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Episode3「試練」

 西暦2325年、地球は度重なる戦争と環境変化に伴い、地球が人類にとって住みにくい星になるのは最早時間の問題となった。だが、人類はコロニー建造や月面基地の開発等、宇宙進出を果たす程の技術を手に入れ、やがて他惑星での移住計画も推し進めた。

 だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。

 やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。

 悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…

 評議会ビルの屋上にある議長室、そこでマッカーシー特務大佐とオクタヴィス特務大尉は事の発端を評議会副議長のデスター・ホワイトに報告した。


 「ヘレナ嬢の護衛に失敗した上に、デーモンビーストによる首都侵入まで許してしまうとは、失態だな…マッカーシー特務大佐、オクタヴィス特務大尉。」


 「面目次第でございます。如何なる処分も受ける所存でございます。」


 「だが、身元不明の民間人が乗ったASにより、ご令嬢は救われたそうだな。」


 「ええ、そのお陰で、我が軍の失態を余計に晒すことになりました。この責任は必ず受けます!」


 「まあ、君たちは我が地球圏連合国軍の中でも最も優秀な人材だ。オマケに議長殿からの特命を受けた特務隊でもある。

 ここで君たちのような優秀な人材を失うわけにはいかない。議長殿には私から報告するので、君たちはいつも通り、通常の任務に励みたまえ。」


 「ありがとうございます。副議長のご慈悲に感謝します。」


 「だが、議長殿は厳格なお方だ。もしこれ以上失態を晒すようなことがあれば、次はないと思え。」


 「了解しました。」


 そう言って議長室から退出するマッカーシー特務大佐とオクタヴィス特務大尉、


 「それにしても、デーモンビースト駆逐に失敗する等、君らしくもないが、一体どうしたというのだ?」


 「いえ、あれは何者かによる意図的な妨害行動だったのです。」


 「妨害行動?」


 「フューリーがヘレナ嬢を捕らえ、トルークフューリーが我々に襲い掛かってきたのは仕組まれたものだったのです!」


 同時期、議長室ではデスター・ホワイト副議長がオクタヴィス特務大尉による報告と軍基地での爆破のことを調べていた。


 「ミカエルのコックピットで録画されたフューリーを狙った何者かによる意図的な砲撃と軍基地での爆破、そしてそれによって拘束された民間人が所属不明の機体に乗り、ヘレナ嬢を救った…

 無差別テロにしては不自然に見えるし、計画的過ぎるようにも見える。だが、偶然にしては余りに出来すぎる。 最近、メトロポリス内でテロが頻発に起こってはいるが、基地や倉庫等、どれも軍に関係するもので民間人を狙った事例は1つもない。

 我が地球圏連合国への加盟を認めない、またはその反対勢力による仕業とも考えられるが、今回に至っては余りに奇妙だ。少し、あの方に報告するか…」


 


 


 評議会から少し離れたところ、そこにはロックフェルド財団の本部が置かれ、ヘレナに雇われることになったラルドはそこで暮らすようになり、彼女から服の試着をさせられていた。


 「うん、よく似合っているわ!」


 「あの、もういいんだけど…」


 「何言ってるの! その格好で街中歩くわけにはいかないでしょ。」


 「あの時、助けたことは感謝してるけど、別にここまでやれなんて一度も…」


 「じゃあ、これ見てそれが言える?」


 その時、ヘレナが何かを取り出し、それをラルドに見せた。見せたのは請求書だった。


 「これってもしかして…」


 「そう、あなたがASに搭乗して壊されたビルや車、その他の請求額よ。」


 「500億…もしかして、僕を雇ったのってこれを払わせるためで、それまで君の元でこき使われるってこと…」


 「それは違うわ! 聞くところによると、あなた14歳でまだ未成年じゃない。子供に損害賠償なんて早々出来るもんじゃないわ。 

 内の財団の元で預かっておくってことにすれば、費用はある程度は集められるし、軍だって納得出来るでしょ?」


 「そんなことまで出来るって、君、何者なの?」


 「あ、そういえば、自己紹介してなかったわね。私、ヘレナ・ロックフェルド。この財団の会長の娘よ。」 


 「ざい…だん?」


 「? あなた、ロックフェルド財団を知らないの?」


 「だって、そもそも僕はここの出身じゃないから…」


 「しょうがないわね。じゃあ、教えてあげる。ロックフェルド財団は私のお爺様が設立した財団で、その時の連合国はまだ、デーモンビーストを駆逐出来るほどの戦力がなく、今よりずっと小さい小国だったけど、そんな時、お爺様の財団がある兵器の開発に成功したのよ。」


 「え、それって…」


 「そう、それがアンチデーモンビーストユーティリティスーツ、通称ASよ! 元々は800年前まではコロニーの建造や宇宙開発を行うために開発されたマシンスーツだったけど、内の財団にいる優秀な技術者がデーモンビーストに対抗するために改良、改造を施して開発することに成功し、それを軍に提供したの。

 そして、それを戦力にした連合国軍は一気にデーモンビーストを一掃し、デーモンビーストに支配されていた地域を取り戻し、やがて今のような国家に成長していった。

 それと同時に財団は新型のASを軍に提供することによって巨大な財力を蓄え、今では政治的影響力を持つ程にまで大きくなっていったの。」


 「じ、じゃあ…僕のセラヴィムもあれも財団が開発したものなの?」


 「そ、それは…」


 その時、屋敷の使用人が何かの報告のために現れ、


 「お嬢様、お客様が来ております。」


 「お客様? 誰なの?」


 使用人が招待すると、現れたのはヘレナと同年代の少年だった。


 「マルコ!」


 「マルコ?」


 「紹介するわ、私の幼なじみのマルコ・ブライスよ。」


 「ヘレナ、そちらの人は?」


 「デーモンビーストに襲われた時、私を助けてくれた子よ。」


 「ら、ラルド・オルスターです。」


 「へぇ~、君があの事件でヘレナを助けたっていう…こんな女の子があの機体に乗っていたなんて…」


 「あの…僕、男ですけど…」


 「え…そうだったの! いや、男にしちゃ、随分可愛いなって思って…」


 「失礼な! こう見えても僕は…」


 「まあまあ、ところで、マルコ。どうして此処に?」


 「実は君に紹介したい人がいて…」


 「紹介したい人?」


 その時、マルコの後ろから40代前半くらいの科学者の風貌をし、地球圏連合国軍の軍服を着用した人物とその隣にラルドのような中性的な容姿、黒髪ショートカット、目が垂れ気味の16歳くらいの少年もいた。科学者の風貌をした人物を見たヘレナは、


 「まあ、叔父様!」


 「叔父様?」


 「うん、私のお父様の古い友人よ。」


 「やあ、ヘレナ。8年ぶりだね。しばらく見ない間に大きくなったな。」


 「叔父様こそ。今日はどうして?」


 「実は君に話したいことがあってね。」


 「話したいこと?」


 


 

