が出せずにいた。

 その様子を見て他に戦えるのが自分しかいないと思って吹っ切れたラルドはセラヴィムのブレードメイスを振りかざしてアクティオスに突っ込んでいき、それを見たアクティオスは口から再び毒針を発射し、セラヴィムはそれを全てブレードメイスで受け止めたが、直ぐ様、背中の巨大な尻尾で襲い掛かり、それも受け止めようとするも、パワーが段違いで吹っ飛ばされ、アクティオスは腕の巨大なハサミでセラヴィムを鷲掴みにし、そのまま食い潰そうとしたその時、ワイヤーがアクティオスの口を塞いだ。現れたのはタイタロスだった。


 「デナム大尉!」


 「おまえ1人に戦わせるわけにはいかない! 私も加勢するぞ!」


 アクティオスの口を塞いだワイヤーブレードに電流を流したが、一切怯まず、右腕の巨大なハサミで切断し、その腕で潰そうとし、タイタロスがそれすら受け止めたが、更に巨大な尻尾も横から襲い掛かり、凪払われてしまう。


 「こいつ、パワーが段違いだ!」


 転倒した影響で混乱している艦内で正体不明機の女性パイロットは兵士たちの目を盗みながらある場所に向かっていった。


 「この艦にあのデカブツを隠せる場所と言ったら…彼処ね!」


 


 


 




  正体不明機から降りた女性パイロットが入ったのは捕獲されたガーフェラのある部屋だった。


 「サンプルを得るなら、皮膚と血が手っ取り早いわね。」


 道具を取り出して回収を試みたその時、突然、弾丸が耳元を霞み、背後を見ると撃ってきたのはクトラだった。


 「何をするつもりだ?」


 「ヤバい…見つかったわね。にしても、あの子ってまさか…」


 「質問に答えろ。何が目的だ。」


 「何ってサンプルが欲しいだけよ! 何もこんなものまとめて持っていくつもりはないわ。」


 「そいつは軍の重要機密となっている。応じなければ、この場で殺す。」


 「随分、物騒なことを言う子ね。わかったわ! じゃあ、さっさとここから…出ていくわ‼」


 女性パイロットはその場にあった椅子を殴り付け、クトラはそれを手刀で叩き潰し、その隙に一部の皮膚を剥がしてその場から逃げ出し、クトラは銃を撃ち込みながら追いかけていった。


 


 


 


 セラヴィムとタイタロスは尚もアクティオスと交戦していたが、外骨格が予想以上に硬く苦戦を強いられていた。再びアクティオスが巨大な腕のハサミで襲い掛かり、それをタイタロスが受け止めると背中の巨大な尻尾の先端の温度が上昇し、高熱を発し、タイタロスに襲い掛かってきた。

 それを見たラルドは不味いと思い、タイタロスにぶつけて尻尾の先端は艦の端に辺り、高熱によって溶解していき、艦の中が丸腰になってしまった。


 「こいつ、高熱を発することが出来るのか⁉」


 外れたのを見たアクティオスは再び赤く発光して高熱を発した尻尾の先端で襲い掛かってきたその時、突然、何処からか投げ込まれたブレードがアクティオスの目に突き刺さり、アクティオスはその痛みで悲痛な叫びを上げた。


 ギギャアァ~‼


 投げ込んだのはヤマトが乗るアルケーダだった。


 「ハイライト二等兵!」


 「自分も加勢します!」


 「いや、いくら君でもアルケーダで奴を倒すのは無理だ! ここは私に任せて、君はヘレナ嬢の安全を!」


 「しかし!」


 「今の一撃で艦もかなり危ない状態だ。ヘレナ嬢の護衛はもちろん、ガーフェラの死体の確保は我々の重要な任務だ。早く行け!」


 「わかりました。」


 それを聞いたヤマトは素直に応じ、機体から降りて艦の中に入っていき、タイタロスはセラヴィムと共にアクティオスに対し、攻撃の構えを取った。


 


