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Episode24「悪魔の侵略」

 西暦2325年、地球は度重なる戦争と環境変化に伴い、地球が人類にとって住みにくい星になるのは最早時間の問題となった。だが、人類はコロニー建造や月面基地の開発等、宇宙進出を果たす程の技術を手に入れ、やがて他惑星での移住計画も推し進めた。

 だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。

 やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。

 悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…

 実弟カイルを殺したのと似たデーモンビーストの出現でPTSDを発症し、更に追い討ちを掛けるようにラルドの乗るセラヴィムが撃破されたことにより、ヘレナは平常心を一切保てなくなり、悲鳴を上げると気を失い、使用人と側近の者は直ぐ様、彼女を担いで議会から去った。

 騒然とする議会をマクマリー副議長が臨時として議会を仕切り、引き続き、統制連合艦隊と特務隊によるダレイオス隊は新たに現れたデーモンビーストに対し、総攻撃を開始した。しかし、いくら攻撃してもデーモンビーストには通用しなかった。


 「クソッ! これだけの火力がありながら、何故通用しないんだ⁉」


 しかし、砲撃が通用しないというより、砲撃がデーモンビーストの一歩手前で見えない何かで防がれているようであった。その違和感に1人の兵士が気付いた。


 「あのデーモンビースト…バリアを張っている。」


 新たに現れたデーモンビーストは人の目では視認できないバリアを張っていて、その砲撃が悉く通用しないのを良いことに口の触手から放つ熱戦でダレイオス隊を次々と害虫駆除のように撃破されていった。

 市民もそれに巻き込まれ、旧ロサンゼルスは死体の山が積まれていく等の光景になっていき、この事態に対し、KCIAは、


 「大分、手こずっているようだな…」


 「はいっ! 何せ、世界各地に無数の個体が出現し、最初の出現地をきっかけに強力な熱線でなりふり構わず、攻撃してくるため、市民はかなりの大混乱に陥り、現地では火事場泥棒やら、避難用の車を互いに奪い合う有り様です。」


 「いよいよもって、ASの性能は当てにならない時が来たか…」


 「この機会に、議会に改造デーモンビーストの実戦投入を要請しましょうか?」


 「いや、待て! 現状、手こずっている原因はあのバリアだ。バリアを張るということは本体の耐久力はそこまでではなく、同じ箇所を一点集中砲火で破れる可能性がある。

 正規軍の連中がそれに気付いて、それで敗れば、それこそ、改造デーモンビーストの実戦投入は無意味に終わる。 ここは様子を見よう。ASの性能が完全に当てにならなくなれば、その時がその時だ。」


 「それに財団は私の改造デーモンビーストを評価しています。財団が強権を振るえば、それこそ、我々の思う壺です!」

 

 「最も、気掛かりなのはコロニーだ。ダレイオスの開発も元はと言えば、コロニーによる技術支援であり、悪魔の審判以降、デーモンビーストの侵略を受けなかったため、地球以上の技術力を得ている。

 それに新たに手に入ったサンプルが今、手こずっているデーモンビーストのいる箇所に落下したというのも、偶然にしては少し出来すぎている気がする…あのサンプルをもう少し調査しろ。必要であれば、改造デーモンビーストの素材としても使っても構わん!」


 「はっ!」


 「さて、これからはいつもより忙しくなりそうだな…」








 地球で正体不明のデーモンビーストが現れたことはアーク大統領官邸にも知られていた。


 「こ、これは…‼ コルプ! これも貴様の計画通りか⁉」


 「もちろんです! 私が送った人類を地球を解放させるための刺客で800年前の悪魔を再び目覚めさせたのです。」


 「800年前の悪魔…⁉ まさか、コイツが悪魔の審判の⁉」


 「その通りです。」


 「だが、データのとは形状は著しく異なり、サイズも合わんぞ!」


 「これからです。その内、我々をこのコロニーに移住させるキッカケを作った悪魔…いや、人類を導く救世主へと…」

 