 ラルドとヘレナは使用人のおもてなしによって、屋敷の応接室で、マルコと2人の人物と共にそこで話し合った。


 「驚いたな。まさか、君が時期議長なんて…」


 「まだ、そうと決まったわけじゃないけど…」


 「怖いものが苦手で、よく私に泣き付いていた女の子がすっかり立派になって…」


 「止めて、叔父様。それは昔の話よ。」


 「あの、詰まるところで申し訳ないですが、あなたは…」


 ラルドの質問に男は、


 「ああ~、そういえば、君とは初対面だったね。私はヨシフ・ブラッディ。この財団出身の者で、彼女のお父さんとは昔馴染みでね。彼女のことはようく知っているよ。もちろん、君のこともね。」


 「僕も?」


 「ああ、私は地球圏連合国のASの開発を担っている技師長で、現在は特務少佐の階級にあるが、君がヘレナをデーモンビーストから救う時に乗った機体を実は私の元で預かっているのでね。」


 「セラヴィム…セラヴィムのことですか!?」


 「セラヴィム? ほぅ、そういう名前なのか。こちらから名前をつける手間が省けるよ。」


 「ふざけないでください! それで、セラヴィムはどうなるんです? まさか、あのまま軍に…」


 「そう、慌てるな。順を追って話すから。」


 「ところで、叔父様。その子は?」


 ヘレナが気になっている人物はブラッディ特務少佐の隣にいる黒髪ショートカットの物静かな少年だった。


 「そうそう、彼のことも話すべきだね。この子は私の息子、クトラ・ブラッディだ。」


 「叔父様の?」


 「そう、実はこの度、彼を軍に入隊させようと思っていてね。そこで、ラルド君、君も軍に入隊するのはどうかな?」


 「僕を?」


 「あのセラヴィムという機体を調査していく内に、実は興味深いことを発見していてね。本来、ASというのはパイロットの脳波に作用して起動させるシステムが搭載されていているのだが、どうやら、あの機体には通常のASとは若干、異なるシステムが取られていて、どのテストパイロットにも、あの機体を起動するどころか、反応すらしなかったのでね。

 もしかすると、あれに乗っていた君に何か秘密があると思い、そこで…」


 「僕を軍に入隊させて、セラヴィムのパイロットにし、調査を行いたいってことですね…」


 「その通り、中々察しのいい子じゃないか。」


 「あの…調査して一体、どうするんですか?」


 「なに、技術者としての少しばかりの好奇心って奴だ。別に君の機体に下手な真似はしないよ。」


  それを聞いて少し考え込んだラルドだったが、直ぐに結論がでて、


 「わかりました、あなたの望み通り、軍に入隊します。 でも、セラヴィムを僕に返すということに偽りはありませんよね?」


 「もちろんだ。そのことに二言はない。」


 「良かった。これであなたの世話がやり易くなったわね。いくら財団で預けたからって無職のままにするわけにはいかないからね。」


 「ま、まあ…僕だってその気になれば、頑張れるよ。」


 「クトラだったかしら? 私はヘレナ、よろしくね。」


 ヘレナは握手を求めるようにクトラに手を差し伸べ、それを見たクトラは無機的な言い方で、


 「握手…それが人間の挨拶の手段か?」


 「え…」


 それを聞いたヘレナはキョトンとし、


 「すまない、実はこの子は幼い頃に、母親を失っていてそれ以来心を閉ざして誰とも話したことがないのでね。」


 「そう…だったの…」


 しかし、そんなクトラを見たラルドは単純に心を閉ざしているようには見えない感じで見ていた。


 


 


 


 ヨシフ・ブラッディ特務少佐の推薦によって、その息子のクトラと共に軍に入隊したラルドは他の訓練生と共に軍基地で並び、その目の前に教官らしき人物が立った。


 「今日から貴様らの教官をするカース・マルケルだ! これから貴様らに連合国軍兵士としての訓練を行ってもらうが、我々はただの軍ではない!

 我々は数百年もの間、地球を蝕んできた悪魔共を駆逐するために戦ってきた軍隊だ。これはただの人類同士の戦争でもなければ、害虫駆除でもない。全人類の存亡を賭けた戦いだ! もし、それ以外の目的で来た者がいるなら…」


 「出世や金のために入ったのなら、今すぐにここから出ていけ…ですよね?」


 マルケル教官の言葉に回答を示すように声を上げたのは若干浅黒い肌をした17歳ぐらいの青年だった。


 「その通りだ。」


 それを見た2人の訓練生は、


 「おい、あいつ…」


 「ああ、グリスだぜ。ブリュースター司令の息子の…まさか、あいつまでいるとは…」


 「しかも、ブラッディ特務少佐の息子と例のお嬢様を助けた奴までいるぜ。」


 「全く、財団の軍の権力が強すぎるぜ。」


 「おい、そこの奴等、こそこそと話すな!」


 「は、はい!」


 マルケル教官はクトラの方に歩き、


 「そこのスカしたお前、貴様は何のために入った?」


 マルケル教官の質問にクトラは再び無機的な言い方で、


 「その回答に何の意味が?」


 「何?」


 「得体のしれない怪物を倒すために戦う軍に入ることに他に何の理由があるのだ? ただ、そいつを潰すだけなのではないか?」


 その言葉に何人かの訓練生が戦慄したが、マルケル教官は、


 「ふん、なるほどな。確かにその通りだ。貴様は合格だ。だが、ここにいるということはそれなりの覚悟があるということを忘れるな。」


 その言葉にクトラは黙っていて、グリスは面白くなさそうな表情で見ていた。そしてマルケル教官は今度はラルドの方に近付き、


 「そこの女みたいな奴、貴様は何のためにここに入った?」


 「女じゃありません! 僕は男です。」


 「質問に答えろ! 何しに来た?」


 「僕はデーモンビーストに脅かされている人々を守り、強い人間になるために入りました!」


 「ほぅ、中々ヒーロー気取りのガキだが、だが、ここはヒーロー訓練所ではなく、軍であることを忘れるな!」


 それを見たグリスは下らなさそうな表情で見て、唾を吐いた。


 その後、訓練生は軍になるためのあらゆる訓練を行い、最初にランニングを行った。他の訓練生は苦しそうに走っているのに対し、ラルドは必死に走り、2番手をキープしていた。

 その前に走っているトップはクトラで、ラルドはそれに追い付こうと必死に走るが、その時、横からラルドにぶつけて謝罪等、特になにも言わずに走り去る男が現れた。グリスだった。

 グリスはラルドを睨み付けたが、そのまま走り去り、クトラを追い越そうとするが、クトラはそれ以上の速度で走っているため、追い越すことが出来ず、そのままトップに走っていた。

 その後は銃の訓練に入り、ラルドはキールに教えられていた経験もあってトップ3に入る程の成績を出したが、その上のトップ2はグリスで、そしてトップはクトラで、何と機械のような正確さで全弾命中という記録を出し、それに他の訓練生は驚きを隠せなかった。


