宇宙新世紀 序章
ネルソン提督率いる反乱軍は、劣勢ながらも何とか戦線を維持していたが、旗艦を損傷させて撤退する。艦の修理で立ち寄った惑星で、意外なものを発見したのだった。
太陽系外、居住可能とされる惑星一覧(地球に近い順に)
・恒星名(地球からの距離)/惑星名
・プロキシマ・ケンタウリ(4.2光年)/b星
・バーナード星(6光年)/b星
・ロス128b星(11光年)/b星
・Gj1061星(12光年)/b~d星
・くじら座タウ星(12光年)/f星
・ルイテン星(12.4光年)/b星
・ディーガーデン星(12.5光年)/b星
(観測史上、最も地球環境に近いと言われている)
・ウォルフ1061星(14光年)/c星
・グリーゼ667C星(22光年)/c~f星
・TRAPPISTー1星(40光年)/1b~1h星
(e~g ハビタブルゾーン)
などがある。
宇宙新世紀初頭。
国家分断と戦争に明け暮れていた地球人類は、ついに世界統一を果たして地球連邦を設立。戦争に費やしていた国家予算を宇宙開拓に注げるようになった。
やがて母なる地球を離れて、火星に最初の植民を行い、これをもって西暦を廃止して宇宙歴を制定した。
ケレスなどの小惑星帯を探索して資源を開発採掘しながら、さらに外側への軌道へと移り、木星衛星カリストに宇宙基地を建設に至っていた。さらなる遠くの惑星に向かう前進基地としてである。
探査開拓は、海王星以遠の冥王星・エリス・ケレス・マケマケ・ハウメアなどの準惑星に到達した。
さらに数百年後、超光速航行法と高速宇宙船の開発に成功、太陽系を脱出した人類は、へびつかい座方向に約6光年離れたバーナード星b惑星(Barnard's star)に到達した。その内側軌道に居住可能なc星が発見されて『バルマー』と名付けられ開発が始まり、首都星としての位置づけを与えられた。
その3年後には、太陽より約4.2光年にあるケンタウルス座α星系の惑星プロキシマ・ケンタウリbに到達した。
両惑星に向かっては、同時期に移民船が出発したのだが、航路上の障害に遮られたケンタウルスへの行き足が遅れて、バーナード星側に一足先を越されてしまった。
環境的にはハビタブルゾーンにあったケンタウリの発展は順調に進み、いち早く惑星国家としての位置を獲得した。
その後宇宙航行術も開発が進み、ロス128b星、グリーゼ832b星、エリダヌス座ε星、TRAPPISTー1d星など40光年以内の惑星に人類は進出して、それぞれ惑星国家として発展した。
開拓時代は、それぞれの惑星の発展に力が注がれたが、開発が終わって一段落すると、近隣惑星との間には『隣の芝生は青い』という感情が生まれてくる。
やがて起こるべくして起こったのが惑星間戦争である。
その中でも、軍事的優位にあったのが帝政を敷いていた惑星ケンタウリ国家。
瞬く間に諸惑星を平定し、母なる地球を含む太陽系連合王国も属国とするに至ったのだ。
さらに、隣国のバーナード星系連邦を勢力下に置いたのを皮切りに、ティーガーデン惑星国家(12光年~太陽)、ウォルフ惑星国家(14光年)、グリーゼ諸国連邦(22光年)、と次々と支配下に置いていった。
次なる目標は、トラピスト星系連合王国だったが、四十光年という遠距離にあり、補給の問題から攻略に苦慮していた。
帝王アウゼノンの執政は厳しいものであり、惑星住民たちは重税や刑罰などの圧政に苦しんだ。
そんな民衆の解放に立ち上がったのが、ネルソン提督率いる反乱軍であった。トラピスト連合王国を後援者として、帝国領内を荒らしまわっていた。