 


 


 


 アクティオスの攻撃によって混乱している艦内ではガーフェラのサンプルを手に入れた女性パイロットは自身の機体に戻ろうと走り続けたが、まもなく銃を持ったクトラが追い付いた。


 「相変わらず、しつこい子ね。しつこい男は嫌われるわよ!」


 「応じなければ、殺すといった。」


 「応じるつもりはないわ。これは私のものだもの!」


 その時、無人となっている正体不明機の腕が通路を突き破って現れ、女性パイロットに手を差しのべた。クトラはそうはさせじと銃を撃ち込むが、もう片方の腕に防がれ、その隙に女性パイロットはコクピットに乗り込み、逃げられてしまった。


 「逃がさん!」


 その時、突然、背後から銃声がし、銃弾が手足を掠った。


 「ん?」


 振り向いたが、背後には誰もいなかった。正体不明機に乗り込んだ女性パイロットはそのまま撤退しようとしたが、アクティオスがセラヴィムやタイタロスに対して放った毒針が正体不明機にも降り注いだ。


 「もう! 鬱陶しいわね。これでも喰らいなさい‼」


 正体不明機は再度手裏剣状の武器を無数に放ち、それらが頭部に集中して攻撃し、左腕のキャノン砲が直撃するとそれまでの攻撃が通用しなかったアクティオスが苦しみだし、ラルドは何かに気付いた。


 「頭部を攻撃したら、苦しんだ…そうか! あいつもアモンボアと同じで頭部はそこまで硬くないのか‼ なら…」


 セラヴィムは肩のミサイルポッドを展開して全て頭部に向けて発射し、持ち前の跳躍力でアクティオスの頭部まで飛び込み、ブレードメイスをブッ刺し、貫通とまではいかなかったものの、それまで傷1つ付けることが出来なかったアクティオスの頭部にヒビを入らせ、ダメージを与えることに成功した。


 コバギャアァ~‼


 苦しみ、振り払おうとするアクティオスを振り切ってセラヴィムは艦に降り立った。


 「よし、これで…」


 「待て!」


 その時、マッカーシーの声がし、


 「それぐらいにしろ! 今の我々の目的はデーモンビーストの討伐ではない。それに艦と軍の損害が激しい…これ以上の戦闘は不利になるだけだ。直ぐにこの場から離脱する!」


 「わかりました。」


 その指示に従い、セラヴィムはブレードメイスを降ろし、艦はある程度修復した出力で離脱しようとし、アクティオスは尚も追撃しようとしたその時、


 グオォ~!


 突然、何処からか何者かの呻き声がし、それに気付いたラルドはその声に何処か聞き覚えのあるような表情をした。その声を聞いたアクティオスは突然、大人しくなり、追撃をせず、そのまま地中に潜っていった。


 「助かったのか…ん? どうした? オルスター特務二等兵。」


 「え…あっ、いえ、何でもありません!(今の声、何処かで…)」


 


 


 


 


 ガーフェラのサンプルを手に入れた女性パイロットの乗る正体不明機は中東の基地に向かって飛行していた。


 「今日はとんだ邪魔が入ったけど、まあ、サンプルだけでも十分な収穫だし、ベインも文句は言わないでしょ! それにしてもあの機体まで彼処にいるとはね…これは面白くなりそうね。」


 To be continued

 次回予告


 反連合国のテロリストとそれを率いる謎の新型機の襲撃とアクティオスの猛攻を何とか切り抜けたラルドたち特務隊は北京総督府に着き、そこで反連合国のテロリストから鹵獲した新型機が存在していた。

 北京総督は新型機を軍の新たな戦力としてパイロット候補に選ばれたラルドとヤマトは中国の各地で修行を行うが、そこに中国で猛威を振るっているデーモンビーストの襲撃を受けてしまう。


 次回「見えない敵」その機体は少年を戦いの運命へ導く。

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