 「おい、マジかよ。あのグリスを抜いてトップだぜ。」


 「あいつって確か、ブラッディ技士長の息子だよな?」


 「ああ、技術士官の出の癖にあの腕って…一体どんな鍛え方してるんだよ!」


 「そりゃ、銃の構造とかはある程度知ってるだろうけど、丸で最初から訓練終えているような腕っておかしいだろ。」


 クトラの横にいるグリスは気に食わない表情でクトラを睨み付けた。その後は格闘訓練に入り、それぞれ互いに向き合う人物と対決していった。

 ラルドは持ち前の腕で2、3人を倒し、次の相手に入るが、その相手はグリスだった。


 「俺の相手は貴様か。財団の犬ごときが俺の相手を務まると思うか!」


 「何!? どういうことだ?」


 「言葉通りの意味だ。財団でお姫様気取りをし、しかも時期議長になるなどと浮かれているあの女を助けて英雄気取りしている貴様が気に入らないというのだ。俺にとっちゃ、貴様など、でしゃばりのただのガキにしかならない。」


 「僕はそんな奴じゃない!」


 怒りに身を任せ、ラルドはグリスに突っ込むが、グリスはさらりと避け、そのまま掴み攻撃に入ってラルドを投げ飛ばした。


 「ふっ、所詮この程度か。俺の次の相手は誰だ?」


 グリスが振り向くと、そこにいたのはクトラだった。


 「お前か…こいつも気に入らないが、一番気に入らないのはその透かした顔したお前だ!」


 グリスはクトラに1発お見舞いしようと掛かるが、クトラはそれを難なく受け止め、制止した。


「ん、うぐっ…」


 グリスが必死に外そうとするが、クトラは決して離さなかった。グリスは片腕で反撃しようとするが、それも止められ、そのままグリスの身体を持ち上げ、後ろに投げ飛ばしてしまった。


 「かはっ!」


 「鍛え方はそこそこだが、個人的な感情が隙を作った。それがお前の敗因だ。」


 そう言ったクトラはその場を離れた。格闘訓練を終えると次はASの操縦の訓練に入り、訓練生はそれぞれ指定されたアルケーダに搭乗した。その様子を見るマルケル教官の元にマッカーシー特務大佐とブラッディ特務少佐が現れた。


 「これは、マッカーシー特務大佐にブラッディ特務少佐。何故、ここに?」


 「実はラルドとクトラの様子を見にね。」


 「ラルドとクトラ…ですか?」


 「実は今回、その2人を入隊するよう推薦したのはブラッディ特務少佐の要望でね。」


 「特務少佐があの2人を?」


 「だから、あの2人の訓練の様子をこの目で見たいと思ってね。ところで今はどういった内容で?」


 「実はASの初操縦ということで、訓練生にはアルケーダに搭乗しているところです。」


 マッカーシー特務大佐とブラッディ特務少佐が見ると、クトラの乗るアルケーダは初操縦にも関わらず、難なく起動させていった。


 「あれば、ブラッディ特務少佐のご子息ですな。入隊して間もないにも関わらず、あれ程とは…もしや、既に訓練を?」


 「いや、幼い頃から機械いじりと操縦が上手くても、搭乗ぐらいなら直ぐに出来る。」


 クトラの乗るアルケーダを見る最中、マッカーシー特務大佐その横のアルケーダに気付き、


 「教官、あの機体に乗っているのは?」


 「グリス・ブリュースター訓練生です。」


 「ブリュースターというと、あのブリュースター司令の…」


 「はい、ご子息と聞いています。」


 「ほぅ、ブリュースター司令も自身の子を入隊させようとは…」


 「我々の動きを牽制してのことか?」


 「特務少佐、それは少し疑いが過ぎませんか?」


 「しかし、彼は我々のことは良く思っていないことは確かだ。もちろん、君の率いる特務隊もな。」


 「彼はそうでも、私はそうは思いませんよ。あの方を敵に回したくはありませんからね。」


 その時、1機だけ不安定でぎこちない動きをするアルケーダがいた。


 「あの機体に乗っているのは?」


 ブラッディ特務少佐の質問にマルケル教官は、


 「オルスター訓練生ですよ。」


 「ラルドの?」


 「他の連中は問題なく動かせているというのに、何なんだ、あれは。他はそこそこ実績を上げているのに…」


 アルケーダに搭乗しているラルドはアルケーダの起動にかなり戸惑っていた。


 「くそっ、どうなってんだ? 動け、動けよ!」


 「おいおい、何だ、あれは? ダンスでも踊っているのか? ハハハハ!!」


 ラルドの乗るアルケーダを見た他の訓練生は蔑むように笑った。同じくその様子を見ていたマッカーシー特務大佐はトルークフューリーとの戦闘を思い出し、


 「あの時では、セラヴィムという機体を特に問題なく乗りこなせた上に、あの時の戦闘から察するとセラヴィムの性能は私のミカエルと同等か、もしくはそれ以上。 

 にも関わらず、それより扱いやすいアルケーダの搭乗にあれだけ苦戦するとは、一体彼は…」


 


 


  一通りの訓練を終えて食堂に入り、昼飯を食べるラルドたち、そんなところに感じの悪いような3人組が立ち寄り、その3人組はさっきアルケーダに搭乗したラルドを笑った連中だった。


 「よう、ラルドちゃんだっけ? お嬢様を助けた女の子ってのは。」


 「何だよ! 僕は男だぞ!」


 「ああ? 男? わりぃ、わりぃ。てっきり女かと思ったぜ。」


 「ま、あんな下手な操縦してりゃ、女だって思っちまうよな?」


 「あれでホントに助けたのか、怪しいもんだぜ。」


 「ひょっとして名前が同じなだけで、乗ってたのはこいつとは別ものじゃね?」


 「う、うるさい! 僕は確かにセラヴィムに乗ってデーモンビーストを倒したんだ!」


 「ま、そんなことはどうでもいいけど、それよりお前、中々可愛い顔してるじゃねぇか! あんまり食べて太ったら困るからダイエットも兼ねて俺たちが食ってやるよ。」


 3人組のリーダー格と思われる男がラルドの食事を勝手につまみ食いし、


 「ちょっと止めろ!」


 ラルドは抵抗するが、その男は力ずくでラルドを張り倒し、食事を次々と食べていった。 そんな時、3人組の内の1人がラルドの横に飯を食べず、腕組みをして静かに座っているクトラに気付き、


 「よう、さっきから何も食ってないが、大丈夫か? 何なら俺が代わりに食って上げようか?」


 3人組の1人がクトラの飯に触れようとしたその時、突然、目を開いたクトラはその男の腕を掴み、男はその痛みでもがき苦しんだ。


 「ぐっ、グワァッ~!!」


 「こいつ!」

 

 気付いたもう1人が殴り掛かろうとしたが、クトラは掴んだ男をそのまま殴り掛かってきたもう1人の男に向かって投げ飛ばしてしまい、その様子を見て周囲は唖然としていた。


 「自分の弱さを隠すために、自分より弱い者を虐げる…極めて原始的かつ野性的な思考だ。」


 「貴様、舐めやがって!!」


 残った3人組のリーダー格はクトラの背後から殴り掛かるが、クトラはそれを読んでいたかのように、瞬時に避け、男の腕を掴んで放り投げてしまった。


 「くっ、くそっ!」


 男は負けじと、尚も殴りかかるが、クトラはその男が何処から殴るのか、丸で手に取るようにわかるように悉く避け、男が疲弊すると、クトラは男を片足で蹴り飛ばし、その男の首を掴み上げた。


