Episode15「地下に潜むもの」
西暦2325年、地球は度重なる戦争と環境変化に伴い、地球が人類にとって住みにくい星になるのは最早時間の問題となった。だが、人類はコロニー建造や月面基地の開発等、宇宙進出を果たす程の技術を手に入れ、やがて他惑星での移住計画も推し進めた。
だが、その最中、突如として謎の巨大不明生物が現れ、人類に牙を向け、襲い掛かってきた。人類はその正体不明の巨大生物にありとあらゆる兵器で迎え撃ったが、巨大不明生物はあらゆる兵器も通用せず、人類を食い尽くし、人類はその巨大不明生物によって大半を滅ぼされた。
やがてその巨大不明生物はデーモンビーストと呼称され、デーモンビーストによって人類の8割が死滅させられたその惨劇は「悪魔の審判」と呼ばれるようになった。それから数世紀に渡って地球はデーモンビースに支配され、僅かに生き残った人類は尚もデーモンビーストの支配に抗ったが、度重なる資源不足に陥り、それを補うために人類同士による争いが頻発に行われ、世界は混沌となっていた。
悪魔の審判から800年後、西暦3125年、人類は対デーモンビースト用として人間が搭乗出来る巨大人型機動兵器を開発し、デーモンビーストを駆逐し、新たな国家を建設、徐々にその支配圏を取り戻しつつあり、人々は悪魔の審判以前の世界に戻れると確信していた。だが、人類は知らなかった、これから行われることはその悪魔の審判以上の脅威が襲い掛かってくることを…
ロバストハンターとルシファロイドの前に現れた別の部隊は特務隊や統制連合艦隊のASと違い、肩に更に2本の腕が装備されている見たことないデザインの機体で、一般兵は人間ではなく、対人用の人型兵器のようなもので、部隊のASと似たデザインをしていた。
「ヤマト・ハイライト二等兵だな? 大人しく来てもらおうか!」
「お前たちは何者だ?」
「それに答えるつもりはない…大人しく来い‼」
その様子を見たヤマトは下手に逆らうのは得策ではないと見て、言う通りに従った。
不気味な双頭の巨大コウモリに変身してヘレナを捕らえ、異次元空間に入った混沌の使者の足に尚も少年がしがみつき、それを振り払おうとしたが、異次元空間に入ってその後を追っていた火の粉が森で現れたデーモンビーストと違い、神々しい不死鳥の姿に変え、混沌の使者にぶつけるとその衝撃でヘレナと少年が離され、別のゲートの中に入っていった。
混沌の使者はそれを追うとしたが、不死鳥の姿をした火の粉に阻まれたためにやむを得ず、異次元空間の中に消え、火の粉もその後を追って同様に消えていった。
ゲートを通ったヘレナの少年は長らく廃棄された地下都市の真ん中に送られた。目を覚ました少年は気絶していたヘレナを必死に起こし、同様に目を覚ました。
「ん? あれ…ここは…私、何をしていたの……? ⁉ そうだ! お母様は…お母様は何処なの?」
少年の方を向いたが、少年は何も言えない表情をしていた。
「そう…また、お母様を助けられなかったのね……⁉ 待って! ラルドは何処なの?」
少年はそれを聞いても、何も言わないどころか、頷くことも首を縦に振ることすらしなかった。
「私のせいだ…私のせいでラルドが……」
その時、少年が唸る犬のように周囲を警戒し、巨大な足音が近付いていた。ヘレナが少年を守るように抱き抱えると、現れたのはかつてアモンボア事件でセラヴィムと共にアモンボアを討伐したアスモゲルデで、乗っていたパイロットはグリスだった。
「お前…まさか、ヘレナか?」
「あなたは…?」
同時期、深淵の使者によって異次元空間の中に入れられたラルドは深淵の使者に囲まれ、そこから必死に脱しようと抵抗したが、中々脱することは出来ず、脳内にある記憶のビジョンが浮かんだ。
そのビジョンでは、今の連合国より発展した大都市がラルドと特務隊によって今まで倒したデーモンビーストが破壊されていく光景だった。
その光景では雌に率いられているバルガ(雄)の群れが街中を破壊しながら人間を捕らえて補食し、バジリスクが巻き付いたビルに突っ込んで中にいた人間を喰らったり、翼を羽ばたいて突風を起こして周囲の建物を破壊し、更には山東半島で戦った個体とは体型が痩せていたが、何体かのザエボスが街を進撃していた。
「このビジョンは何だ? 僕の記憶だというのか! でも、明らかについ最近や数年前のものでもない…まさか、これがあの悪魔の審判なのか……」
都市を破壊していくデーモンビーストの中央に蹂躙しているデーモンビーストより遥かに巨大でそれら全てを統括していると思われる大怪獣が存在し、逃げ惑う人々が乗り込む脱出用の宇宙船が鎮座している空港に向け、強力な熱戦を吐き、辺り一帯を一撃で消し飛ばしてしまった。
「何だ…あれは……?」