 「救世主だと⁉」

 

 「そうです! 大統領、以前あなたが言ったじゃないですか。地球の問題は自然に委ね、人類を地球という揺りかごから解放し、宇宙に進出して更なる進化と発展を促すべきと…

 2000年以上前の古代史では俗に怪獣と呼んでましたか…全人類を宇宙に飛ばせるには人智を越えた究極の生物が適任と言えます。」

 

 「怪獣だとか、究極生物だの、呼び名とかはどうでもいい! そもそも私が心配なのはこの騒ぎの元凶が我々だと露見されないことだ! ましてや、スパルタカスが知れば、それだと連中がクーデターを起こす口実にされかねない。」


 「仮に知られたとしても、我々の大義を市民に伝え、連中を人類の発展を阻止する破壊者とすれば、我々のデーモンビーストで潰せます。

 もし、心配ですなら、ムーンシティに移動なさいませ。そこで味方を増やし、準備を整えましょう。」

 

 「では、我々が不可侵条約を破ったと地球に知られても問題はないと?」


 「約束や決まりごと等、人間の寿命同様に永遠に続くものではありません。それが切れるのは遅かれ早かれのことです。」


 「わかった、期待しよう。だが、失敗すれば、責任は全てお前に取ってもらう。」


 「心に留めておきます。」



 

 地球が騒然となっていることはスパルタカス党にも直ぐに知らされた。

 「あの3人と我々のスポンサーの予言通りになったな…」


 「総帥! この機会に一気に行動を起こしましょう! 我々に賛同する市民は今か今かとクーデターのチャンスを狙っています。そうすれば、賛同していない市民も取り込むことも出来ます。」


 「いや、我がスパルタカス党初代総帥の遺言では、アーク政府の市民による信頼が完全に落ちてから行動せよとある。今回の自体に連中が関与していない可能性は低い。それを暴いて市民にバラせば、それこそ、我等の思う壺よ!」


 「では、行動はそれからと…」


 「そうだ! その時まで待て。後ついでにあの3人にアーク政府の様子を探らせよ。使えるものは今の内に使っておかないとな。」





 アーク政府、スパルタカス党とそれぞれの勢力に動きが見せる中、最も混乱していたのは地球圏連合国の首都メトロポリスだった。

 突如現れた正体不明のデーモンビーストは次々と地中から同じ個体が現れ、いずれも強固なバリアを張って連合国軍の攻撃を一切通さず、驚異的な速度で地球圏連合国の領土を制圧していった。