 「感情のままに戦い、冷静な判断力を失った状態で戦うとは…極めて非論理的だ。存在価値もない。」


 「うっ、ウオォ~!!」


 クトラが男の首を更に強く掴み、その痛みに男は悲痛の叫びを上げた。クトラが男の首をへし折りそうになりそうなその時、


 「そこまでだ!」


 そこに現れた教官が声を上げ、それを聞いたクトラは男の首を突き放した。


 「ブラッディ! これ以上、問題を起こすなら、それ相応の覚悟はあるんだろうな?」


 「ハッハッハッハ! 良い良い。彼の方が正しい。」


 その時、笑い声を上げ、現れたのマッカーシー特務大佐だった。


 「と、特務大佐!」


 「彼のような優秀な人材に処罰を与えてはならない。むしろ彼は兵士としてあるべき姿を見せてくれたのだ。」


 「ですが、こいつは…」


 教官の言うこともマッカーシー特務大佐は制止し、


 「お前たちもわかっているはずだろう? 我々はただの戦争に赴くだけの兵士ではない。悪魔の審判から800年に渡り、我々人類はデーモンビーストに脅かされた。

 我々はその悪魔共から、地球と人類の叡智を取り戻すために戦っているのだ。ここで軍の統率を乱すような者がいるなら、それは死を意味する。わかっているな!」


 その言葉を聞いた一同は静まり返っていった。


 「最も、この程度で気絶するようなら、実戦に出れば、悪魔共の餌になるのは目に見えている。精々、命拾いしたことを感謝するべきだな。」


 「しかし、特務大佐。ブラッディが乱闘を起こしたことは無視出来ません。」


 「問題を起こしたのは、こいつらの下らない言い分が原因だ。彼はそいつらに軍としてどうあるべきかをその身に叩き付ける役目をしてくれただけだ。むしろ、彼には昇進か、謝礼でもやりたいところだ。

 それとも、貴様はその無能な奴等を守って優秀な彼を処分し、我が軍の人材を減らすつもりか?」


 「い、いえ…」


 「よろしい。あ~それと、そいつらの治療費はそいつらの給料で払わせてやれ。問題を起こした罰だからな。」


 マッカーシー特務大佐に従い、教官は他の兵士と共に気絶している3人組を医務室まで運んでいった。


 「ところで、君。」


 マッカーシー特務大佐の声に気付いたクトラは彼の方を向き、


 「何か?」


 「先程の動き見事だった。何か、トレーニングは?」


 「答える必要はない。」


 それを聞いた兵士は激昂し、


 「貴様、特務大佐に向かって!」


 「まあ、よい。自分の手の内を相手に晒さないようにという判断だろう。 その冷静な判断力も実に見事だ。君の父親から教えられたのか?」


 その問いにクトラは何も答えず、マッカーシー特務大佐は何か察し、


 「言いたくないなら、それで結構…だが、これからの訓練は更に過酷なものだ。そのことは肝に命じておくといい。今後に期待しているよ。」


 そういうと、マッカーシー特務大佐はその場を離れ、クトラも自分の席に戻った。


 「マジかよ。あの野郎、派手に乱闘したのにおとがめなしとは…」


 「特務少佐の息子だから、許されたんだろうな。」


 「不公平だよな。俺たちは普通に怒られるのに…」


  隣がひそひそ話をしている中、グリスはクトラの方を向いて気に食わない顔をしていた。


 「けっ!」


 乱闘が収まった後、ラルドは再び食事を取るが、隣にいるクトラの方をもう一度向き、奇妙なに見えていた。


 「(最初に会った時もそうだったけど、心を閉ざしているというより、丸で最初から感情を持っていないというか、感情というものを否定しているようにも見える。

 それに、さっきの動き…僕のようにキールさんのような人に鍛えられたとしても、明らかに普通の人間には持たない反応速度だった。一体、何者なんだ…)」


 食事が終わった後、訓練生は再び訓練に戻り、訓練生たちはマルケル教官の指示によってゾーンと呼ばれる地下都市の軍基地に向かい、そこで再びASに登場した。

 訓練の内容はASに搭乗して模擬戦闘を行うものだった。ラルドたち訓練生はアルケーダに搭乗し、それぞれのチームに分け、団体戦を行った。

 ラルド、クトラ、グリスはそれぞれ別のチームに編成され、その他のチームとやり合った。初戦はラルドのチームの戦闘に始まり、ラルドは初めてのチーム戦に戸惑うも、メンバーの動きに合わせて戦闘を行い、持ち前の勘で何とかアルケーダの制御に成功し、ある程度慣れるようにはなったが、セラヴィム程ではなく、他のメンバーと比べるとぎこちなくなってしまい、それによって苦戦に追いやることが多かった。

 初戦はメンバーのフォローのおかげで何とか勝利したが、次の相手はグリスのチームだった。

 戦闘が始まると、ラルドのチームは障害物に隠れてライフルを撃ち込み、それで数を減らした後、一気に攻めこむ作戦に入ったが、グリスのチームはチームリーダーのグリスが先陣を切って突撃し、それに他のメンバーが援護射撃するという作戦だった。

 ラルドのチームはグリスの乗るアルケーダに向けて一斉に撃ち込むが、グリスはそれを全てブレイブソードで防ぎながら近付き、チームの2人をライフルとソードの使い分けによってまとめて倒してしまう。

 そして残ったラルドに襲い掛かろうとするグリスに対し、ラルドはライフルを撃ち込もうとするが、グリスはそれをブレイブソードで突き放し、ラルドも直ぐ様、ブレイブソードで反撃に入ろうとするが、時既に遅く、ラルドの乗るアルケーダはグリスのアルケーダによってKOされてしまった。


 「ぐっ!」


 倒れたラルドのアルケーダを見るグリスは見下すような目をし、


 「ふん、所詮、財団の犬が。この程度か…」


 その後、グリスのチームは順調に勝ち残り、残った最後のチームとの決戦に入り、そのチームはクトラのチームだった。

 戦闘が始まると、グリスのチームはラルドのチームと戦った時と同様の戦法で始めたが、クトラのチームは2人だけ戦い、クトラは離れた場所でただ、その様子を見ているだけだった。グリスは構わず、チームの2人を一瞬の内に倒し、ラルドを倒した時のようにクトラのアルケーダに襲い掛かったが、クトラは瞬時にその場を離れ、グリスの2人のチームに襲い掛かり、グリスの2人のチームはそれに向かって撃ち込むが、クトラはそれをブレイブソードで防ぎ、2人を瞬殺してしまった。


 「くそっ、舐めるな~!!」


 グリスはライフルを撃ち込みながら近付くが、クトラはそこから一歩も動かず、ブレイブソードで防ぎ、近付いてきたグリスを避け、更にグリスのアルケーダのブレイブソードを片手で受け止め、動きを封じた。

