序章<偉大なる道しるべ>
憧れの切っ掛けは、たった一冊の本。
だけど私にとってはとても大切な……。
これは最初の切っ掛けに、過ぎない私の物語。
憧れは自分を突き動かして大切な仲間……違う。
私の一生を共にする親友も巻き込んで引き起こしてしまった悲劇かもしれない。
憧れたものの現実がどんな結果を生み出したのか、良い面ばかりみていたお伽話。
自分がその〝憧れ〟を手に入れた事で想像すらしていなかった起こりえる結末。
それでも、私は〝憧れ〟に手を伸ばすことを止められない、これは私の物語だから……。
自分勝手なのは分かっている。
だけど、お願い。
私に、付いてきて―――
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「……夢?」
かなり懐かしい夢。
朝の光に静かに意識が覚醒してくる。
「あ、起きた?朝食出来てるみたいだよぉ」
お腹を抑えながら私が起きるのを待ってくれるのは良いけど、この娘私の倍は食べるからなぁ……
「手伝うから、早く準備して食べよぉ」
「―――――うん」
私は朝が弱いのを知っていても先に食べに行ったりしないで我慢して待ってくれるあたり付き合いが良い。
「お待たせ、行こう」
この宿での休息も今日で終わり。
自分の鞄に金縁の黒い本があることを確認して部屋を出る。
私をこの旅路に誘った、切っ掛けの本。
でもこれは普通の本ではない
―――フェルトニーアの日記帳―――
かなり有名な――大量に見つかり、量産されている――遺物の一種らしい。
書いた本人か、許しを得た者でない限り中を見られることのない何の変哲もない日記帳。
――のはずだった。