 「何⁉ ヨーロッパ方面はドイツ、イタリアを制圧され、パリ近くまで侵攻、更に北米大陸はカナダ、メキシコも制圧され、双方から迫っていると⁉」


 「あのデーモンビーストの張っている機体は我が軍の砲撃をものともしません…」


 「クソッ! 敵の正体が未だ掴めないため、対策手段が取れん上にこの早さで制圧するとは…」


 「デナム大尉、最初の出現地はどうなっておる?」


 「現在、ガルバトロナスとロバストハンターが迎え撃っています。ハイライト少尉は問題ないですが、アベラス特務二等兵はオルスター特務伍長の戦死で動揺している恐れも…」


 「アベラス特務二等兵は新兵故に戦場で人の死を余り目の当たりにしていない。これ以上戦闘を続けると更に動揺する恐れがある…」


 「しかし、ガルバトロナスは我が軍最高の戦力です! 今引っ込めますとそれこそ、敵の侵攻を更に速めてしまいます…」


 「わかっておる!」


 「軍には住民の避難も進めていますが、それも間に合わず、オマケに無差別で攻撃している模様だそうです。」


 「だから、どうしろと言うのだ?」


 「大将、軍にはデーモンビーストの駆逐を最優先にするよう命じるのです。」


 「何⁉ それじゃ、救助出来ない市民は見殺しにするというのか‼」


 「しかし、デーモンビーストを駆逐しないとそれこそ、市民の犠牲は増え、最悪首都にまで侵攻する恐れがあります。

 そうならないためにも、敵を1体残らず殲滅すべきです!」


 「だが、KCIAにもブラッディ少尉の出撃と援軍の要請を与えたが、それでも足りぬと言うのか?」


 「セメタリーファングには首都防衛という任務があるため、余り出すと首都が無防備状態になるため、必要最低限のものしか出せないのが元帥の言葉です。それに神聖鉄騎隊もあくまで財団の施設軍隊であって軍とは独立した組織のため、援軍には出せんとも言ってますし…」


 「ヌウゥ…そうなると、今の戦力でどこまで食い止められるか…」

 

 「ならば、私がアークに支援を要求します!」


 テイラー大将ら軍上層部の前に顔を出したのはヘレナだった。しかし、その表情は未だ弟を殺された時のトラウマが拭えておらず、明らかに無理してるのが見て取れた。


 「議長! 大丈夫なんですか⁉」


 「これくらいなんてことない。それに議長の私が不在のままにするわけには…」


 「しかし!」

 

 「アーク政府と我が連合国は不可侵条約を結んでいます。この状況を説明すれば、必ず支援してくれます!」


 「議長、お言葉を返すようですが、コロニーからの支援は余り期待しない方がよろしいかと…」


 「どうしてです⁉ アーク政府が支援を拒否するとでも言うのですか‼」


 「確かに、我が連合国はコロニーと不可侵条約を結んでいますが、同盟関係というわけではありません。それに敵は地球上を制圧していますが、現時点ではコロニーにとっては脅威的な存在ではないため、自国が危機に去らされてもないのに支援を行うまでのことはコロニー側も考えてはないでしょう。仮にこのことを説明しても、理由を付けて断る可能性も…」


 「では、どうすると言うのです…」


 「我々だけの戦力で迎え撃つべきです。そもそもこの地球は我々の領土なのです。地球から離れ、コロニーに移り住んだ者たちより、数世紀以上もこの土地に住んだ者の血を受け継いでいる者たちで守るべきです!」


 「マッカーシー特務大佐、あなたの言うことは正しいです。でも、それでも阻止出来なかった場合、私はどうすれば…」


 「大将、緊急事態です‼」

  

 「何だ? 言われなくとも、その状態だが…」


 「その世界各地に現れたデーモンビーストが首都の地下からも出現しました!」


 「何だと⁉」





 旧ロサンゼルスでは、尚も特務隊が奮戦し、特にガルバトロナスとロバストハンターはバリアーを張っている状態の相手でも善戦し、戦い続けていく中でヤマトはデーモンビーストのバリアーの弱点に気付いたのか、バリアーの同じ箇所を集中的に砲撃し、バリアーが弱まるとその隙にガルバトロナスが突進し、バリアーを突き破って本体を叩く程の戦績を上げた。

 しかし、デーモンビーストは数に物を言わせていたため、侵攻を食い止めるのに精一杯であることに変わりなかった。デーモンビースト側に分があるとはいえ、ガルバトロナスとロバストハンターの存在で侵攻が停滞しているため、ガルバトロナスとロバストハンターをどうにかするべきと認識したのか、後方の個体が自らバリアーを解き、バリアーを張っている前方の個体を盾にしながら進むと後方の個体がバリアーを張った前方の個体を持ち上げ、そのままガルバトロナスの方に投げ付けた。

 バリアーを張ったままのデーモンビーストをぶつけられたため、その衝撃で数キロ跳ばされた。それを見たヤマトは自分にも同じ手を使うだろうと見て、敢えてその場に留まる姿勢を取った。

