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Episode1「遭遇」

西暦3125年、世界はデーモンビーストと呼ばれる巨大不明生物によって支配され、人類はその生物によって大半を滅ぼされた。

 生き残った人類はこれに対抗するべく、対デーモンビースト用人型兵器を開発し、その支配に抗った。

 これは人類と未知なる巨大不明生物との互いの存亡を駆けた戦いである。

 人類は4万年の短い期間でありながら、類人猿から万物の霊長へと進化を遂げ、地球上に君臨する絶対的な支配者となった。だが、それは約束されたものなのか? まだ、進化の余地はあるのか…それとも更にそれ以上の生物が現れるまでの前座に過ぎないのか?

 他の類人猿と違い、極めて高い知性と多種多様な感情、そして凄まじい技術力を得、文明を築き上げてきた人類は自分たち以外の殆どの生物を家畜とし、自然をも支配下に置くようになると、丸で自分たちが神のごとき存在になったかのように傲り、やがて命をも操る技術にまで手を染め、地球だけでなく宇宙にも進出するようになった。

 しかし、その万物の霊長となった人類でも、天候や自然災害といった自然の力を制御することが出来ないように、もし、人類以上の存在が現れるようになったら、人類はそれに気付いた時、やがて今度は彼らが家畜のような生活を送ることになるだろう。




 

 遠く離れた都市、そこはアメリカ最大の都市の1つであるニューヨークの街並みだった。だが、そこは現代のような面影はなく、戦争によって荒れ果てたような荒廃した姿になっており、更に数百年経ったように辺り一帯には木々や緑が生い茂り、丸で人類の終焉を現すように半分が地面に埋もれ、朽ち果てた自由の女神像の姿もあった。

 その荒廃した街の中を1台のジープが走っていた。乗っていたのは軍人気質のある中年の男で、ジープには現代銃火器が多数積んでいた。だが、階級章の付いた軍服は着用しておらず、正式な軍には所属していない自警団の人間のようだった。

 男の名はキール・ブロッケンマイヤー、キールは都市や都市外から持ってきた大量の食糧も所持しており、崩れたビルに入ると、そこに隠し扉があり、そこにはみすぼらしい子供たちが暮らしていた。男は両親を失い、孤児となった子たちを引き取り、ビルの地下室を改造し、そこを孤児院としていたのだった。部屋に入ると、男は持ってきた食糧を笑顔で子供たちに見せた。


 「帰ってきたぞ! お前ら。今日は大収穫だ。」


 それを聞いた子供たちは大喜びで男の元に向かい、食糧を取り合った。その中に中性的な見た目をし、気弱そうな少年がパンを取ろうとすると、孤児の中でも特に屈強そうで顔に傷の付いた大柄な子供が奪った。


 「あ…それ…」


 「あ? 何だよ! まさか、これが欲しいのか!?」


 「それ…僕の分…」


 「けっ! オメェみたいな女のような顔してるようなよなよなした奴に上げる飯などあるか! オメェは女子のいるところでもいりゃいんだよ! ま、ここに女子なんていないがな。」


 「ぼ、僕は女じゃない…」


 「あ? 女みたいな分際で、俺に刃向かうのか!? 今までずっとちょいと可愛がってやったが、今度は容赦しねぇぞ…」


 屈強な子供がその子に手を出そうとしたその時、男がその屈強な子供の腕を掴み、パンを奪った。


 「おい、醜い争いは止めろ。只でさえ、ようやく手に入れた食糧なんだぞ。仲良く分けろ。もし、それが出来ないなら、お前の分は全部没収して俺が頂く。」


 「そ、そんな~!」


 「ここでは、全員平等だ。 わかったな!」


 「はい…」


 男は屈強な子供から取り上げたパンをその子に手渡した。


 「ほら、ラルド、お前の分だ。」


 「あ、ありがとうございます。」


 「どうした! 見た目が女っぽいからって少しは強く持て。女なのは見た目だけで、お前は男だろ!?」


 「僕はそんな強い人間じゃないです。この見た目だから、皆に舐められて強く見せられないんです…」


 「何言ってやがる! 女でも強え奴はいるぞ! そんなんじゃ、何処行っても舐められるぞ。」


 「でも…」


 男は少年の肩を優しく撫で、


 「いいか。世の中には強者と弱者がいる。それは人間だけでなく、全ての生物にも当てはまる。 だがな、それでも最後の瞬間まで精一杯生きていかなきゃならない! 人間も他の生物もな。」