 グリスは離そうとしても決して離れず、グリスが目一杯力を入れるとクトラは突然離し、その反動でグリスのアルケーダは吹っ飛ばされ、気付くと目の前にはグリスのアルケーダのブレイブソードも奪い、二刀でグリスのアルケーダを囲むように突き立てていた。クトラが止めを刺そうとしたその時、


 「そこまでだ!」


 マルケル教官が声を挙げ、攻撃の手を緩めたクトラが見上げると、そこにはマルケル教官の他にも、マッカーシー特務大佐とブラッディ特務少佐の姿もあった。


 「この勝負、ブラッディ訓練生のチームの勝利だ。よくやった。だが、我々が戦うのはあくまで人間ではない。勝利した君たちには我々が戦うべき敵との戦闘を兼ねてこれから行う最終テストを受けてもらう。」


 マルケル教官が作業員に指示を出すと、ゲートが開かれ、そこから全長55m程のサイズを誇り、合計6本の細長い腕を持ち、後ろの2本は前の2本より長く、上の2本には巨大なアームのようなものが取り付けられ、更に顎と足には拘束具も取り付けられ、頭部には何かしらの手術の跡をした爬虫類型のデーモンビーストが現れた。その様子を見ているマッカーシー特務大佐とブラッディ特務少佐に分かりやすく言うように作業員の者は、


 「デーモンビースト第4号、アモンボア。元々はデーモンビースト駆逐のためにその生態系と弱点を知るために軍が捕獲したものだが、どの生物学者でもその生態系を解明することが出来ず、やむなく対デーモンビーストのシミュレーション相手として置くことになったというものだったな。」


 「最も、その時は処分するつもりだったが、余りの狂暴さに手を焼いたため、外科的な手術で制御することに成功して今に至っています。」


 「確か、そのチップを取り付けたのは特務少佐なのですね?」


 「ああ、そうだ。」


 「報告によれば、ベルゼボアよりも狂暴なもので、オマケにどの生物の特性を持っているのかも不明ともされているが、一体どうやって制御を?」


 「ま、そこは私の技術と連合国の科学力の結集といったところかな…」


 「では、安全なのですか?」


 「安全かどうかはこの訓練で見ればわかるでしょう。始めてくれ。」


 「了解致しました。」


 作業員が入力するとアモンボアは機械が作動するように活発に動きだし、クトラのチームを見て咆哮を上げた。


 「何か、いきなりヤベー奴を出されたな…」


 「へっ、ようするに、こいつを潰せばいいって話だろ? 上等だ!」


 チームの内3名はライフルでアモンボアに向かって砲撃し、アモンボアは痛みを感じるような咆哮を上げるが、アモンボアの肉体自体は傷一つ付かなかった。3名は尚もライフルを撃ち続ける。

 しかし、その一方、クトラの機体は攻撃の体制を構えてはいるものの、協力する姿勢は全く無く、じっとしていた。


 「何だ? あいつ。さっきからじっとしやがって…」


 「まあ、いい。さっきまでずっとあいつの独壇場だったが、今度は俺たちだけでやらせてもらう。」


 3名の内1人が乗る機体がブレイブソードを取りだし、ジャンプしてアモンボアの背中に乗り、突き刺すが、アモンボアはそれを難なく振り落としてしまう。


 「こいつ~!!」


 2名が再びライフルを乱射して応戦するが、1名は尻尾で凪払われ、もう1名は巨大な腕に捕らえられてしまった。アモンボアは捕らえた1名の乗るアルケーダを食らい付こうとしたその時、気が付いたもう1名がライフルを乱射し、アモンボアは捕らえた1名の機体を離すが、一回転して2名の機体を凪払い、更に巨大な腕で2名の機体を捕らえると、そのまま地面に叩き潰し、2名の機体のパイロットは気絶してしまった。


 「このバケモノが~!!」


 残った1名はライフルを乱射しながら、近付き、ブレイブソードでアモンボアの頭部を突き刺そうとするが、アモンボアは尻尾でアルケーダの頭部を壁に突き刺し、再起不能にさせてしまった。3人を倒したアモンボアはクトラの乗るアルケーダに気が付き、同様に襲い掛かるが、クトラはアモンボアの動きをある程度予測しているかに避け、幾つもの腕や尻尾による攻撃を身を左右に移動する程度で回避した。

 その様子を映像で見ていたラルドとグリスのチームは唖然としていた。


 「マジかよ…あんなゴツい奴の攻撃も簡単に避けちまうなんて一体何者なんだよ。」


 チームの仲間がその様子を驚く中、ラルドはクトラが乱闘を起こした時の奇妙な感じを再び感じた。


 「今の動き、さっきの動きとよく似ている。丸で機械のような無駄のない動きだ。一体、あいつは…」


 攻撃を避けるクトラのアルケーダに苛立ちしたアモンボアは4本の腕を左右対称の方向からクトラのアルケーダに襲い掛かったが、クトラはライフルとブレイブソードでそれを全て防いでしまった。アモンボアはジャンプして叩き潰そうとしたが、クトラはそれも瞬時に回避し、その衝撃を利用してクトラのアルケーダもジャンプし、その勢いでアモンボアの肩をブレイブソードで突き刺した。

 アモンボアは苦痛で雄叫びを上げるさ、クトラのアルケーダを降りほどこうと暴れまわり、壁に激突する寸前でクトラはブレイブソードを抜いて脱出し、更に傷をえぐるようにブレイブソードで突き刺した傷に向かってライフルを撃ち続けた。怒りが最高潮に達したアモンボアは猛突進でクトラに襲い掛かるが、襲い掛かるアモンボアにコクピットにいるクトラが睨み付けたその時、突然、アモンボアは攻撃を止め、狂ったかのように不安定に動き回り、更に頭部を壁にぶつけたりした。その様子を見たブラッディ特務少佐は、


 「一体、どうなっている?」


 「アモンボアの制御チップに異常がきたしています。」


 「異常だと? 何が原因だ?」


 「わかりません。解析しても原因が不明です。」


 暴れまわるアモンボアを見てマッカーシー特務大佐は、


 「さっきの奴の行動、アベラス訓練生の乗るアルケーダを見て恐怖したように見えたが、私の思い過ごしか…」


 「なら、チップの機能を停止させろ!」


 「ダメです! 制御困難なため、機能を停止することが出来ません。」


 「特務少佐、ならば、あなたのご子息にあれを討伐させてはいかがですか?」


 「クトラに?」


 「彼の実力は先程の戦闘で織り込み済みです。あれだけの技術があれば、いくら暴走しているとはいえ、あれの討伐は容易のはず。マルケル教官殿も異論はないでしょう?」


 それを聞いたマルケル教官はクトラの乗るアルケーダと通信を取り、


 「アベラス訓練生! このまま訓練を続行しろ。ただし、ここからは実戦と思え! そいつはもう制御不可能なバケモノだ。完膚なきまでそいつを討伐しろ!」


 それを聞いたクトラは言われるまでもないと言わんばかりにアモンボアの後ろからライフルを乱射した。


 グギァオォ~!!


