泣いた少女に夢のような死を
私は、ずっと泣いていた。
たった1人で、ずっと。
そして私は、独りになった。
親に捨てられたから。
「泣いてばかりのあんたなんかいらない」
近くの公園に私をリードで括りつけた親の顔は、笑っていた。
それから、2日くらい経った。
空腹は感じなくなったし、動く力も無くなってきた。
秋だったせいか、私はまだ生きている。
もう、泣くことは出来なくなっていた。
私が泣き虫じゃなかったら……
ただそれだけが、私の心に棲みついていた。
あの時私は、どうしてずっと泣いてたんだろう。
数日前の記憶のはずなのに、思い出せなくなっている。
親の顔も、最後の笑っていた顔以外は思い出せない。
自分の名前も、何も、分からなくなってきているから。
少しだけ、目を開ける。
秋特有の不思議な暖かさが、目に飛び込んでくる。
その暖かさすら、今は少し遠い。
それを感じるのが嫌で、私はまた目を閉じた。
そうすれば、ゆっくりと意識が沈む。
沈んでいく意識だけが、まだ私が生きていることを教えてくれる。
沈んでいく意識だけが、私を現実から遠ざけてくれる。
そう、これは悪い夢なのだ。
もう何も覚えていないけど、きっとこれは夢。
夢から醒めたら、私は前までの生活に戻れる。
きっと、前までと同じ……生活に。