 「でも、僕にそんなことは…」


 「弱音を吐くな! どんなに弱い奴でも人間や他の生物は最後の瞬間まで生きていかなきゃならない。死んだらそれで終わりだ。せめて最後くらいは強く生きろ。」


 「キールさん…」


 それを聞いた少年は複雑そうな心境をしていた。日が暮れると、キールは子供たちに地下室の外には絶対に出るなと深く注意し、地下室の鍵を固く締め、自分はショットガンとスナイパーライフル、アサルトライフルを所持し、夜間警備をする兵士のように夜通し警戒体制をとった。

 食糧難ということもあり、自分が調達した食糧と物資を狙う盗賊が現れるため、それに対するための防衛のようであるが、周囲には自身が修理した数台の戦車と装甲車を地下室のあるビルの周囲に配置し、キールは装甲車の前に立っていつでも起動出来る状態にし、丸で軍隊かまたはそれ以上の存在が現れるかのような物々しいものだった。

 地下室の寝室でぐっすり寝る子供たち、しかし、少年だけは中々寝ることが出来ず、寝室を出、地下室の周りを歩いていった。地下室の入口近くを歩くと、固く閉ざされた扉の僅かな隙間を見つけた少年はそれを覗くと、アサルトライフルを持ったキールが一夜漬けで見張りをし、少年はキールと違って何も出来ない自分に悔やむような表情をした。

 夜が明け、子供たちが目を覚ますと、夜通し見張りをしていたキールは扉を明け、子供たちの前に姿を現した。


 「よぅ! ぐっすり眠れたか? 今日は中々いい天気だ。今夜はもっと凄いご馳走を持って来てやるからな。」


 それを聞いた子供たちは歓声を上げて喜んだが、ラルドだけは複雑そうな心境で素直に喜べなかった。

 その時、突然、何処からか不気味な咆哮が上がり、それを聞いた子供たちはそれに震え、キールは再び銃を持って警戒した。キールを辺りを見渡すが、何かの存在は見えなかったその時、突然、ライオンや虎に近いサイズをし、丸でサメのような顔と鋭利な尻尾、手と足の人指し指が巨大な爪となっている不気味な怪物が数体現れ、キールと子供たちに襲い掛かってきた。

 子供たちは恐怖の余り、動けなくなったが、キールは咄嗟にアサルトライフルを撃ち込み、怪物たちの気を剃らした。


 「今だ! 逃げろ、逃げるんだ!」


 「で、でも! キールさん。」


 「何やってる! 早く逃げろ! お前たちがこんなところで死んだらどうする!? お前たち未来ある子供だ。そんなお前たちをここで死なせるわけにはいかない!」


 「キールさん!」


 「早くしろ! 俺も後で追い付く。」


 「おい、ラルド。早く行けよ!」


 少年は単身怪物たちと戦うキールのことを案じたが、キールを信じて他の子供たちと共に逃げていった。


 「さあ、こっちに来い!」


 キールはアサルトライフルを撃ち続け、怪物たちの気を自分に向けたが、怪物はアサルトライフルを喰らっても全く動じることはなかった。一匹の怪物がキールに襲い掛かると、キールは瞬時に手榴弾をその怪物に向かって投げ込んだ。

 一匹の怪物は手榴弾を諸に受けて緑色の鮮血が迸り、爆発四散した。しかし、爆発した仲間の怪物を障害にしてもう一匹の怪物が目の前に現れ、キールはアサルトライフルを撃ちながら、それを避けるが、怪物の爪がキールの右腕を掠め、キールの右腕から鮮血が迸った。 


