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頭いいヤツはバカの言うこと聞かなきゃいけないらしいよ  作者: 笙野ひいろ
中学生編 ~バカたちの出会い~
11/13

第一印象って大事だよね

豪華すぎるフェリーに乗って島についたと思ったら、初めて会ったクラスメイトであろう慧馬に「バカじゃないの」と言い放たれたのは昨日の話。

現在、僕はその慧馬と一緒に書庫に来ています…!


うーん、どうしてこうなったんだっけ。確か……



--- --- ---



「———ん、ふわぁ」


いつもと違ってやけに寝心地がよかったなあ。昨日布団でも干したっけ?


「風間様、お目覚めですか?…おはようございます」

「……おはようござい、って米濱さんですか?」

「はい、米濱でございます」


…そうだった。昨日から僕、胡翠に来てたんだっけ。そりゃ家より寝心地よくても当たり前か。だって、実家の布団は物心ついた時からずっと使ってる『ペラペラ布団』だったもんね。このベッドのクッションのよさと、包み込まれるようなフワフワの掛け布団!いつまでも寝ていられそう。

だけど、


「確か、朝ごはんは6時半から食べれるんでしたよね?」

「その通りでございます。現在6時45分ですので、いつでもお好きな時に朝食をお召し上がりいただけます」

「じゃあ、良く寝てお腹もすいたし、着替えたらすぐ食べても大丈夫ですか?」

「畏まりました」


畏まりましたってことは、大丈夫ってことだよね?ということで、僕の持ってきたなけなしの私服であるジーンズとベージュのスウェットに着替えて、と。よし、ちょうど7時になったし、行くか。


そうして、僕についてきてくれた米濱さんと2人、1階のカフェテリアまで降りてきたんだけど…。


「誰もいない……」

「風間様は入寮が早かったので、まだご学友の皆さまは入寮されてない方が多いのでしょう」

「ここって、僕達しかいないんですか?」

「はい。しかし、隣の棟には他の学年の方もいらっしゃいますし、場所は異なりますがここ以外にも風間様と同学年の方が入寮する寮もございます」


そうなんだ。……もっと向こうでゆっくりしてから来ればよかったか?でも絶対ダラダラしすぎて行く気なくすから、これでいっか。とかつらつら考えながら、広いカフェテリアの中でたった一人、とてもおいしい朝ごはんを食べたのだった。


朝ごはんも食べて、何も知らない島で、誰も親しい人もいなくてひとりぼっち。さあどうしよう。とりあえず何もやることないから部屋に戻るか…。そう思って、エレベーターの方へと足を進めた。

特に何事も起こらずにエレベーターの前までついて(まあ距離離れてないし、当たり前だよね)、さあ上行きのボタンを押そう、と思った時。


―チン―


という無機質な音が目の前の大きな機械から響き、扉が開いた。

ああ、そういえば昨日僕こいつに会ってたっけ。忘れてた。えっと名前は…


「おはよう。えーっと、」

「慧馬。俺、調所慧馬」

「あ、ごめん」

「良いよ別に。おはよ仁」

「えっと、確か慧馬って呼べばいいんだよね。慧馬は僕の名前覚えてたんだ」

「俺は仁とは違うから。…で、ここにいるってことはエレベーター乗りたかったんじゃないの?早く行ったら?」


おう、そうだった。長々と話しちゃったけど、ここエレベーターの目の前。今は人もいないけど、他の人に迷惑かかっちゃうから気をつけないと。慧馬が気を使ってくれたけど、別に僕は部屋に戻りたくて戻るわけじゃないしな…。そうだ。


「ねえ慧馬。今日今から何かする予定、ある?」

「え、何いきなり」


おっと真顔で返ってきた。これはなんかダメな感じ?


「いや、僕今日やることなくてさ。慧馬も同じだったらなんか一緒にやらないかなーって。あ、今からご飯とかだったらごめん」

「もう朝は食べたから別に大丈夫だけど。…じゃあ、今から行くとこ仁も来る?」

「どこ?」

「書庫だけど」



--- --- ---



それで「行く!」ってそのまま慧馬について行って今に至る。そうだ、そうだった。


で、僕が書庫なんかで今何してるかって?そりゃあ…、一生懸命慧馬の手元を見てるに決まってるじゃないか。


「ねえ、確かに俺は『一緒に行く?』って誘ったけど、『一緒に見よう』とは言ってないんだけど」

「だって何読めばいいか分かんないし」

「え、別になんだっていいじゃん。適当にその辺の面白そうなやつ読んだら」


いや、慧馬がそういうのは分かるけどさ!だって僕が図書館みたいな本があるとこに自分から来るの何年振りか知ってる?!自分でも覚えてないくらいなんだけどさ。そんな人が「その辺から適当に」なんてレベルマックスだよね。だから分厚い本読んでる慧馬の手元をじーっと見てるんだ~。


「…はぁ、そんなにまじまじと見られると集中できないんだけど」

「ごめん」

「もう。——これだったら読書久しぶりでも読めるんじゃない」


そういって慧馬が勧めてくれた本は短編集で。言ったとおりに、読書が久しぶりな僕でも結構楽しんで読めた。読み終わって改めて見ると結構ページ数あったんだけだなあ。180ページだって。…え、少ない?本当に半年ぶりとかそれくらいだから、そこは勘弁してほしいかな。


でもって慧馬は…。あれ、初めから読んでる本変わってない?え、さっき僕が見てたのまだ本の初めの方だったし、結構分厚い本じゃなかった?


「ねえねえ慧馬。読むの早くない?」

「…ん?ああ、仁か。悪い、集中してた」


そう言って慧馬は読んでいた本を閉じて隣に置いた。ちょっと悪い事しちゃったかな。


「いや、それは別にいいんだけどさ。読むの早くない?」

「え、もう2時間くらい読んでるし、これくらいは普通だけど」

「ええー。そうなんだ」


これは僕が普通より遅かったってこと?


「いや、俺が読むの早いだけだから。てか、仁さ。久しぶりっていう割にはちゃんと読んでたじゃん」

「本当に読むのは久しぶりだったんだけどさ。読み始めたら面白くて一気読みしちゃったよ」


慧馬の選書センスめっちゃいいね、という言葉は飲み込んでおく。だってさ、


「ていうか、今読んでるの何?」

「え、『相対性理論』だけど」

「なんでそんなの読めるの???!」


そう、これだよ。さっき慧馬が一旦本を置いたときに見ちゃったんだけど。何ですか相対性理論って。


「いや、読むのは誰でもできるし」

「だってこれ日本語じゃないじゃん!」


そう、これは日本語の本じゃなくて英語で書かれているのだ。僕なんて中学の英語だってあやふやだし、絶対読める気がしない。昨日初めて会っって、「頭良さそー」とか勝手に思ってたけど、これは本当に頭よかったのか。


「なんかごめん」

「何いきなり謝って。なんでか分からずに謝るとかバカなの」


いやー、第一印象って案外合ってるもんなんだなあ。


ありがとうございました!

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次回は9月4日の20時更新を予定しています!


では。


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