1人目
今回ちょっと短いです
胡翠高校のある島に無事上陸し、中世ヨーロッパ風の街並みにひとしきり驚いた後。僕は米濵さんに連れられて、寮のある場所へと移動していた。街の雰囲気違わず馬車……ではなく、車で。ちょっと残念だなーとか思ってないよ!全然!ここで馬車が出てきたら雰囲気ピッタリだとか、乗ったことないから楽しみだとか全然思ってないからね。
それにほら、そんなこと思ってると……
「風間様のご希望に添えず申し訳ございません」
「いえ!全然、この車もとても立派だし、十分です!」
まるで僕の心を読んでるんじゃなかろうか、という程ナイスタイミングで声を掛けてくれる運転席の米濵さん。ちょーっと残念に思っただけで、僕は本当に何も気にしてない。寧ろ、ここまで至れり尽くせりで、逆に申し訳ないくらいなのに。
でも、ここはさっきと違って普通の道と景色だ。まあ、島だし海が綺麗に見えるから実家の近くの道とは全然違うけど。でも、別にないって訳じゃない。…ちょっと気になるし、聞いてみるか。
「あのー、米濵さん」
「──どうかなさいましたか?」
「ここって、さっきの街と全然雰囲気違うんですね」
「驚かれましたか?」
「はい。街の門を出たらいきなり中世ヨーロッパからアメリカ西海岸はびっくりします」
「そうですよね。私も初めてこちらに参った際はとても驚いたことを覚えています」
「米濵さんもですか?」
「はい。今は詳しくはお話できませんが、実はこの島はほぼ円形になっておりまして、海沿いに8つの街がございます。そのうち3つが胡翠高校の校舎や寮となっておりまして、残りの5つは先程の街のように各々趣の異なる街となっております」
「へぇ。…じゃあ、他の街はさっきとはまた雰囲気の違う街ってことですか?」
「はい、その通りです。この島は1周しても100kmほどですし、学園の島ということもあり余り車通りも多くはございません。ですので、お望みでしたら何時でも訪れることも可能でございます」
なるほど〜。ああいう街が他にあと4つもあるのか。学校と寮も一つの街っぽいし、楽しみだなぁ。
「あと5分ほどで風間様の寮に到着致します」
お、とうとう僕がこれから3年間お世話になる寮に着くらしい。朝の港からここまで、とても良くしてもらってるからきっと寮もいい所なんだろうなって思ってるけど、やっぱりちょっと不安にもなる訳で。でも楽しみな気持ちもとても大きい。そう、これは新天地へのドキドキだ。
そんな期待と不安に胸を躍らせ、それを落ち着かせるように米濵さんとお話していた。初めより話せるようになったのはきっと僕の気のせいじゃないだろう。
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あれから丁度キッカリ5分後。
ずっと一本道を走っていた車がウィンカーを出した。…着いたのかな?どんな所だろう。……え、
「… …田舎、なの?」
「アンタバカじゃないの。これは地方の貴族館だ」
「誰??!」
いや、”街”だと思ってたらなんか長閑な感じでびっくりしたら、横から誰か知らない人に突っ込まれてもっと驚いたんだけど。背は僕と同じくらい。僕より肌が白くて手には何か分厚い本を持ってる。勉強できそ〜。でも、本当に誰??
「アンタ、顔に表情出すぎ。『コイツ誰だ』とか思ってるんでしょ。はぁー、ここに来て初めて会うのがこんなバカ丸出しの奴なんてついてない」
いや、色々言い過ぎな。確かに頭良さそうだけどさ!これはちょっとヤな奴じゃない?僕は絶対アイツより馬鹿なのは多分間違いないけど、ここまで言うことないじゃん。
「バカな奴にバカって言って何が悪いの。……ああ、俺は調所慧馬。これからよろしく」
「僕は風間仁。……って、よろしくするんかい!」
「え、だって今ここにいるの俺たちだけだし。先輩はいるっぽいけど、建物違うし。だから、まあ、よろしく」
「え……うん、よろしくね」
えっと、コイツ、いや調所君か。もしかしてこれがあのツンデレってやつなのか?よくツンが何割とかって話題になるあの。初めて見た。
「ていうか、仁。いつまでここにいる気?さっさと部屋見てきたら?」
「うん、そうする。あと、僕のこと名前で呼んだ、よね…?」
「え、別にいいでしょ。俺の事、名前で呼んでも気にしないし」
成程、おーけー。調所君は慧馬って呼べばいいんだね。
「別に呼んで欲しいとか言ってないし。仁が勝手に俺のこと名前で呼んでるだけでしょ。……ほら、さっさと行きなよ。邪魔」
「あーはいはい。じゃあ僕はこれで」
そう言って、僕は初めて同級生となるであろう慧馬と対面を果たしたのだった。
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次回は 8月28日の20時更新を予定しています!
では。