更にその大怪獣はラルドの方を向き、丸呑みするように口を開け、襲い掛かってきた。
「うっ、ウワアァ~‼」
ラルドが目を覚ますと、そこにデーモンビーストに蹂躙された光景はないどころか、異次元空間の中でもなく、古びた小屋の中で倒れ込んでいた。
「何だったんだ…今の……夢だったのか…」
「気が付いたか…」
目を覚ましたラルドの目の前に合金製のフルフェイスマスクで素顔を隠し、黒と紫の服装と手袋をした人物だった。電子音声のようなので喋っていたため、性別の判断は区別しにくかったが、口調からして男性のようであった。
「お前は……」
「警戒しないで欲しい…私は君の味方だ。倒れていた君を運んでここで看病してやったのだ。」
「倒れていたのって…一体いつから?」
「30分前だが…」
「倒れたのは僕だけですか?」
「残念ながら、ヘレナ嬢は見付からなかった……」
「ヘレナのことを知っているの?」
「ロックフェルド家の長女にして財団の令嬢…彼女のことは軍からよく聞いていますから。」
「軍? あなたはどこの部隊ですか? 特務隊でないなら、統制連合艦隊ですか…?」
「情報をくれたのは統制連合艦隊だから、それに組しているのは正解だ。
だが、私は軍人ではないため、軍には所属していない。」
「軍の人間じゃない……一体、誰なんですか?」
「さしずめ、軍のスポンサーといったところですかね。」
「軍のスポンサー……」
「下がれ!」
マスクの男に頭を下げられると目の前に2、30mくらいの恐竜型のデーモンビーストが現れ、獲物を捜すようにウロウロしていた。
「あれは…」
「デーモンビーストのなり損ない、バスタドルスだな。悪魔の審判の時に絶滅したかと思ったが、ここに生き延びていたとは…」
更にアルケーダとは別のASも現れ、合金製の網で次々と捕獲していった。
「あのASは…」
「KCIA直属の部隊の新型か…まさか、完成していたとはな……」
「KCIA…?」
「地球圏連合国の中央情報局だ。テロリスト撲滅のために現議長と財団会長が設立させたものだ。」
「連合国の組織なら、僕たちの味方だ!」
ラルドがKCIAのASの元に行こうとしたら、マスクの男がそれを引き止めた。
「止めとけ!」
「どうして⁉」
「今、君がすべきことはヘレナ嬢を探すことじゃないのか?」
「だったら、尚更、あの人たちにも協力を要請しないと…」
「KCIAはテロ殲滅のために結成された組織だ。今、君が向かえば、テロリスト関係者と疑われるだけだ。」
「でも! 僕は特務隊所属だ。向こうも僕のことは知らないはずが……」
「それを証明するための所持品が今の君には持っているのかな?」
それを聞いたラルドは慌ててポケットの中を調べたが、軍の証明書は持っていなかった。
「恐らく、あの所属不明の潜水艦の襲撃で失ったのだろう…そんな状態でましてや、機体も持たない丸腰で、果たして向こうは信じてくれるのかな?」
ラルドは少し黙り込んだが、マスクの男に賛同し、
「わかった…僕の手でヘレナを助ける!」
「よし、決まりだな。ん?」
マスクの男は発信器のようなものを取り出して、それを見ると、
「どうやら、君より先に私の協力者がヘレナ嬢を見つけてくれたようだ。」
「協力者って誰ですか?」
「私の知り合いの息子グリス・ブリュースターだ。」
「グリス⁉」
KCIAの部隊に伴ってシカゴのパラディウス家の別荘に着いたブラッディは別荘の護衛の者に差し止められていた。
「何故、お会いできないのです⁉ 事前に報告はしたはずです!」
「CEOは現在不在で、誰ともお会いできませんので、お引き取りお願いします!」
「なら、別荘で待たせてくれませんか? これじゃ、せっかく来た意味がないですよ!」
そこに別荘からある男が現れ、ブラッディの元に立ち寄った。
「マッド・ブリンガーCEO代理…」
「残念ですが、パラディウスCEOは現在、時期会長たるご子息と外出中で、しばらく戻られません。それにこの別荘はパラディウス家の関係者の者でしか入ることを許されてません。当然、財団の者も例外ではありません。
CEOとご子息がお帰りになるまで待ちたいのでしたら、この近くのKCIA支部でお待ち願いましょうか? そうそう、確かあの支部にはあなたの息子が運ばれたと聞きましたが…」
「クトラが⁉」
KCIAのシカゴ支部、そこでンガイの森があった場所に立ち寄ったKCIAの部隊に捕らえられたクトラとヤマトが送られ、疑いをかけられたヤマトは個室で閉じ込められていた。ベッドに座り、しばらく様子を見ていた彼の元にブラッディが部屋に入った。
「あなたは、技師長の……」
「私のことを知っていたのか。ヨシフ・ブラッディ特務少佐だ! 君は統制連合艦隊のヤマト・ハイライト二等兵だったね? ヘレナ嬢とマッカーシー特務大佐からよく聞いているよ!
