表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河戦記/拍動編  作者: 神崎理恵子
PR
13/32

第三章 Ⅱ 戦闘

Ⅱ 戦闘



 宇宙空間を飛ぶセルジオ艦ビーグル号。

 艦橋では、元囚人達によって計器は操作され、インゲル星から遠ざかりつつあった。

「プラズマエンジン大気圏外出力から惑星間航行速度へ」

「インゲル星重力圏突破しました」

 パネルスクリーンに離れてゆくインゲル星を見ながら歓声を上げる囚人達だった。

「やっと解放されたぞ!」

「我々は自由になったんだ!」

 一同口々に叫んでいる。

「それはまだ早いぞ」

 ビューロン少尉が注意勧告する。

 それと同時に艦が激しく揺れる。

 あちこちに飛ばされ動揺する囚人達。

「何だ。一体何が起こったんだ?」

 レーダー担当になっていた者が叫ぶ。

「右舷後方に敵地球艦隊接近中!」



 インゲル星の背後から現れた、クロード王率いる地球艦隊。

 旗艦ノーザンプトンの艦橋内。

「いいか。絶対に逃がすなよ」

「はっ!」

「巡洋艦前へ。駆逐艦は両翼に展開して、魚雷で徹底的にやれ!」

 艦長がテキパキと指令を下している。

 その様子を見つめながら、スクリーンを眺めている。

「それにしても、セルジオ様ともあろうお方が、簡単に艦を奪われるとは……」


 ビーグル号艦橋内。

「追尾装置セットオン!」

「いいか。よく狙って撃て」

 ビューロン少尉が注意する。

「方位修正右0.2秒。上下角そのまま。敵艦主砲軸線上に乗りました」

「よし。攻撃開始」

 攻撃を開始するビーグル号。

 ビーム砲が地球艦隊に当たって砕け散る。


 ノーザンプトン艦橋。

「敵が撃ってきました!」

 副官の報告にクロード王が応える。

「なあに大したことはない。相手は戦艦ではないのだ。たとえ高性能のゴーランド艦とてたかが一隻。我々の方が数・火力とも上だ」

「それに、ビーグル号をまともに操縦したことのない連中ですからね」

「そういうことだ」


 ビーグル号艦橋。

 濛々(もうもう)と煙を上げる艦内。

 時折起こる爆風。

 倒れている兵士と囚人達。

「機関部損傷。エネルギーゲージ70%ダウン」

 機関部からの連絡が入る。

「クソォ! ここまで来ながら……」

「諦めるのは早い。最後まで戦うのだ」

 次々と被弾し、損傷の酷くなってゆくビーグル号。

「第一主砲被弾。第七副砲……全砲使用不能」

「もはやこれまでか……」

 老人が掛かりかける。

「アレックス様」


 ノーザンプトン号艦橋。

「敵は完全に沈黙しました」

「よし。ビーグル号に打電しろ。降伏か死か選ばせるのだ」

「了解」

「脱獄者は処刑あるのみではないですか?」

「本来ならばな。しかしビーグル号はセルジオ様の船でもあるしな……。通信士、収容所のセルジオ様との連絡は取れたか?」

「はっ。それがセルジオ様はお休みになられたとかで、応対に出られないとのことです。代わりにガードナー少佐が出られて、ビーグル号に関しては一切口出し無用捨て置けとの返答です」

「何だと! 一切関知するなと言うのか?」

「その通りです」

「一体何を考えているのだ。こんな重大事にセルジオ様が眠っておられる。その上、奪われたビーグル号も捨て置けとは……」

「陛下。ビーグル号が逃げていきます」

「通信士、先ほどの打電の返答は?」

「ありません。応答なし」

「よし、撃ち落せ」

「しかし、ガードナー少佐は捨て置けと」

「たかが将校ごとき聞く耳持たぬわ。セルジオ様直々のお言葉なら別だがな」

「どうしますか?」

「ええい! かまわん撃破してしまえ」

「了解。主砲発射用意! 目標ビーグル号」

「しかし陛下。敵に奪われはしたものの、ビーグル号はセルジオ様の船です。いいのでしょうか?」

 副官が確認する。

「かと言って、囚人をこのまま逃がしてもいいというのか?」

「それは……」

「お前は黙っていろ!」

「陛下、主砲発射準備完了しました」

「よし。発射しろ!」


 ビーグル号艦橋。

「敵がまた撃ってきました」

「なすすべもなしか……」

「それにしても、これだけ攻撃を受けても良く持っているのが不思議だ」

「そりゃそうですよ。これはゴーランド艦ですよ。地球艦とは比べものにならぬ程、材質・技術が違います。がしかし、こうも集中攻撃を受けては、さしものゴーランド艦とて……」

 その瞬間、艦内を爆風が襲う。

 吹き飛ぶ囚人達、そして老人。

 濛々たる黒煙が立ち込める。

「おじいさま!」

 老人のもとに駆け寄るルシア。


 ノーザンプトン号艦橋。

 正面スクリーンを見つめるクロード王。

「よし。そろそろ止めを刺せ」

「はっ。ミサイル艦前へ」

 前進するミサイル艦。

「ミサイル発射!」

 多数のミサイルがビーグル号に襲い掛かる。


 ビーグル号艦橋。

 老人の身体に触れ伏して泣いているルシア。

 それを見つめているアレックス達。

「ミサイルだ!」

 誰かが叫ぶ。

「あれにやられたら一たまりもないぞ!」

 ミサイルがビーグル号に襲い掛かる。


 ノーザンプトン艦橋。

 まばゆい光に目を細めるクロード王。

「命中です」

「うむ……」

 次第に光が薄らいでゆく。

「むっ?」

 スクリーンを凝視するクロード。

 そこにはビーグル号が生存していた。

「どうしたんだ? ビーグル号は健在だぞ!」

「そんな馬鹿な! ミサイルは直撃しました。木っ端微塵になっているはずです」


 ビーグル号艦橋。

 床に伏して震えている者、耳を押さえて目を瞑っている者。

 皆やられたと思ってかじっとして動かない。

 ゆっくりと立ち上がるアレックス。

「どうしたんだ?」

「ん……ミサイルは?」

 ビューロン少尉も不可思議な表情をしている。

 倒れている者も、次々に起き上がりスクリーンを見つめる。

「助かったのか?」

「ミサイルがぶつかる寸前に爆発したみたいだけど……」

「あ、あれは何だ?」

「どうした?」

 囚人の一人がスクリーンを指さす。

 そこには見知らぬ宇宙船が映っていた。

「あの船が迎撃してくれたのか?」

「地球の船ではないようね」

「ケンタウリの船でも、トラピストの船でもないようだ」


 ノーザンプトン艦橋。

「右舷三十度に未確認艦発見!」

「何だと?」

「ミサイル接近中! 五秒で接触します」

「迎撃しろ!」

「駄目です。間に合いません!」

「機関全速、取り舵一杯!」

 眩い閃光と共に、護衛艦の一隻が轟沈した。

「第二波接近します」

「全艦、主砲をあの宇宙船に標準合わせ! 機関砲、ミサイルを撃ち落せ!」

「あれは! 地球を脱出した例の宇宙船ですよ」

 副官が気付いて報告する。

「何、本当か!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