 撃たれたことで後ろに気付いたアモンボアは再びクトラのアルケーダの方を振り向くとまた撹乱したかのように混乱状態になり、巨大なアームが取り付けられた上2本の腕を動かし、クトラのアルケーダに襲い掛かった。それを見た作業員は驚愕し、


 「バカな! あのアームはこちらの遠隔操作が無ければ、起動させることは不可能。 自分で動かせるようになるなんてあり得ん!!」


 それを聞いたマッカーシー特務大佐はそのことに疑問を持ってブラッディ特務少佐に問いた。


 「何? あのアームは訓練用として取り付けられたものではないのですか?」


 「訓練以外にも他のデーモンビーストとの戦闘や掘削用として新たに取り付けられたものです。最も奴自身に制御させたら、危険と判断し、あれはこちらの遠隔操作でなければ起動しないようセットされていたのですが、こんなことは…」


 クトラのアルケーダは襲い掛かる2本のアームを避け、それをライフルで応戦するが、全ての弾が弾いてしまい、それを見たクトラは銃での攻撃を止め、手持ちの武装をライフルからブレイブソードに切り替え、襲い掛かるアームをブレイブソードで受け止めた。

 しかし、アモンボアのアームはブレイブソードより硬く、力押しで受け止めたブレイブソードを潰してしまった。クトラは破壊されたブレイブソードを捨て、後退しながらライフルで応戦し、アモンボアはアームで防ぎながら近付いていった。壁にまで追い込まれ、逃げ場が無くなったかに思われ、アモンボアは巨大な2本のアームで襲い掛かったが、クトラのアルケーダはその衝撃を利用して跳躍を見せ、再びライフルを取り出すと、アモンボアの頭部に向かって撃ち続け、ライフルを捨て、アモンボアの頭部に拳を1発かまし、アモンボアの頭部にヒビが入った。


 ウギャオォ~!!


 それに苦しんだアモンボアは悲痛の叫びを上げ、そのまま走り出すと2本の巨大なアームで壁を突き破り、走り去っていった。クトラのアルケーダは拾ったライフルを向けるが、何かを悟ったようにライフルをゆっくり下ろし、そのまま立ち止まった。それを見たマルケル教官は、


 「どうした!? 何故、追わない!」


 「必要ない。」


 「何!? どういうことだ!」


 「今のでライフルは残弾無し、ブレイブソードも破壊され、燃料は残り5%…これ以上の戦闘続行は不可能と判断したまでだ。」


 「ちぃっ!」


 「仕方ありません。今回は非常事態です。流石に入隊仕立ての訓練生に討伐させるのは酷でしょう。ここは我々がやりましょう。」


 その時、1人の兵士がマッカーシー特務大佐の元に報告に現れ、


 「特務大佐!」


 「何だ?」


 「アモンボアがジオフロントの方に向かったとの報告です!」


 「何!? まさか、そこに向かったのか! 彼処は地上に住めなかった市民が多数いる場所だ。彼処が襲撃されたらかなり厄介だな。 特務少佐、ミカエルは出せますか?」


 「現在、調整中のため、今出撃しても足手まといにしかならない。現状、出撃出来るのはアルケーダのみだが、その殆どは地上にある。それまでに間に合うかどうか…」


 そのことを聞いたグリスはアルケーダを降り、何処かへ行こうとし、それを作業員に見付かり、


 「おい、貴様! 何処へ行くつもりだ?」


 「あっ、ちょっとトイレ…」


 「早くしろ、その内、ここも危なく用が住んだら直ぐに戻れ!」


 「はあい。」


 その様子を見ていた訓練生は、


 「なあ、何か、あいつ、さっきの話聞いて慌ててたようだが、一体何だ?」


 「ジオフロントはあいつの出身だ。あいつの親父はジオフロント出身で唯一司令部にまで出世した人物で名が挙がっているし、彼処にあいつの家族もいるしな。」


 「ふ~ん。」


 それを聞いたラルドは何だ諭したような表情でグリスが向かった方を見ていた。

 トイレに行くフリをしたグリスは密かに倉庫に入り、出撃出来そうなASを探していた。


 「くそっ、どれもこれもアルケーダばかり…」


 「あいつを倒すには、もっと強いASがいる。奴を倒すための機体を…」


 その時、遠くからライフルを撃ち込む音がし、グリスは焦りながら探し回った。


 「くそっ、早くしないとマリアが…ん?」


 その時、片に巨大な翼のようなスラスターを装備した試作機のようなものが奧に隠されているのを見付けた。


 「何だ? これは…」


 グリスが読み上げると、


 「アスモゲルデ…?」


 


 


 

 場所は変わり、ジオフロントではアモンボアが暴れまわり、人々が逃げ惑い、街には警戒体制を強いていた数体のアルケーダが迎え撃ったが、アモンボアは巨大なアームを含む6本の腕を使い分けて次々とアルケーダを蹴散らしていった。蹴散らしたアルケーダが倒れた衝撃で1人の10歳くらいの少女が転び、それに気付いたアモンボアはその少女に近付き、踏み潰そうとしたその時、肩に巨大な翼のようなスラスターを装備したASが巨大なランスをアモンボアに突進し、少女を助けた。


 「逃げろ、早く!」


 それを聞いた少女は直ぐ様、その場を離れ、助けたASに搭乗していたのはグリスだった。起き上がったアモンボアは標的をグリスの乗るASに向け、勢いよく突進していった。グリスの乗るASはそれを巨大なランスで受け止め、直ぐ様、足元に回り、巨大なランスをアモンボアの土手っ腹に突き刺した。


 グギャオォ~!!


 「これは凄い、いける、いけるぞ!」


 効いたのを見たグリスはその場から離れ、肩のスラスターを稼働し、再びランスで攻撃するが、アモンボアはそれを巨大なアームで防ぎ、グリスのASを掴み、投げ飛ばしてしまう。

 投げ飛ばされたグリスのASにアモンボアが襲い掛かったその時、突然、別のアルケーダが現れ、アモンボアをぶつけ倒した。現れたアルケーダに乗っていたのはラルドだった。それを見たグリスは、


 「な、何で貴様がここにいる? お前みたいなザコはお呼びじゃないんだよ。とっとと帰れ!」


 「僕だってお前は好きじゃない。でも、これだけはわかる。お前も僕と同じ、大切な人々を守りたいんだって!」


 しかし、目を離した瞬間、アモンボアの尻尾に掴まれ、そのまま振り回されると、ラルドのアルケーダは叩き落とされてしまった。


 「グワァッ!!」


 アモンボアが巨大なアームを振りかざし、ゆっくりとラルドの乗るアルケーダに向かっていった。迫りくるアモンボアの姿にラルドは恐怖し、最早逃げることすら出来なくなった。それを見たグリスはラルドに向かって、


 「何やってんだ!? 早く逃げろ! 殺されるぞ!」


 グリスが必死に逃げるよう公言するが、ラルドはその言葉が聞こえてないのか一歩も動かなかった。同時期、ブラッディ特務少佐が管理している財団本部の倉庫で誰も乗ってないはずのセラヴィムが何かを感じ取ったように突然起動し、歩きだしていった。それを見た作業員は慌て逃げ出した。