 「へっ、どうやら、少しはやるようだな。だが、こっちもただでやられるわけにはいかねぇ。」


 キールが怪物たちを引き付けている間に子供たちはひたすら怪物たちが来れなさそうな場所を求めて必死に逃げていった。

 恐怖の余り、何も考えず、ただ一目散に走り、キールのいる場所からかなり離れた場所まで来、一部の子供が安心したその時、キールが引き付けている個体以外にもまだ仲間がいたのか、瓦礫の山から更に数体の同一個体が現れてしまった。

 子供たちは再び走っていったが、休憩する暇もなく走り続けていたため、疲労した者が何人か現れ、それを好機とみた怪物は自身の身体より長い尻尾で1人の子供を掴み取り、不気味な形状で口を開くとそのまま捕えた子供を丸呑みしてしまった。

 それまでキールによって守れたこともあり、誰1人犠牲が出なかった子供たちはその光景を真実と見れないような表情を取り、恐怖の余り、足がすくんでしまった。その後も怪物たちは襲い掛かり、恐怖で動けなかった1人1人の子供たちを捕えては丸呑みをしていった。

 もちろん、逃げる子供もいたが、隠れる場所も大した武器もない上に体力も徐々に無くなっていったため、怪物に喰われるのは最早時間の問題となり、彼らの無力さを現すように何人かが喰われるようになっていった。

 だが、そんな中、少年からパンを取り上げた屈強な少年が恐怖を無理やり気力で振り払い、近くにあった金属棒を持ち上げて怪物に向かって走っていった。


 「このぉ~! このバケモノが~!!」


 「や、止めろ!」


 少年の静止を聞かず、その屈強な少年は金属棒で怪物を何度も殴ったが、怪物には傷一つ付かず、そればかりかケロッとしていた。それを見たいじめっこは自分の無力さに気付くも、抵抗するしか術がなかったため、何度も何度も執拗に殴り続けた。


 「う、ウワァァ~!!」


 だが、それも虚しく怪物は人指し指の爪で屈強な少年の腹を貫いてしまい、背中まで貫いた先の爪にまで血が流れていった。それを見て少年は動けなくなった。


 「に、逃げろ…」


 その時、屈強な少年が少年に向かって話した。


 「え…」


 「何してる…逃げろって言ってんだ…さっさと逃げろ。」


 「で、でも…」


 「俺のこんな姿をお前に見せられねぇ…俺がこいつに喰われる前にとっととどっかへ行け…」


 「ダメだよ! 僕は前から僕を虐めていたお前は嫌いだったけど、だからってお前を見殺しにすることなんて出来ないよ! 嫌いだったけど、それでも一緒に暮らしてきた仲間なんだよ…」


 「へっ、俺もお前のことは前から気に入らなかったが、お前との生活は悪くなかったぜ…だから、俺の分まで生きろよ…」


 それが最後の言葉のように屈強な少年な爪に貫かれたまま怪物に丸呑みされてしまった。味見を終えた怪物は少年に気付き、少年は再び一目散に走っていった。

 辺りを見渡すと自分以外の子供は既にいなかった。少年は涙を流しながら、ただひたすら逃げていった。だが、それでも怪物たちを振り切ることは出来ず、その内の一体が少年に飛び掛かろうとしたその時、突然、その一体がガトリングに撃ち込まれたように全身から緑色の血が迸り、そのまま倒れてしまった。その一体を倒したのはかなりの傷を負い、ガトリングを持ったキールだった。


 「キールさん!」


 「ラルド、他の皆はどうした?」


 「それが…僕のせいなんだ…」


 少年の表情を見てキールは察し、


 「そう、辛く当たるな。何もお前のせいじゃない。それにお前が生き残っただけでも大したことじゃないか。」


 「でも、こんな僕が生き残ったって…」


 グルルルル…


 「ちぃっ、流石に早々やられはしないか。こっちだ!」


 キールは少年の腕を握り、ある場所に向かって走っていった。


 「ねぇ、キールさん! これからどうしたらいいの? もう彼処には戻れない。」


 「ああ、彼処はもうとっくに奴等の縄張りにされてるだろうな。だが、安心しろ。お前が生き残ったということはこれは運命だ。お前にはやるべき使命があるということだ。」


 「使命…?」


 走り続けると、2人は倒壊した超高層ビルの入口の前にまで来、キールは瓦礫を退かすと、隠し扉のようなものが現れ、キールがコードを入力すると、扉が開いていった。


 ギャオォ~!!


