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頭いいヤツはバカの言うこと聞かなきゃいけないらしいよ  作者: 笙野ひいろ
中学生編 ~バカたちの出会い~
7/13

効果はばつぐんだ!

金曜日、土曜日って怒涛の出来事が終わって今日は月曜日。学校の日なんだけど、はっきり言って休めた気がしない。だってちゃんとした休日は日曜日しかなかったんだよ。そんな唯一の休みも、金曜日にあんな話をされたらちょっと色々考えちゃってあまり休めなかったし。


そういう訳で、始業ギリギリに登校しています。風間仁だよ。ま、普段から余裕をもって登校したことなんて殆どないからこれが普通なんだけどね。(ドヤァ)

当たり前なんだけど、もう教室の中には結構人が揃ってて、先生もまだ来てないから皆喋ってて騒がしい。だから僕は後ろの扉からそうっと教室に入った。…と、


「よう」


声をかけてきたのは斜め後ろの席に座ってる新田(あきら)。僕の幼馴染にして数少ない親友だ。


「お、晃じゃん。おはよー」

「仁は今日もギリだったな。俺が朝寄った時まだ起きてないっておばさん言ってたもんな」

「えー、晃が来たんならもっと早く起きとけばよかった」


そんなしょうもない事をだらだらと話していると、クラスの別の場所から大声で話す声が聞こえてきた。どうやら土曜日の試考査についてのようで、


「お前らあれ全部解けなかったんだ?あんなの簡単だったけどな。俺は今まで瑚翠に入るために頑張ってきたし?ま、お前らと違って俺は本番だったから。勉強量が足りなかったんだろ」


だの何だの。

ああいうのマウントっていうんだよね。僕知ってる。

とか思ってたのがいけなかったのかなあ。そいつがこっちに近づいてきた。に、逃げたい…。


「お、風間じゃん。お前試考査どうだったよ?」


ああ、声を掛けられて(絡まれて)しまった。どうしよう。これ、なんて答えてもめんどくさい奴だよね。助けて晃……、ってお前しれっと自分の席に戻ってるんじゃないよ。そして目!目逸らさないで!僕がなんか悲しくなるから。

そんな感じで脳内うるさくしていたら、絡んできたあいつが何か自分の中で納得したみたいで、


「へえ、答えられないくらいできなかったんだ。ま、お前普段からテストの成績あんまよくないもんな。俺が瑚翠入学できてもひがむなよー、今まで勉強しなかったお前のせいなんだから、な」


と言って自分の席に戻っていった。…なんだったんだ?今の。


「ねえ晃。今の竜巻かなんかだった?」

「おまっ、仁、竜巻ってそりゃないだろwww。でもナイス表現www」


晃は笑いが堪えきれていない様子。いや本当、目の前でがーって話されて、何も答えないまま勝手に自己完結して去ってくの、当事者からしたらポカンて感じだけどさ。外から見てたら絶対面白かったんだろうな。あーもったいない。僕じゃなくて晃に絡めばよかったのに。


「仁お前、さっき俺がお前を見捨てたの根に持ってるな?」


当たり前じゃん。少なくとも今日いっぱいはこれでいじってやる。


「そんな殺生な~」


そんなこと言っても聞きませんよーだ。



朝に決意した通り、本当にその日は晃を朝あのネタで強請って過ごした。強請るっていうと何かよくない犯罪臭がする気がするけど、全然違うからね?!

僕が今日、晃にしたことと言えば、朝のホームルームの後、先生から宿題を職員室まで運ぶように言われたから、行かなくていい晃も一緒に連れて行ったこととか。あとは、移動教室に一緒に行ったり、給食の席を隣にしたり、昼休みの委員会に連れて行ったりだから。ね、全然大したことはしてないでしょ?

え、どうやって強請ったかって?別に難しくない。うーん、じゃあ宿題を運ぶときがどうだったか教えるね。


「──じゃあ、風間。この宿題のノート職員室の先生の机まで運んでおいてくれないか」

「分かりました」

「頼んだぞ」

「はい。──ねえ晃。一人だとちょーっと多いからさ、一緒に運んでくれない?」

「えー頑張れば仁一人で行けるっしょ」

「でもさ、僕がいない間にまた来たらどうするの。……竜巻」

「竜巻って…www。さっき俺がツボってたの忘れたか?…フフッ、仁にそんなこと言われたら着いてくの一択しかないじゃんwwwww」


とまあこんな感じで一丁上がりだ。竜巻って語呂が良かったみたいで、放課後になっても効果が続いてるの凄いと思う。


ま、そんな感じで僕が晃で遊んでたら、当然晃も僕で遊んでくるわけで。放課後になってようやく竜巻効果が減り始めたらしい晃が反撃を試み始めた。といってもまだ時々肩を震わせてるんだけど。どんだけ笑い上戸だったの。13年間幼馴染してたけど僕そんなこと知らなかったよ……。


「フッ、ン゛ン゛ッ…はあ、仁お前そろそろいい加減に俺も慣れてきたからな。覚悟しとけよ」

「覚悟ってなんの?襲撃を受ける覚悟?」

「襲撃てwwwwwwww、あwやばいwwww笑わせないでwww」

「晃が勝手に笑ってるんだよ?」

「俺の笑いのツボを浅くしたのは仁じゃん!!」


とまあ、反撃に成功しているかって言ったら全然成功してないばかりか、むしろ自爆してるよね、これ。面白いからいっか。

結局、晃の反撃は1回も成功しないまま、僕らは家まで帰った。

帰ったら帰ったで、今度はSNSアプリで「今度こそ大丈夫」って送ってきたから、一言「……竜巻」って返してあげた。そこから何でか分からないけど無言のメッセージが大量に続いたけど、僕の携帯壊れてたのかな…?


--- --- ---


次の日。やっぱり今日も僕は始業ギリギリの登校だ。昨日と違うのは隣に晃がいること。どうやら奴は珍しく寝坊をしたらしい。「仁のせいで宿題が手につかなくて夜更かししちゃったから寝坊したじゃないか」って言われたけど、言い出しっぺは向こうだし絶対僕のせいじゃない。

「時間ヤバいじゃん、急がないと」とか言ってたら、居たんです。昇降口に、昨日の『竜巻』の彼が。


「ようお前ら。なんだよ、バカはバカとつるむ性質でもあんのか?ま、今から俺と仲良くなったって成績は変わらないけどな」


って言って教室に行ったんだけど。あれ、僕らのこと待ってた?え、殆どみんな登校してて昇降口なんて人いないんだけど、わざわざこれ言うためだけに待ってたの?それって、


「竜巻が待ち伏せしてたってこと…?」

「竜w巻wが待ちww伏wせwwww」


あーあ、また晃が笑い死んでる。そんなに面白かったかな?


「wwww、あー笑った。仁のワードセンスが優秀過ぎて面白いんだよ。ったく、俺はそんなこと13年間知らなかったぞ」


…なるほど?



こんな会話は1ヶ月くらい続いた後ぱったりとなくなった。向こうがこっちに絡んでこなくなったからだけど、なんでだろ…?こっちは毎回僕の一言で晃が笑い死んでくれるから面白かったんだけど。丁度瑚翠の合格発表があった時くらいなんだけど、何かあったのかな。

ちなみに、竜巻の彼は荒巻君って言うんだけど。ま、別にどっちでもいっか。


ありがとうございました!

感想・評価していただけると嬉しいです

作者のモチベーションが上がります!


次回は8月7日の20時更新を予定しています!


では。


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