 逃げ出す作業員の悲鳴を聞いたマルコは無人にも関わらず武器を持って勝手に動き出すセラヴィムを見て驚愕した。


 「一体、何が起こったんです!? 誰か乗っているんですか?」


 「それがわかりません。あの機体は無人でしかも遠隔操作も受けていないはずなのに勝手に動き出したんです!」


 「外部からハッキングされたのか?」


 「それがどうも違うみたいです。システムにハッキングされた形跡が無く、正常なはずなのにこんなことは有り得ません!」


 「じゃあ、あの機体は一体…」


 自力で起動したセラヴィムは倉庫のドアをこじ開け、そのまま何処かへ向かうように去っていった。


 


 


 


 アモンボアがラルドの乗るアルケーダの目の前にまで近付き、睨み付けると巨大なアームを振りかざし、アルケーダを叩き潰そうとした。

 ラルドが死を覚悟したその時、突然、何かが壁をを突き破るような音がしたと同時に、頭上からメイス状の剣を振りかざしたセラヴィムが落下していき、アモンボアを突き飛ばし、アモンボアはその勢いで後方のビルに倒れていった。突然、現れたセラヴィムに驚きを隠せないラルド。


 「セラヴィム、どうして此処に? 誰か乗っているのか?」


 後ろに回り、ラルドの方を向いたセラヴィムはしゃがみ、ラルドに乗れと言わんばかりに手を差し伸べ、コクピットのハッチを開いた。だが、そのコクピットには誰も乗っていない無人だった。

 それを見たラルドは困惑し、セラヴィムを得体の知れないものとして見て乗るのを躊躇した。しかし、ラルドに向かって手を差し伸べるセラヴィムのその姿はラルドを必要としているのだと訴えかけるようなものであり、それに暴走しているアモンボアを止めるにはアルケーダでは力不足と判断したラルドはそれに応じ、コクピットに乗り、ラルドがパイロットとなったセラヴィムは剣をアモンボアに向かって振りかざした。

 立ち上がったアモンボアは巨大なアームで襲い掛かったが、セラヴィムは巨大な剣でそれを全て防いだ。その様子を見たグリスは、


 「何だ、あいつ…さっきまではあんなにビクビクしていたクセにあの機体に乗った途端、急に強くなってやがる。」


 アモンボアはアーム以外の他の腕による攻撃も行ったが、セラヴィムはそれも退け、1本を斬り落とすことに成功した。


 グギァオォ~!!


 腕を斬り落とされた痛みで叫びを上げるが、アモンボアは尚もセラヴィムに襲い掛かり、セラヴィムは更にもう一本の腕も斬り落とした。


 グギャギャギャ~!!


 「やった!」


 前2本の腕を斬り落とし、形勢が逆転されたかに見えたその時、アモンボアは後ろに隠していた一番巨大な腕を取りだし、それでセラヴィムを払いのけた。

 腕2本を斬り落としたとはいえ、前の2本は一番短いもので後ろの巨大な腕と上2本のアームは未だ健在だった。後ろの巨大な2本の腕を剣で防ぎ、同様に斬り落とそうとするが、前2本の腕より遥かに力があり、容易に斬り落とせなかった。

 巨大な腕による攻撃に気を取られた次の瞬間、突然、アモンボアが尻尾でセラヴィムのコクピットを突き刺そうと襲い掛かってきた。

 その攻撃を避けれず、受けてしまったが、セラヴィムの持ち前の耐久力で何とか貫通を免れることは出来たが、装甲に傷が付いた。


 「くっ、あれを何度も喰らうと不味い!」


 セラヴィムは剣を片手で持ち、剣で巨大な腕を防ぎ、もう片方の腕で再び襲い掛かる尻尾を掴み姿勢を取るが、アモンボアはそれを読んでいたかのように直ぐに尻尾で攻撃せず、巨大なアームでセラヴィムの身体を掴んでしまった。


 「しまった!」


 セラヴィムは剣でアームを破壊しようと試みるが、セラヴィムの剣では破壊することが出来ず、アモンボアは巨大な腕でセラヴィムの両腕を掴み身体の自由を奪い、セラヴィムは剣を落としてしまう。


 「あっ!」


 攻撃する手段を失ったと見たアモンボアは止めと言わんばかりに尻尾で攻撃の構えを取った。


 「うっ…」


 アモンボアの尻尾が動こうとしたその時、突然、何者かがアモンボアの尻尾を斬り落とした。


 グギァオォ~!!


 尻尾を斬り落とされたことでセラヴィムを離すアモンボア、そしてその隙にセラヴィムを運び、アモンボアから少し離れた場所まで運んでくれた。助けたのはグリスのアスモゲルデだった。


 「グ、グリス…」


 「勘違いするな。あのデカブツを潰すための協力者として助けてやっただけだ。それが噂の機体か…確かに性能はいいが、乗ってるお前は相変わらずポンコツだな!」


 「何!? これでも僕は…」


 会話の途中にアモンボアが攻撃を仕掛け、アスモゲルデは再びセラヴィムを抱えて回避した。


 「グダグダ言ってる暇があったら、さっさと俺と協力しろ。そうでなきゃ足手まといになるだけだ。」


 「わ、わかったよ。」


 渋々協力することにしたラルドはグリスと共に攻撃の体制に入り、襲い掛かってきたアモンボアのアームを防いだが、更に巨大な腕による追加攻撃により払い除けてしまった。


 「くそっ、しぶとい野郎だ。1発で騙されるような弱点があればいいが…」


 「弱点……!」


 その時、ラルドはクトラが搭乗するアルケーダが頭部を攻撃し、アモンボアが苦しんだ時のことを思い出した。


 「(もしかして、彼処が弱点か。)、僕に考えがある!」


 「あっ? お前に作戦が考えられるのか?」


 「それじゃ、お前は奴の何処なのか知ってるのかい?」


 「そ、それは…」


 「でも、僕は知っている。けど、そこを潰すには1人では無理だ。僕が作戦を考えるから、君はその通りに奴を攻撃するんだ。」


 「けっ、財団の犬のようなガキの指示なんか従うか!」


 「でも、ここにいる人たちを守りたい…それは君も同じだろ。」


 グリスは妹のことを思い出し、暫く黙り込んだ。


 「だから、今はあいつを倒すために協力しなくちゃいけないんだ。」


 「ふん、わかったよ! で? どうすればいいんだ?」


 「まず、あの後ろのデカい腕を斬り落とす。」


 「あのデカいアーマーはどうするんだ?」


 「あれは残しておく。」


 「ハァッ!? ふざけるな! あんなもの残してどうすんだ。あれの方が厄介じゃねぇか!」


 「いや、あれは作戦に必要なものだ。それにどうしても気に入らないならあいつの止めは君に譲る。」


 「どういう風の吹き回しだ?」


 「あれを破壊するには、君の機体のランスが必要なんだ。」


 その事を聞いて暫く考え込んだグリスだが、ラルドが考えていることを察し、


 「わかった。取り敢えず、あのデカい腕を斬り落として、止めは俺がやるんだな。」


 「そういうことだ。」


 グリスから了解を得ると、体制を立て直したアモンボアは勢いよく突進し、後ろの巨大な腕を振りかざしてセラヴィムとアスモゲルデに襲い掛かり、2機はそれぞれ左右に回避した。


 「今だ!」


 「おうよ!」


 ラルドと合図と共に、2機はそれぞれ左右の腕の関節部分を狙い、後ろの巨大な腕も斬り落とした。


 グギァオォ~!!