 しかし、既に後方には怪物たちが追い付いていた。


 「やっぱり一緒に入るのは無理か…ラルド、お前はここに入れ。」


 「キールさん!」


 「大丈夫だ。俺は早々やられるタマじゃない。俺が出来るだけの間、奴等を引き付けておく。それまでこの中にいろ。800年前に使われたものとはいえ、ここはシェルターになってる。奴等もそう簡単には侵入出来ない。」


 「そんな…また、僕1人だけなんて出来ないよ。」


 「まだ、そんな弱気なことを言ってるのか? 俺の知ってるお前はそんなに弱い人間じゃないはずだ。強く生きろ…ラルド。」


 強引ながらも、キールはラルドを中に入れさせ、扉を閉め、再びガトリングを持ち、怪物に立ち向かった。


 「キールさん!」


 「ぐっ、右手が使い物にならない。だが、片腕だけ動ければ問題ない。さあ、来い!」


 少年が何度も何度も扉を叩くが、扉はびくともせず、開けようとしても全く開く気配がなかった。これ以上やっても無駄だということを察した時、


 「……」


 少年は何かを感じ取り、シェルター内部の奥から誰か呼んでいるような感覚をするように少年はその奥へ奥へと進んでいった。進んでいくと、少年は広場に着き、そこに25m近くはあり、2本角の頭部をした巨大な人型兵器が鎮座していた。


 「何だ、これは…もしかして僕を呼んだのはこれなの? でもなんでこんなものがこんなところに?」


 少年がその巨大人型兵器に近付いたその時、突然、何者かが掘り起こすような音がし、床からさっきの怪物が数十体現れた。


 「そんな! 何でこんなところにまで?」


 他に隠れる場所が無いことを察した少年はその人型兵器のコクピットに乗り込み、怪物の強襲から逃れた。しかし、怪物は人型兵器に群がり、コクピットに入った少年をそこから引きずり出すためにコクピットを爪で削り取ろうとした。


 「不味い、このままじゃ、やられる。」


 少年は怪物を倒すために乗り込んだ人型兵器を動かそうとしたが、コクピットにあるのはコクピットとコードで接続しているヘルメットとアームのようなコントローラーしかなく、ハンドルらしきものもなかった。

 少年はそれを見て戸惑ったが、取り敢えずそのヘルメットとコントローラーを取り付けた。しかし、それを装着しても機体は動く気配もなく、ただ、沈黙するだけだった。


 「どうしてだよ! 何で動かないんだよ! 動け、動けよ!」


 少年はコクピットにある全てのものを触ったが、それでも一向に動かず、徐々に装甲が群がった怪物によって破壊されるのは最早、時間の問題となった。少年は頭をコクピットの液晶にぶつけ、今まで一緒に暮らしてた子供たちや屈強な少年が怪物に喰われていった場面を思い出し、背一杯の悔し涙を流した。


 「何でだよ…何でいつもこうなんだよ! 何も出来ずにただ、周りの世話になったり、周りを犠牲にしていた僕が生き残らなきゃならないんだよ! 僕1人生き残ったって何にも出来ないじゃないか! 何も!!」