さっき、担架で運ばれたクトラには大した外傷は無かったみたいだが、君が助けてくれたんだね?」
「といっても、大したことじゃないですけど…」
「それだけでも十分だよ! ところで聞きたいことがあるんだけど、ヘレナは今、何処にいるんだい?」
その質問に対し、ヤマトは少し黙り込み、
「誤解しないで欲しい! 私は統制連合艦隊や反財団派の者を目の敵にしているわけではないから、このことは財団に報告するつもりはない…」
「あなたは今度の議長選で、ヘレナに勝って欲しいのですか?」
「勝って欲しいというより、それで彼女の居場所が作れるなら、それでいいのだが……」
「居場所?」
「君はテロリストとデーモンビーストが起こした例の2つの事件を知っているかね?」
「デナム大尉から聞きました。」
「彼女は普段は明るく振る舞っているが、あの事件で大切な人を失くした悲しみを人に見せないために表向きは無理に明るくしているだけで、未だにその悲しみは内に残っている。
しかも、その一件以来、現会長はヘレナを快く思っていないどころか、むしろ嫌っている有り様だ…」
「何故、自分の娘を…」
「自分のような人間を増やさないために、財団と国がテロリストに恨まれない、デーモンビーストによる殺戮が行われないよう、国を内側から変えるために時期会長候補になろうとしたが、デーモンビースト同様にテロ殲滅を望んでいた現会長がそれを許さず、彼女を会長候補から外したのだ。」
「それで議長選に…?」
「最も、彼女が議長選に勝利した場合にはホワイト副議長を引き続き副議長に就けることを条件にしていて、しかも現議長もそれが目的でホテップ社の資金援助で彼女を支援しているからな…」
「それじゃ、彼女は文字通りの財団と現議長の傀儡になるってことじゃないですか‼」
「ホワイト副議長は有能で口が上手いが、それ故に彼女がその口車に乗せられるかもしれないからな…もし、マクマリー議員が議長選に勝利しても彼女を受け入れてくれればあるいは……」
「マクマリー議員は…」
「ん?」
「マクマリー議員は彼女が我々を受け入れてくれるなら、議長選は彼女な譲ると言っています!」
「!⁉ それは本当かね?」
「もし、あなたがそれを望んでいる、我々に協力してくれないでしょうか?」
「フ~ン…財団を敵に回すことになりそうだが、これ以上、財団にばかり特権を持つのは私も望んでいない…」
「でしたら、俺と一緒にマクマリー議員の元に来てください! 俺と一緒なら、信用してくれます!」
「しかし、その前にここから出ないと……」
「それは大丈夫です! あなたなら…」
「そういうことか…」
ヘレナと少年を見付けたグリスは今では廃墟となっている居住区で周囲を徘徊しているバスタドルスから身を隠し、暫く双方とも黙り込んでいたが、ヘレナが口を開き、
「ねぇ、あなたって確か…」
「グリスだ…」
「そうそう! ブリュースターさんの息子で確か、暴走したデーモンビーストをラルドと一緒に倒したっていう……」
「ああ、グリス・ブリュースターだ!」
「やっぱりそうだったのね! 見覚えがあるから、もしかしてと思ったけど…」
「けっ、世間知らずのお嬢様は良いよな! 良いとこしかしらないんだからな!」
その言葉にヘレナはムッとし、
「ちょっと! それ、どういう意味⁉」
「元はといえば、お前らのせいだろ‼」
その時のグリスの表情は激情を秘めていた。
「お前ら財団のせいで、俺たちはこんな目に遭ったんだ…この廃れた地下都市もその象徴だ!」
感情が高ぶったグリスが語ると、廃墟となったこの地下都市や現在ではゾーンと呼ばれる場所もかつて建国当初はアメトリス公国という名だった地球圏連合国が地上を蹂躙するデーモンビーストから市民を守るシェルターとしての役割を持ち、元々はその首都として栄えていたが、財団がASの開発に成功して戦力を拡大するとデーモンビーストを駆逐し、徐々に地上の支配圏を取り戻すと首都はメトロポリスと名付けた旧ワシントンに移行し、ゾーンと名付られた地下都市はその必要性が無くなり、増長していく財団の権力が拡大するのを恐れた人々や低層階級の者を人口抑制という名目でゾーンを実質的な流刑地として強制的に送り込まれ、過酷な生活を虐げられ、仮に地上に出ても差別や迫害の対象とされ、グリスやその父もそういった出身だった。