 「で、この後はどうすんだ?」


 「こうするのさ!」


 


 グリスの問いに応えるようにラルドのセラヴィムはアモンボアの背中に張り付き、アモンボアはそれを振り払うように暴れまわった。


 「おいっ! 何やってんだ!? 死ぬ気か!」


 「これも作戦だ。とにかく僕を信じて!」


 それを聞いたグリスは暫く様子を見、いくら暴れてもセラヴィムを振り落とせないことに気付いたアモンボアは残ったアームでセラヴィムを捕らえようとした。

 セラヴィムはそれを避けるが、同時に何かを狙っているかのようにセラヴィムは避けながら徐々にアモンボアの頭部に移動した。業を煮やしたアモンボアは2本のアームをセラヴィムに向けて襲い掛かったその時、


 「今だ!」


 突然、セラヴィムは一回転してアモンボアから離れ、勢いよく襲い掛かった2本のアームはそのまま頭部にぶつかり、クトラのアルケーダによって一発かまされ、ヒビが割れていた箇所が完全に割れ、その中に機械と一体化した脳が露出した。


 「今だ! やれ!!」


 「お、おうよ!」


 ラルドの言葉を聞いたグリスは少し戸惑ったが、直ぐ様攻撃の体制に入り、巨大なランスで剥き出しになったアモンボアの脳を貫いた。

 貫かれたアモンボアは活動を停止し、そのまま倒れ、口やアーム、足もピクリとも動かなくなった。


 「やった…のか?」


 その時、軍のアルケーダがセラヴィムとアスモゲルデの周囲を囲み、コンラッド少尉がマルケル教官と共に現れた。


 「オルスター、ブリュースター両候補生、貴様らは命令を破り、更に許可無くASを起動し、デーモンビーストと戦闘を行った。 これは軍律違反だ。従って貴様らを懲戒処分に…」


 「待て!」


 その時、コンラッド少尉の決定に反対するようにマッカーシー特務大佐が現れた。


 「特務大佐…」


 「先程の君たちの戦闘見事であった。まだ訓練仕立てで、経験も浅いにも関わらず、実戦でデーモンビーストを倒し、事態を収集してくれた。 これは本来、称賛に値するものだ。」


 「お待ちください! 特務大佐。奴等は軍の命令を無視して勝手に出撃したのですよ。当然、その罪は許されません。」


 「確かに…だが、彼らのような優秀な人材をここで失うわけにはいかない。なら、彼らには1ヶ月の謹慎処分としよう。」


  「そ、それはいくらなんでも軽すぎでは…」


 「では、どうすると言うのだ? 彼らを失えば、それこそ戦力を失うだけだぞ。」


 「わ、わかりました。」


 「さて、今の戦闘を見た限り、恐らく君たちにはこれ以上の戦闘訓練は必要無いだろう。君たちには謹慎処分が解かれた後、正式に私の特務隊に入隊させよう。」


 それを聞いたラルドとグリスは驚愕した。


 「ほ、本当ですか!?」


 「ああ、君たちのような人材が必要だ。」


 「ちょっと待った。」


 その時、声を上げたのはグリスだった。


 「俺は特務隊に入る気は無いぜ。」


 「不満かね?」


 「不満も何もこんな特権みたいなもので、俺たちの罪を許した上に、いきなり隊の入隊を認めるなんてそんな助けは必要ない!

 俺は懲戒処分でも構わないぜ。これじゃ、親父に顔向け出来ないからな。」


 「そうか…君がそこまで言うなら仕方ない。では、君の処分はコンラッド少尉とマルケル教官に任せよう。」


 それを聞くと、グリスはその場を離れ、コンラッド少尉とマルケル教官の元に歩みより、マッカーシー特務大佐の横を通りすぎようとすると、


 「だが、君はこれからの連合国に必要な人間だ。復帰を願っているよ。」


 「好きにしろ。」


 マッカーシー特務大佐の言葉を聞いてグリスがその場を離れた後、マッカーシー特務大佐はラルドの方を向き、


 「さて、残った君はどうするのかな? 入らないなら別に構わないが…」


 「いえ、入ります! 僕まで断ったらあなたに申し訳ないです。」


 「よろしい、歓迎するぞ。」


 「ありがとうございます!」


 マッカーシー特務大佐は再びグリスの方を向き、


 「(あの頑固なプライド、理不尽は許さない姿勢、まさにブリュースター司令そっくりだな。しかし、我が特務隊の入隊を断るとは、司令は特務隊も目の敵にしているのか…出来れば、彼は敵に回したくないがな。)」


 マッカーシー特務大佐の元にブラッディ特務少佐が立ち寄り、


 「いいのか? 直ぐに入隊を許可して…」


 「構わないさ。それより、君の教え子からさっき報告があって…」


 「マルコから?」


 「セラヴィムという例の機体、どうも何者かのハッキングや遠隔操作もなく勝手に起動してあの少年の元に向かったそうだ。」


  「ほぅ、原因は?」


 「不明のようだが、あの機体は彼に返した方がいいと思ってな。それに特務隊に入隊すれば、特務少佐もあの機体のデータを取りやすいと思ってな。」


 「やはり君もあの機体のことに気に入ってたのか。」


 「ちょっとした好奇心ってやつさ。」


 そう言ってマッカーシー特務大佐がその場から離れると、ブラッディ特務少佐はセラヴィムをじっと見詰めた。


 


  


 


  アモンボアが討伐されてから5日後、財団本部の地下にある倉庫、そこでブラッディ特務少佐が新たなASの開発を行っていた。


 「まさか、ASが遠隔操作もなく、無人で起動してあの少年の元に向かうとは…今回は中々の収穫だった。これで新型の開発の完成ももうまもなくだ。」


 ブラッディ特務少佐が見上げたものはセラヴィムと似た体型をしたASだった。


 


 To be continued



 次回予告


 グリスと共に暴走したアモンボアを討伐し、軍人としての頭角を現すようになったラルドは休暇を得てメトロポリス内を散歩していった。

 そんな中、ラルドは教会のシスターを努める物静かな少女に出会い、その少女に何処か引き寄せられるようになり、時々その教会に立ち寄ったが、教会にいるその少女は何者かに誘われるような不審な行動をしているという噂を知り、更に教会のシスターやそこに預けられている孤児が突然消息不明になるという事件まであった。

 真相を探るべく、ラルドはその教会を調べ、少女との接触を試みるが、そこで少女を狙う謎の怪物に襲われてしまう。


 次回「教会の少女」その機体は少年を戦いの運命へ導く。

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