 「(どんなに弱い奴でも人間や他の生物は最後の瞬間まで生きていかなきゃならない。死んだらそれで終わりだ。せめて最後くらいは強く生きろ。

 お前が生き残ったということはこれは運命だ。お前にはやるべき使命があるということだ。)」


 「僕に何の運命があるっていうんだ? ただ、周りに付いていくしか出来ないのか…そんなの、そんなの嫌だ!」


 その時、突然、ヘルメットが発光し、少年の脳裏にコクピットの液晶と同様の画面が映り、少年はそれに従って液晶を入力し、嵌めた両手の義手を腕を置くところに触れると、機体の目が発光し、起動を始め、立ち上がると群がった怪物たちを身体に這った虫を払うように取っ払った。


 「機体が動いた…どうなってるの? 丸で機体が僕の身体になったかのような感覚で動いている気がするけど…でも、いける、これならいける」


  シェルターの外で、キールが怪物たちを大方殲滅することに成功していた。


 「ハァッ、ハァッ、ハァッ。これで片付いたか?」


  その時、突然、巨大な何かが飛び掛かり、鎌のようなものでキールを襲ったが、キールは持ち前の反射神経で間一髪で避けた。

 キールを襲ったのはそれまで襲い掛かってきた怪物と形状は同じであったが、サイズは20mぐらいはあり、更にそれまでの怪物と違い、背中のトゲや腕の鎌が発達し、尻尾が途中から二又に分かれてY字になっているという丸でキールや少年たちを襲った怪物が成長した姿のようなものだった。


 「ちぃっ、まさか、親玉もいたとはな!」


 キールは中型の怪物にガトリングを撃ち込むが、それまで倒した小型と違い、通用する様子はなかった。


 「なら、こいつはどうだ!?」


 キールはすかさずランチャーを取り出し、中型の怪物に撃ち込むが、それすらも通用しなかった。


 「なっ! 嘘だろ…」


  グギャオォ~!!


 中型の怪物は腕の鎌でキールに襲い掛かった。


 「ふ、どうやら、俺もここまでか…」


 キールが諦めかけたその時、少年が乗った機体が突然、シェルターを突き破って現れ、そのまま中型の怪物の顔を殴り、中型の怪物はそのままビルの瓦礫に吹っ飛んでしまった。それを見たキールは唖然としていた。


 「まさか、起動させたというのか…あの機体を…」


 「やった! ホントに僕の手で倒した。」


 喜んだのも束の間、中型の怪物はビルの瓦礫から飛び出し、そのまま少年の乗る機体に飛び掛かってきた。少年の機体も負けじと中型の怪物を掴み、投げ飛ばしたが、中型の怪物は体制を立て直し、二又に別れた尻尾で機体の顔を攻撃し、人型兵器は体制を崩した。


 「くっ、ならば、キールさんから教わったこれならどうだ!?」


 人型兵器は勢いよくジャンプして降下すると、その勢いでそのまま中型の怪物に蹴りを入れた。中型の怪物の顔が地面に盛り込み程の勢いにまでいったが、中型の怪物は尻尾で機体の足を掴み、人型兵器は倒れてしまった。


 「くそっ、これに何か武器はないのか?」


 少年が武器を求めると、機体はそれに応えるように足からナイフ型のものが現れ、それを手にした。


 「こんなものがあったかのか…よし、」


 少年の機体は向かってくる中型の怪物にナイフを持って構え、向かってきた中型の怪物が目の前にまで来た瞬間にギリギリで避け、ナイフを中型の怪物の胴体に刺した。

 しかし、貫通することは出来ず、中型の怪物は向きを変え、少年の機体の頭部を丸呑みしようとしたが、少年の機体は間一髪で両手で口を抑え、そのまま投げ飛ばしていった。


 「近付いて攻撃でも、駄目…だったら、どうすれば…」


 その時、少年はかつて他の子供たちと共にキールに武術を教えられた時のことを思い出した。


 「(銃が使えなくなった場合は携行として所持するナイフが代わりの武器になる。最もリーチが短いため、近接戦闘しか使えず、まだ、銃を持っている相手では不利になる…

 だが、投球技術があれば、殆どの近接武器も銃と同等かそれ以上の遠距離武器にもなる。例えば、隙を付いて銃を持つ腕に目掛けて投げて命中すれば、相手は銃を使えなくなり、その隙を狙って近付けば、こちらが有利になる。どんな道具もそいつの使い方次第ってことだ。ま、そのためにはそれなりの技術が必要だけどな。)」


 「そうだ、その時に教わった投球技であいつにぶつければ…」


 体制を立て直した中型の怪物は再び少年の機体に向けて突進し、少年の機体は投げる姿勢で待ち構えた。


 グギャアァ~!!


