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3.転生ヒロインの暗殺者は学園に推しと共に潜入する

更新1日空いてしまってすみません( ´△`)

なぜこういうときの予感というのはよく当たるのだ!?


なぜ・・・なぜ私が乙女ゲームの舞台なんかにみすみす潜入しなければならないのだ。


もうシナリオからは完全に外れられたと思っていたのに・・・!


「な、なぜですか? そこってお貴族様の通う学園でしたよね?」


「そうだが、最近、魔王の復活の予兆があるのは知っているか? 魔物が増えてきて人里にも降りてきているんだ。そこで、国王陛下直々に未来の王国を担う金の卵たちをこれから起きるであろう危険から守ろうと護衛依頼が来たのだ。

君たちには仮の身分を用意する。それとシャロンもネオも2学年に入ることになる。シャロンは本来1学年だが、学年が離れているとやりにくいこともあるだろうから特別に、15歳ではなく16歳ということで。クラスは、万が一の時に優先して彼らを守れるようにSクラスだ。・・・この間、みんなの学力を図るという名目で試験を受けさせたが、あれが入学試験だったんだ。他の人たちにはもちろん、学園の入学試験のテストだとは言っていないが。その結果、ネオもシャロンも学力はSクラス相当だったから問題ない。そしてもし何かあれば、イヤリングタイプの緊急連絡機器を渡すからそれで連絡を取るように。早速明日編入できるよう、すでに手続きは終えている。今日のうちに準備して早く寝るといい。・・・それと、学園では下手に目立たないように。陰から護衛するのが今回の仕事だからな。だが、完全に気配を消せとは言わない。適度に目立たずにいるように。ただ、君たちのような派手な容姿で勉学も優秀、戦闘もできるというと目立たないでというのは無理があるがな・・・。学園には、騎士コースと魔術騎士コース、魔術コース、淑女コースがある。・・・最後に。最高で2コース選べるのだが、シャロンには、淑女コースと魔術騎士コースに入ってもらう。上級者訓練で、優雅な動作や礼儀作法、カーテシーなどは習っているだろう? 魔術騎士コースには、戦闘ができても怪しまれないようにするために入ってもらう。

ネオは魔術騎士コースだ。・・・・以上。長々と話してしまったが、これで言いたいことはすべて伝えた。

明日から頑張るんだぞ。朝は8時30分から授業だからもう寝たほうがいい。戻れ」


完全にシナリオから外れたともう考えていたので、すっかり魔王復活のことなど忘れてしまっていた。

思い出してみれば、ゲームではあと2年ほどで魔王が復活する。

それに伴い増加していく魔物は王国、そして将来国を担う者たちにとって脅威となる。

実はこの暗殺部隊で行う暗殺訓練の中には対魔物用の訓練も組み込まれている。なぜなら魔物の討伐も私たち暗殺者が対応する場合があるからだ。今まではまだそこそこ力のある冒険者が討伐してくれていたが、これからはそうもいかない。暗殺技術に加えて魔物討伐にも特化しているこの暗殺部隊は王国から見たら、ふたつとない適役なのだろう。

ただ、魔王討伐後に出てくる隠しキャラであるネオは本来なら学園には入学しない。

潜入調査で学園に入るなどというストーリーは一度も見たことがないので、どこがバグが生じたのだろうか。

私がヒロインをしなかったために、シナリオが狂ってしまったのだろうか。

ただ私とネオ以外は変わっていないはずだ。いや、ヒロインがいないという時点で色々と変わってしまってるか。


それと、部隊長の話の中にあったように、上級者訓練で女子は、優雅な動作や礼儀作法、カーテシーなども習う。

原理は分からないが、美しい容姿の少女が優雅なカーテシーをすると、カーテシーにさらに美しさの磨きがかかったように見えるのだ!


「そうなんですか・・・。では俺たちは主に将来有望の高位貴族を陰から護衛ということでいいですか?

分かりました。その依頼、受けさせていただきます」


ネオは受けることにしたらしい。そもそも国王陛下直々の依頼だと言われたら拒否なんてできるわけがない。


「はい。私も引き受けさせていただきます」


私も拒否はできない。


このようにして、私とネオは乙女ゲームの舞台であるサンディル王立学園に入学することとなったのだった。





ーーーーーー



そして当日。


私とネオは、ゲームのスチルにもあった、サンディル王立学園の大門の前にいる。



門は開け放たれていて、多くの在校生が入っていっている。


みんながチラチラとこちらを見ている。主に女子。

ネオがとてつもなくカッコいいからだろう。


そうだろう、そうだろう!

私の推しはとんでもなくカッコいいのだ!