「あの事件の後、俺は謹慎処分を食らってその間、親父の説教を聞かされ、復帰後、あらゆる任務に耐え、ようやく伍長になった。
それも、お前らのせいだ! お前なんか、あの時のテロで殺されてりゃ良かったんだ‼」
「グリス! そんな悲しいことを言うもんじゃない……」
そこにマスクの男とラルドが到着した。
「ラルド…それにあなたは……?」
「初めてお目にかかります。ヘレナ嬢。軍のスポンサーでゲリング・ダグラスと申します。」
「ゲリング・ダグラス…?」
日に日に過激さが増していくテロ、ASの開発によって地球圏での支配を取り戻しつつあるものの、ギラガスやザエボスのように環境変化や状況によって自己進化していくデーモンビーストへの対応を軍で対応していくのは厳しいと見、更にヘレナの母が殺されたテロ事件を機に現会長と現議長によって創設されたのがKCIAである。
この機関は悪魔の審判以前に存在していたアメリカのCIAに当たる存在で、「セメタリーファング(墓場の牙)」と呼ばれる直属の部隊を持ち、デーモンビースト殲滅とテロ撲滅を主な任務としている。
この部隊には人員削減とテロリストによる悪質なテロによる死傷者を減らすことを目的にセネイトガーディアンという生身の兵士に成り代わる1.8m程の等身大で、AI制御で起動する対人用人型兵器を一般兵とし、更にテロ事件の影響もあって評議会議長や財団会長を初めとする要人護衛用のVer2も存在している。
そして、その部隊の主力機にはホテップ社の資金援助とそれまでかき集めたデーモンビーストのデータを基に開発された新型機、型式番号KCBR1957、赤いカラーリングが施され、背部にはサブアームであるマニピュレーター、更に強力なバスターライフルであるレンジバスターライフルを装備し、赤いカラーリングが撃滅したテロリストとデーモンビーストの血で染まったように見えることから、機体名はブラッディリーパーまたはブラッディハンターとも呼ばれている。
この機体の開発は極秘とされており、技師長であるブラッディですら知らされておらず、その背景にはテロリストに機体の情報を渡るのを防ぐために口の軽いブラッディに話すのは危険と判断したホワイト副議長の指示によって内密にされ、パラディウス家の別荘に向かったブラッディが差し止められたのはそのためだった。
メトロポリスにあるKCIA本部では、そのブラッディリーパーの性能テストが行われ、その様子を長官であるミスロ・オルドー元帥が見ていた。オルドー元帥は17歳と最年少で軍に入隊し、好成績で士官学校を卒業した後、まもなくデーモンビースト討伐戦で一歩兵として参加するが、持ち前の体術でアルケーダの運動性能を最大限発揮し、単独で大型のベルゼボア3体を討伐した。
その功績も相まって僅か半年で中尉に昇進し、デーモンビースト殲滅戦の参謀を任されたが、それも、デーモンビーストの特性を把握した上で殲滅するというやり方で、偵察隊で雄のバルガを監視し、巣の出所を探った後、予め巣に多数の自爆装置を設置し、巣にいる雌のバルガをけしかけて雄を巣に誘い込んだ後、自爆装置を作動してバルガを巣ごと殲滅することに成功した。
また、テロ殲滅戦でも工作員を使ってテロリストのメンバーの出身やテロに参加する目的や共通点を把握し、評議会議員や財団関係の要人の影武者や替え玉で誘い込み、予め仕掛けた自爆装置で殲滅したり、包囲して制圧したりとこちらでもテロ鎮圧に成功し、その数々の功績により、遂に元帥にまで上り詰めた。
同時に任務とあらば、味方の損害も辞さないという姿勢は軍内部でも問題視されていたが、そのカリスマ性から、特務隊はおろか統制連合艦隊でも彼を尊敬する者はほとんどでその有能ぶりから、現会長や現議長への信頼も高く、時期議長の最有力候補に選抜されたが、本人はそれを拒否したため、代わりにその候補にヘレナが選ばれた。 尚、KCIAの設立を提案したのも彼で実質の創設者としてその長官に就任し、現在に至る。