 「今だ!」


 少年の機体がナイフを中型の怪物目掛けて投げると、ナイフは中型の怪物の脳天にブッ刺さり、中型の怪物は即死してそのまま倒れてしまった。


 「やった…ホントにやったのか。」


 遂に中型の怪物も倒したと思ったその時、突然、巨大な呻き声が都市中に響き、同時に地響きも起き、地面にひびが出ると、そこから槍のような巨大な尻尾が現れ、それが中型の怪物を貫いてそのまま地中に引きずり込んだ。

 中型の怪物が地面に引きずり込まれ、何かを貪り喰うような音がした後、地面から今度はさっきの中型の怪物を更に上回る40m以上のサイズを持つ同種の大型の怪物が現れ、その姿は中型と違い、腕の鎌が更に発達し、巨大な槍状になった2本の尻尾を持つ姿になっていた。


 「そんな…まだ、こんな奴までいたなんて…」


 大型の怪物は少年の機体に向けて咆哮を上げ、巨大な尻尾で少年の機体をぶっ刺そうと襲い掛かってきた。少年の機体はその尻尾を掴み、そのまま持ち上げようとするが、大型の怪物は尻尾を振り回し、少年の機体は投げ飛ばされてしまった。

 少年の機体はすかさず体制を立て直し、片足からもう一つのナイフを取り出し、再び中型の怪物を倒したように大型の怪物にも投げつけるが、大型の怪物は腕の鎌で打ち返してしまい、巨大な槍状の尻尾で少年の機体を突き刺そうと襲い掛かってきた。

 少年の機体は何とか避けるが、大型の怪物は尻尾が2本に別れているのを利用し、一方の尻尾で引き付けてその間にもう一方の尻尾で攻撃する戦法を取ったため、少年はそれに翻弄され、大型の怪物はその隙を付いて飛び掛かってきて少年の機体をのし掛かった。

 機体はそこから脱出しようとするが、その体重に勝てず、そこから脱することは出来なかった。しかも、大型の怪物は中型と違い、そのまま機体を丸呑みしようとせず、動けない機体を嬲り殺しにするように両腕の鎌と2本の尻尾で機体の装甲を削り取ろうとしていた。

 機体は早々すぐに剥がれるような耐久力ではないものの、いずれ、大型の怪物で装甲が剥がされるのは時間の問題となっていた。少年の機体は必死に抵抗を試みるが、ほとんど効果はなかった。


 「くそっ、くそっ、離れろ、離れろ!」


 その時、突然、何処からか砲撃が大型の怪物の頭部に直撃し、大型の怪物の体制が崩れた。


 「今の砲撃は…!?」


 砲撃したのはキールの乗るM1エイブラムス戦車だった。


 「ハァッ、ハァッ、へっ、いい一発当てられたな。」


 「キールさん!」


 キールの乗るM1エイブラムスに気付いた大型の怪物はその場を離れ、巨大な尻尾で襲い掛かってきた。


 「キールさん、逃げて!」


 「へ、もう一発奴の脳天にぶちこみたいが、もう腕が使い物にならない…ここまでか…」


 それまで受けた傷と疲労で身体が思うように動けず、再び放つことが出来ず、キールは大型の怪物の巨大な尻尾で戦車ごと貫かれ、それを振り回し、離れるとキールの乗る戦車は高層ビルにぶつかり、爆発炎上し、その衝撃でビルが倒壊した。それを見た少年は青ざめた表情をした。