最近はさらにそこに色気が加わるもんだから、それはもう、長年一緒にいなければ今頃きっと、その妖艶さに失神しているだろう。

しかし周りの人と比べて、推しフィルターが私の目にかかっているのでことさらカッコよくみえてしまうのだ。

大事なので、カッコいいは3回言った。


「ネオのこと見てるの、女子がほとんどだね」

「それを言ったらお前もだろ? 男子がお前のことチラチラと見てるじゃないか」

「そう? たしかに私ってけっこうな美人だものね」

「普通それを自分で言うか?」

「そこ、突っ込まないでよ! 今私は冗談で言ったのに!」

「冗談ではないだろ。事実お前は妖艶な美女って感じだしな」

「っ!!」


推しからの褒め言葉をいただいてしまった!!

これでもう思い残すことは、ない!


「もう思い残すことはないな・・・」

「ちょっ! シャロン! なに死ぬ前のようなこと言ってんだ!?」

「あっ。口に出てた? 大丈夫よ。死なないし!」

「そうか。だったら心配かけんなよ」

「ごめんね〜」

「はぁ・・・」


なぜか呆れられてしまった。


「! 時間やばいぞ! あと15分しかない。 その前に教員室にも行かなければいけないじゃないか!

急ぐぞ!」

「っ本当だ! ネオ、走って行こう!」


走って、五分で教員室に着いた。


「すみません、俺たち今日から編入するネオとシャロンなんですが」

「ああ、君たちが編入生か。いきなり編入生がいると学園長から言われて、ビックリしたんだ。とりあえず、学園長から編入生が来たら連れて来るように言われてるから、学園長室へ行こうか」


そうして学園長室に連れて来られた。


「失礼します。編入生2人を連れて参りました」

「あぁ! 入って入って!」


学園長は随分とフレンドリーな方らしい。


「初めまして、こんにちは! 僕がこの学園の学園長だ。君たちのことは聞いているよ」

「初めまして。ネオです」

「シャロンです」

「うん、初めまして。今日は少し話したいことがあったんだ。 先生は一旦外に出てもらっていいかな」

「あ、わかりました」


なぜ人払いをしたのだろう。

人にあまり聞かれたくない話なのだろうか。


「OK〜! 先生もいなくなったし、早速話そうか」

「話って何なんでしょうか?」

「単刀直入に言うと、僕は君たちが国家暗殺部隊から潜入調査で来たと知っているんだ。もちろん、潜入調査の理由もね。第一、僕は君たちの一番上の上司、ルキウスとは親友なんだよ! 事前に2人のことを頼むと言われていたんだ。それに僕は王弟だしね。兄はこの国の国王だよ。だからここでは隠さなくて大丈夫」


初耳である。

あの真面目で義理堅い部隊長とこの軽そうな学園長が親友だとは、意外すぎて俄には信じがたい。

でも軽そうだと、先入観で見てはいけない。それは表面上だけかもしれないし。

それにしても部隊長はわざわざ、この人に頼んでくれたらしい。表面上は厳しいが、やはり根は優しいのだ。


王弟ということは、臣籍降下して、公爵位をもらっているはずだ。

この国では、王族籍から降り、臣籍降下した者は3代限りの公爵位をもらうと決まっている。


「そうなんですか。じゃあ、俺たちが高位貴族を陰から護衛するというのは知っているんですね。部隊長からは陰から、ということですのであまり目立たない方が良いと言われています。今後ある剣術大会などでは手を抜いたした方が良いのでしょうか? 周りからしてみれば新参者の俺たちが彼らよりも目立っては反感を買わないでしょうか」


ネオが聞くと、学園長は表情を引き締めて真面目な顔つきになった。


「・・・彼らよりも実力が上だ自負しているんだね。まぁそうか。2人は暗殺者として10年間も毎日欠かさず訓練していると部隊長から聞いていたからね。彼も誇らしいだろうよ。・・・・それはおいといて。剣術大会では手は抜かなくていい。未来の金の卵たちには一度、敗北を味わってほしいんだ。そうしないと俺は優秀なんだと、周りに高圧的な態度を取る子が出てくるんだ。現に今、ほんのひと握りだがすでにそういう子たちが出ているんだ。可能性のひとつだから、みんなが全員そうだとは言わない。だけど僕は敗北を味わうということは、この学園内においてだけじゃなく、人生においても大事なことだと思うんだ。・・・だから、彼らのことは気にしないで、思う存分力を発揮してくれて構わない」


「・・・そうですか。わかりました」

「もう質問はないかい?」

「はい、私もありません。 ネオももう質問は無いでしょ?」

「そうだな」

「ネオも無いそうです。・・・これでお話は終わりですか? もう、授業の時間を過ぎてしまっているんですが」

「ああっ! ごめんね! 話に夢中になってしまってそこまで気が回らなかったよ! では授業にいってらっしゃい!」

「あ、はい。 ありがとうございました。では失礼します」

「俺もありがとうございました」


私たちは学園長室を後にする。

部屋の外に出ると、もうさっきの先生の姿はなかった。

とっくに授業に行ったのだろう。


とにかく急がないと、もっと授業に遅れてしまう。

さすがに、学園生活初日からそれではやばい。



私とネオは小走りで教室へと向かっていった。


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