捕獲されたベルゼボアがブラッディリーパーの性能テストの実験台として現れ、襲い掛かるが、腕に装備しているサブマシンガンでこれを撃破し、続けて現れた中型が襲い掛かってきたが、ブラッディリーパーはレンジバスターライフルを放ち、喰らった中型のベルゼボアは爆発四散した。
「ほぅ、中型を一撃か…」
「最終テストに移行!」
メンバーの掛け声と共にスイッチを押すと、今度は大型が現れ、巨大な爪で襲い掛かったが、ブラッディリーパーはそれを両腕の強靭な爪であるクローで突き刺して受け止め、更に続けて繰り出した巨大な尻尾に対しても背部のサブアームで捕らえ、そのまま引きちぎり、待機していた残り2機がレンジバスターライフルで止めを刺した。
「テスト終了!」
「予想以上の成果でしたね。」
「スカー・マードック博士か。」
オルドー元帥の元に立ち寄った男はスカー・マードック。オルドー元帥が信頼を置く科学者で生物学者であると同時にKCIAの実質的な副官でもある。
デーモンビーストの生態調査を行い、暴走したアモンボアのアームを取り付ける作業にも携わり、目には目をという戦術の元、現在は対デーモンビースト用としてのデーモンビーストの改造も行っている。
「AI補助も加えた遠隔操作による駆動は中々のものですね。」
「余程の腕がある者はいいが、そうでもないのはデーモンビーストの格好の餌食だ。これはそのための機体だ。」
「人員削減を改善した最強の機体ですね! ところで…」
「ん?」
「廃れた地下都市にいる部隊からアスモゲルデらしきASと現在消息不明のヘレナ嬢らしき人物の目撃情報がありましたが、いかが致します?」
「見間違いでも捜索を怠るわけにはいかん! 引き続き捜索を続けろと伝えろ!」
「はっ!」
マスクの男の命令を受けたグリスはアスモゲルデに乗って周囲のバスタドルスを警戒していた。
「ヘレナ、ホントに覚えてないの?」
「うん、お母様に出会って話してからの記憶が全く無いの…あの時、お母様に抱かれてたら、丸で意識が乗っ取られたみたいな感じがして…」
「(同じだ…あの時の教会と…ノアやクトラ、マルコも同様に記憶を無くしていた。 でも、僕だけは記憶は残っていた。
あの森にいた時もキールさんに化けたあの存在も覚えている…それに異次元みたいな空間で見たあのビジョンも僕の記憶なのか…?)」
「でも、これだけはわかる。あの子が身を挺してまで私を守ってくれた。それだけはわかる気がするの……」
「そういえば、あの子を拾ってから、ヘレナ達を守るので背一杯だったから、気にする暇はなかったけど…あの子、僕たちに何も話さないし、名前だって聞いてないよね…」
「あの子もきっと、デーモンビーストに両親を殺されて心を閉ざしているのよ…私にはわかる……」
「(でも、何だろう…? あの森であの子と一緒にいる間、何だか他人じゃないような丸で親族のような感じがしたけど、それにあの感じ…ギラガスやザエボスに襲われた時と同じような……)」
2人の元にマスクの男が立ち寄り、
「バスタドルスが立ち去った。ここから離れよう!」
「え…倒したんじゃないんですか?」
「まだ、KCIAの部隊がウロウロしているこの状態で下手にドンパチやって見付かると色々と面倒だからな…急ぐぞ! ここを抜ければ、ゾーンだ。」
ラルドたちがマスクの男についていく中、その背後に更に巨大なデーモンビーストが潜み、その後にゆっくり付いていった。
To be continued
次回予告
グリスと共にゾーンに向かったヘレナはそこで地上のメトロポリスと違い、虐げられた人々の姿を目の当たりにした。自分の知らない場所で苦しんでいる人々の存在を知って痛感する中、モグラ型のデーモンビーストがゾーンに向かって襲い掛かってきた。グリスは単身アスモゲルデで、デーモンビーストに立ち向かうが…
次回「」