 「そんな、キールさんまで…何でだよ、どうしてこうなるんだよ。結局僕は誰1人守れなかったのか…」


  少年は両手の拳を強く握り、


 「許さない…お前だけは…絶対に許さない!」


 怒りを露にし、自力で大型の怪物の拘束から脱した機体は少年の怒りの感情に従って勢いよく大型の怪物に向かって走っていき、殴り込みにかかったが、大型の怪物は巨大な尻尾で容易に少年の機体を振り飛ばしてしまった。


「駄目だ…これじゃ勝てない。もっと強力な武器がいる…あのナイフよりもっと強力な武器が…」


 その時、それに応えるようにコクピット内の液晶に何やら文字が現れ、機体の肩から新たな武器が現れた。だが、それもさっきのナイフに似たような武器だった。


 「違う! これじゃない。他にはもうないのか?」


 大型の怪物が再び少年の機体に向かって走り、巨大な尻尾で攻撃し、それを見た少年は手にした武器で受け止めようとすると、その武器に付いていた何かのボタンを無意識で押した。

 すると、突然、そのナイフ状の武器はメイスのような巨大な剣に変形し、大型の怪物の巨大な尻尾を受け止めた。


 「こ、これは…!」


 機体はその巨大な剣で大型の怪物の尻尾をはね除け、その場から脱した。大型の怪物はすかさず両手の鎌で襲い掛かるが、機体はその巨大な剣で大型の怪物の鎌を切り裂いた。


 グギャオォ~!!


 両手の鎌を切り裂かれ、叫びを上げる大型の怪物、怪物は怒りに身を任せ、2本の尻尾による攻撃に切り替え、襲い掛かってきた。少年の機体も負けじと巨大な剣で迎え撃つが、2本のそれぞれの尻尾で攻撃する大型の怪物に中々対処が出来なかった。


 「駄目だ…あの尻尾さえ何とかしないとあいつには勝てない。でも、あの尻尾は腕の鎌より固くてこの剣でも貫けない。どうすれば…ん? 待てよ、破ることは出来なくても封じることが出来れば…」


 その時、少年が何かに気付くと、戦線を離脱して走り去っていった。大型の怪物は逃がすまいと、その後を追い、尻尾で攻撃しながら執拗に機体に向かって走った。

 しかし、少年はそれを狙っていたかのような表情をし、そのまま大型の怪物を何処かへ誘導した。都市中を走り回り、目の前に倒壊した超高層ビルが立ち塞がり、行き止まりになっていた。大型の怪物は攻撃のチャンスが来たかのように2本の尻尾を左右から同時に機体に襲い掛かったが、それを見てニヤリとした少年はギリギリにまで引き付けた上でそれを交わし、2本の巨大な尻尾は超高層ビルの窓ガラスを貫通した。

 攻撃が交わされた大型の怪物は直ぐに体制を立て直し、再び攻撃を仕掛けようとするが、2本の巨大な尻尾が超高層ビルの瓦礫に挟まったため、その場から離れることは出来なかった。

 大型の怪物が力任せでそこから脱することを試みたその時、少年の機体が巨大な剣を振り回しながら、ジャンプし、大型の怪物の頭上にまで押し寄せた。怪物の頭部に狙いを定め、機体が持つ巨大な剣は大型の怪物の頭部に向かって降下し、そのまま脳天をぶちこみ、大型の怪物の脳天から緑色の鮮血が迸った。 そして、怪物の巨大な尻尾が倒れ、遂に大型の怪物は活動を停止した。


 「ハァッ、ハァッ、ハァッ! ん?」


 その時、コクピットの液晶からある文字が現れ、少年はそれを読んだ。


 「セラヴィム…? それがお前の名前…」




 To be continued



次回予告


謎の人型兵器を手に入れ、巨大生物を倒すことに成功するラルド、だが、そこにラルドが乗っていたのと似たような巨大人型兵器に搭乗する兵士にある疑いをかけられて拘束されてしまう。ラルドが連れていかれたのは巨大生物に対抗するための軍を持つ軍事国家の首都だった。


次回「出会い」その機体は少年を戦いの運命へ導く。


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