 その読み通り、同一個体は同じく前方の別個体を持ち上げ、再び投げ付けたが、ロバストハンターは機体重量等、問題ではないと言わんばかりに投げ付けられた個体を飛び越える程の跳躍力を見せ、メガアンカーを放って怯ませ、バリアーを展開する隙を与えずサブマシンガンを連射しながら近付き、レンジアックスでその頭部を貫き、絶命させた。

 その姿に数体のデーモンビーストは後退りするが、別の個体が何人か取り残されているビルを見付け、そこに向かった。


 「何をするつもりだ…?」


 すかさず、ロバストハンターが阻止しようと行動するが、また別の複数個体がバリアーを張りながら、それを防いだ。ビルに向かった個体はビルに張り付き、ビルごとバリアーで包み込み、口から複数の触手を出し、ガラスを突き破ったり、僅かな隙間から侵入して人々に襲い掛かってきた。

 人々はそれに逃れようとするが、道を塞がれたため、何処に逃げようと逃げられなかった。やがて触手は人々の背中、または首、頭等に突き刺し、ストローで吸うようにゆっくりと吸血していった。

 触手で吸血された人々は身体が干からびていくようになり、全ての触手が真っ赤な血で染まると細かったデーモンビーストの体型が徐々に筋肉質のような巨躯へと変貌していき、展開していたバリアーも消えていき、やがて倍以上のサイズへと成長し、人々のいたビルを押し潰した。


 「コイツ、人間を餌に成長するタイプか…」


 ロバストハンターがすかさず、メガアンカーを放つが、バリアーを張っていないにも関わらず、全く怯まず、更にサブマシンガンも同時に放っていても、バリアーと同等の耐久力になっていた。


 「進化した分、防御力が上がってバリアーを張る必要も無くなったのか。」


 進化したデーモンビーストはそのままの他の個体を突き飛ばし、またはバリアーごと踏み潰したり、強引にバリアーを破って他の個体を食い殺し、更に進化していった。


 「同族もなりふり構わず…進化したことによって凶暴性が増し、バーサーカー状態になっているのか。ならば…」


 進化した個体が他の同族を襲って補食している間を狙って気付かれないように近付き、殺した他の個体を巨大な口を開いて喰らおうとしたその瞬間、メガアンカーを放とうとしたが、デーモンビーストは喰らおうとした個体をロバストハンターに投げ付け、体勢を崩すとすかさずデーモンビーストは巨大な腕でロバストハンターを鷲掴みにした。


 「しまった…‼」


 鷲掴みにしたロバストハンターをデーモンビーストの顔は丸で罠に掛かったのを嘲笑うかのように見えた。


 「コイツ、バーサーカー状態と見せ掛けて俺を罠に嵌めるのが狙いだったのか… この見た目の割には思ったより知性はあるようだ。」


 ロバストハンターはまだ動ける片腕でレンジアックスを持ち、デーモンビーストにぶつけたが、逆にレンジアックスの方が砕けた。


 「⁉ これでも歯が立たないか…どうやら、この機体はここまでのようだ…」


 デーモンビーストに他の個体を投げ付けられ、突き飛ばされたガルバトロナスに乗っていたノアが目を覚ますと、目の前にデーモンビーストが再び巨大な口を開いて、ロバストハンターを喰らおうとした。


 「ヤマト…止めて~‼」


 ガルバトロナスを起動し、直ぐ様それを阻止しようとするが、間に合わず、ロバストハンターはデーモンビーストによってバリバリと噛み砕かれてしまった。


 「ウソ…い、イヤアァ~‼」


 To be continued

 次回予告


  メトロポリスでも地下から百数十以上の同族が現れたことにより、大混乱してしまい、次々と都市が壊滅させられてしまう。その一方、ラルドに続き、ヤマトまで失ったノアは怒りに身を任せて戦うが、人間と他の同族を喰らって進化したデーモンビーストに苦戦を強いられてしまうが、ガルバトロナスに異変が起き…


 次回 「首都壊滅」 侵略を続ける悪魔は更に人類に絶望をもたらす

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